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琉球漆器【伝統工芸】

迷走する台風に振り回される週末、いい加減温帯低気圧になるだろうと思われた台風10号はいまだに台風としての勢力を維持して名古屋から北上しそうという状況。昨日は富士山麓から東京に帰れなくなると困る、という懸念から元々日曜日の朝には出ようという話だったけど、中央道も通れるし夜のうちに帰ってしまおうという話になって。そうこうしているうちに通行止めだった東名も22時に通行可能となりほぼ貸切の状態の中昨日の夜のうちに都内に帰ってきました。

そんな思わずゆっくりできる週末、今日は先週木曜日にお邪魔してきた漆器の展示会の話。

今回銀座は和光の6階で『赤木明登うるし工房 30周年記念一門展 ー輪島塗の未来ー』と題して輪島塗の作品を一堂に介して見ることができる展示会が行われている。

ここに参加されている渡慶次さんと仕事でご縁があって繋がって、今回の展示にお招きいただいた。出会の経緯はこちら(文化の継承者として作家たち

同じ松坂世代で意気投合したご主人が木地を削り出して、奥様が漆を塗られて完成される漆器琉球漆器を作られているご夫婦。
元々沖縄ご出身のお二人が輪島で漆器の技術を学ばれて故郷の沖縄に戻られた。琉球漆器として伝統的な作品の再興にも心血を注がれる一方で、沖縄の生活に根ざしたやちむん(今後陶磁器シリーズで深掘りするのが楽しみ)などとも相性が良いような日常使いできるものも作られている。

そんな中で、お2人の作品を今回譲っていただいた。それがこちら。

木目が大きい南国の木々の素材感が伝わる漆器
満月のような穏やかで柔らかな小皿

素材として決して多くはない地元で取れる貴重な木材を削り出して漆が丁寧に塗られた木の器は、緩やかな曲線と柔らかな窪みによる心地良いゆらぎに満ちている。
正確無比な直線と弧が描く輪島の漆器とは趣が全く異なり、それでいて漆器の軽やかさと使いやすさは変わらない。
そして、金も漆を通すと、まろやかな輝き、たおやかに豪華。
持ってるだけ見てるだけで嬉しい、使ってアガる器、大事にちゃんと使わせてもらいます。

https://www.instagram.com/mokushikkou_tokeshi/

そして、同じ展示で乾漆技法という技法を使われている作家さんに制作工程や漆器に関するお話も聞かせていただく中で、もう1つ、どうしても気になる作品があった。それがこちら。

飛び散った様な黒漆はワザと…だよね?笑
ずんぐりむっくりなフォルム、かわいい
紅白にするとおめでたさが引き立つ

赤い漆が溜まって層になっているような塗りと独特の高台付の形、そして他の漆が嘘のように軽い中でどっしりとした重み。赤い塊、というような印象でとても気になって。自分が持っている明る緑と藍色のお椀とも色も形も違うので、かち合うことなく使えるな、と思って作家さんが不在の中こちらもいただいて。
会計している間に戻ってこられた作家、花野さんはちょうど一回り違う若手の作家さんで来年初めて個展をされる予定とか。
木地は、彼の師匠にも提供されていた重鎮の方に「そうじゃなくて」「こうしてください」と何度も思いを伝えて作ってもらったものだそうで、彼のこだわりが詰まっている。しかもその木地師さんは最近亡くなられたそうで、そういった意味でとても思い出深いものとのこと。
重さも『漆器はその価値に対して軽すぎるから敢えて重くしました』と、花瓶などが倒れにくい様に底に砂鉄を含ませたりする技術を盛り込んで持った時の存在感をうまく演出している。
新しい価値観を打ち出す若手作家さんの意気込みが如実に感じられて、こちらも譲っていただけて有り難いな、と思うのでした。

https://www.instagram.com/hideaki_hanano/

台風でどこも行けない皆様、
銀座のど真ん中でいろんな輪島塗りを一度に見ることができる絶好の機会なので是非お立ち寄りくださいね。

僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。



皆様も、良い週末を。

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