SDGs 15: 11 住み続けられるまちづくりを

おはようございます。
今日は朝から2℃と一旦暖かくなってから冷え込むと一層寒く感じてしまう。家で起きたら指がかじかむレベル。次の火曜日までは寒の戻りが続くようなので後もう少し我慢をして乗り切りたい。

さてSDGsに関して学び始めたけれど、今日からは実際にSDGsの17の目標を具体的に見ていきたい。
今日は11個目の『住み続けられるまちづくりを』から見ていこう。

持続可能な開発目標

持続可能な開発目標(英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標である。さらにその下に、169の達成基準と232の指標が決められている。

住み続けられるまちづくりを
まちづくりというと地域的で小規模な取り組みのようにイメージされるかもしれない。しかし、これは都市や居住環境の包摂性や安全性、強靭性を実現するための目標で、災害や大気汚染、遺産の保護など実に幅広い分野にまたがる目標だ。
目標11「住み続けられるまちづくりを」が関係する分野は、スラムや交通、文化遺産や自然遺産、災害、大気、ごみ、都市計画など、多岐に渡る。また、単に都市やその他の居住地の再生と計画を実行するだけでなく、その過程でコミュニティの絆と個人の安全を強化することやイノベーションや雇用を刺激することに重点が置かれている。

それぞれの項目の達成目標
ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、数字が入る場合は目標に対する具体的な課題を、アルファベットが入る場合は課題を達成させるための手段や策を指す。

11.1 2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

「住み続けられるまちづくりを」はなぜ必要か

現在世界人口の半数以上が都市部で生活しているが、その割合は2050年までに人口全体の約7割に達すると予想されている。全世界のGDPの8割以上が都市で生み出され、経済成長をけん引する存在だが、同時に温室効果ガス排出量も多く、世界全体の7割以上が都市部からの排出で占められている。
持続可能で包摂的な都市化を実現するためには、入念な計画と管理が不可欠。しかし、ずさんで急激な都市化によって安価な住居不足、公共交通や水、電気などのインフラの整備不足、大気汚染、気候変動の悪化と災害の増加など、多くの地域でさまざまな問題が発生している。

都市化に伴う人口集中
産業革命以降世界的に都市化が進んでいるが、近年は特にアジアやアフリカ地域で急速な都市化が見られる。それに伴ってスラムで生活する人の数も年々増加しており、2020年時点でアジアとサハラ以南のアフリカ地域を中心に10億人以上の人びとがスラムで生活しているという統計もある。急激な都市化は貧困や失業を招き、格差の拡大の原因になりうるほか、気候変動や環境破壊に発展する可能性も大きい。
先進国の都市部においても、すべての人が質の良い住宅を確保できているわけではない。冬の寒さが厳しいヨーロッパでは、断熱のしっかり施されていない住宅に暮らす低所得の人々が暖房を十分に使うことができない「エネルギー貧困」という社会問題が表面化してきている。

大気汚染
また、都市の拡大に伴う具体的な問題の1つとして、大気汚染も挙げられる。国連は、世界の都市人口の99%が汚染された空気の中で生活しているという推計を公開した。大気汚染による健康被害は世界的に問題視されてきたが、特に開発途上国では今も大気汚染が死亡原因の上位に入っている。
都市は地球の土地面積のわずか3%であるのにもかかわらず、エネルギーなどの資源利用は集中し、温室効果ガスの一大発生源となっている。
国連の調査によると、世界のエネルギー消費量の約60%から80%、人為的な温室効果ガス排出量の約70%を都市部が占めている。
温室効果ガス排出の主な原因は、エネルギー供給や交通のために、石油などの化石燃料を燃やしていること。「世界の平均気温上昇を1.5度に抑える」という気候目標を掲げるパリ協定の達成には、都市部の改革が欠かせない。ガソリン車の交通量の増加は、気候だけでなく、大気汚染をも深刻化させている。
住民の健康と気候の双方を保護していく観点から、ガソリン車の走行規制、公共交通機関の拡充、その他の移動手段のための道路整備が求められている。

気候変動に起因する自然災害
近年日本でも豪雨や台風の被害が増えているが、世界でも同じように気候変動の影響によって災害が頻発している。世界人口が増えていることや、人が住む地域が広がっていることに伴い、災害発生時にその被害に遭う人の数も増えている。
避難を余儀なくされたり、食料不足に陥ったりと、自然災害の影響はさまざまな形で人びとの生活を圧迫する。国連児童基金(UNICEF)は、人に影響を与える自然災害の発生数と自然災害の影響を受ける人の数の両方が近年大きく増加していると報告している。

世界における解決への取り組み事例

では目標11「住み続けられるまちづくりを」に対して、日本や世界ではどういった取り組みが行われているか。具体的に見ていこう。

世界の取り組み

ベルギーの首都ブリュッセルは、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、カーボンニュートラルの達成を目指している。
ブリュッセルで排出される温室効果ガスの約半分を建物で使用される冷暖房などによるエネルギー消費が占めていた。それを受けて、建物のエネルギー効率を向上させる政策が進められている。
ひとつは、新築の建物のエネルギー消費を抑える政策。ブリュッセル地域政府は、2015年に、世界の都市に先駆けて新規の建物に「パッシブハウス」と呼ばれる省エネ基準を義務付けた。この基準をクリアした建物は、断熱性能が強化されているため冷暖房をあまり使わずに快適な空間を実現できる。
もうひとつが、すでに建てられた中古物件に対する政策。ブリュッセルに存在する建物の4割は1945年以前に建てられた古い建物で、3分の1の住宅には断熱材が使われていない。そのため、夏には暑さ、冬には寒さの影響を受けやすく、冷暖房の消費を必要とします。ブリュッセル地域政府は、これらのエネルギー効率の悪い物件に対し、2050年までにすべての住宅のリノベーションを推進する政策「レノリューション」を始めた。屋根や壁に断熱材を施すことによって、年間平均エネルギー消費を現状の3分の1の100kWh/平方メートルにまで下げることを目標にしている。リノベーションの実施を希望する市民は、補助金を申請でき、建物の規模によって、5万ユーロ(約650万円)から20万ユーロ(約2600万円)を上限として、9割の工事費がカバーされる。リノベーション促進による効果は、エネルギー消費を抑える以外にも、経済的理由で暖房を十分に使えない「エネルギー貧困」の世帯を減らすことができる。また、関連調査・工事の受注により、8000人分の雇用を生む経済効果が期待されている。

ヨーロッパの多くの都市でも、温室効果ガスの排出や大気汚染の原因となっているガソリン車の走行を減らし、歩行者と自転車を中心としたまちづくりへと転換するべく、さまざまな政策も進められている。
北ヨーロッパの都市の大きな通りでは快適にウォーキングやサイクリングができるように歩行者と自転車専用のレーンが用意されている。
そもそも、ヨーロッパの都市は規模が東京などの大都市に比べて小さく、家と仕事場の距離が近いため、自転車での通勤も可能。健康志向や気候保護の観点から、これまで以上に自転車を交通手段に選ぶ人が増えている。

ヨーロッパを中心に、毎年9月22日は「世界カーフリーデー」を祝い、交通や環境をテーマにしたイベントが催される。ベルギーのブリュッセルでは9月22日に近い日曜日を「カーフリーサンデー」とし、首都圏では公共のバスやタクシーをのぞいた個人所有の車の走行が禁止され、道路は歩行者や自転車に開放される。
カーフリーサンデーの朝は車の騒音がなく、街に静けさが広がり、人々はローラースケートや自転車などの方法で移動する。車との接触事故の心配がないので、小さな子どもたちが道路で自由に遊ぶ様子も見られる。

公共交通機関の無料化
電車やバスなどの公共交通機関を使った移動は、マイカーに比べて利用者1人当たりの温室効果ガスの排出を大幅に削減できる。公共交通機関の利用を促進するために運賃を無料化する動きが出てきている。
ヨーロッパにあるルクセンブルクは国土全体が神奈川県ほどの小さな国ですが、交通渋滞に悩まされている。そこで、個人所有の自動車移動から公共交通機関利用への転換を促すため、2020年3月以降公共交通機関(路面電車・バス・電車)の運賃無料化が実施された。これは、ルクセンブルクの住民だけでなく観光客やビジネスなどの訪問者にも適用され、これだけの規模で行われるのは世界初の取り組みだった。
公共交通機関の無料化を行うこの取り組みは世界に広がっている。東ヨーロッパの国エストニアでは、2013年に首都タリンで住民に対し公共交通機関を無料化し、2018年には全国に拡大した。この政策により、特に低所得の高齢者の外出が促進され、病院などへのアクセスが改善されたという調査結果が得られている。お隣
韓国の華城(ファソン)でも、2020年から18歳以下は公共バスの乗車賃を無料化、今後対象年齢の拡大が計画されている。

日本における取り組み事例

日本は、戦後の高度経済成長期に急激な都市化とそれに伴う地域間格差の拡大を経験した。これはまさに、現在多くの開発途上国が直面している課題でもある。このように過去にインフラ整備、環境問題への対応、格差是正などさまざまな都市問題を克服した実績、そして大地震などを経て得た都市災害の教訓や復興の経験は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に向けた日本の強みとなる。
実際、日本政府による開発協力を担う国際協力機構(JICA)は、世界各地で総合的な都市開発のマスタープラン策定支援を数多く進めている。このような計画段階での支援に加え、気候変動対策や環境管理、防災などに関する行政能力強化の支援、また交通や廃棄物処理を含むインフラ整備の実績も豊富。このため、持続可能な都市づくりに総合的に貢献できる。
日本政府はこうした強みに立脚して、持続可能な都市の実現、格差の是正と発展、気候変動適応策や防災への取り組み推進、都市環境改善の取り組み推進、都市開発関連法制度整備・ノウハウの活用という5つの重点分野を設定した。

都市農業のまち、東京都練馬
東京23区の北西部に位置する練馬区は23区の中で最大の農地面積を有している。大都市に住みながら「農」を身近に感じられる。都市化が進んだ今でも都市農園にはさまざまな利点があることから、都市農業を重要な産業として位置付けたまちづくりが行われている。
例えば、地域住民は農園のそばに設置された直売所で、採れたての新鮮な野菜を買うことができる。また、都市農園は「農」を知る機会を提供する場所としても機能する。練馬区では登録制の区民農園を貸し出しているほか、農家が栽培から収穫までをサポートしてくれる体験農園、ブルーベリーの摘み取りなどができる観光農園などを支援しており、地域住民が自然とふれあう機会を積極的に増やしている。

環境面によい影響をもたらすのも都市農園の利点である。
● 都市部の気温が周囲より高くなる「ヒートアイランド現象」の緩和になる
● 二酸化炭素排出を抑制する
● 大雨時の都市河川の洪水を抑制できる
● 公園の落ち葉を堆肥として利用できる
● 災害時の避難場所や仮設住宅建設地として活用できる

気候変動による気温上昇や災害の増加が心配されているが、これらの利点をもつ都市農園を生かすことは、レジリエントなまちづくりの手段の一つになる。

世界が注目する資源循環型のまち、徳島県上勝町
徳島県の山間地にある人口1500人の小さなまち上勝(かみかつ)町は、ごみをなるべく発生させない「ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)」の取り組みで、国内外からの注目を集めている。
上勝町は2003年に自治体として日本で初めての 「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い発生したごみの処理をどうするかではなく、そもそもごみを出さないためのまちづくりを行ってきた。具体的には、各家庭へのごみ収集は行わずに生ごみは各家庭でコンポストを使って堆肥化し、それ以外は住民がごみステーションに持ち寄り、45種類以上の資源に分別するというシステム。現在、リサイクル率は80%を上回っています(参照:WHY KAMIKATSU ZERO WASTE CENTER)。
また、ごみステーションにはセカンドハンド(中古品)のお店や「ゼロ・ウェイストアクションホテル」が隣接され、訪問者でもゼロ・ウェイストの概念を具体的に体験できる機会が設けられている。これらの建物にも廃材が活用されるなど、ゼロ・ウェイストの発想がちりばめられているのがユニークで徹底した取り組みが展開されている。

解決に向けて私たちにできること

まちづくりは、都市計画を担当する自治体の職員が行うだけではなく、そこに暮らす住民や働く人々が関わってはじめて形になる。目標11達成のためにも、一人ひとりが意識し、行動することが欠かせない。
最後に個人や企業ができることを確認していきたい。

(1)緑地をつくる
住み続けられるまちには、気候変動や災害対策にもなる緑地を増やすことが重要。
個人でできる規模は小さいが、自宅のベランダや庭でハーブや花を植えることによって小さな緑地をつくることができる。今までやったことがない家庭が百戸これに取り組めば、個々では取るに足らない数でも結果として立派な緑地となる。また、近隣に市民農園がある場合は枠が募集されているかどうか調べてみるのも良いだろう。
近年ヨーロッパではミツバチやチョウなどの花粉媒介をしてくれる虫が減少していることから、ガーデニングショップや市民団体がこれらの虫が好む野生の花の種を販売し市民に協力を促す機会も増えてきている。
僕も緑地という観点からではなく、家でも緑や花、その香りを楽しみたい、とベランダガーデニングを行っているが、確かに毎年ミツバチが我が家に寄ってくれる。都内に住んでいてもこうした自然の一部になって楽しめるので、まずはホームセンターなどで売られていたり植木の里親をされているところから鉢植えで初めて見るのがおすすめ。

一方、企業はオフィスビルの屋上や壁を緑化することで、ヒートアイランド現象の抑制に貢献し、従業員には憩いの空間を提供できる。実際に、東京・丸の内や銀座のビルの屋上で養蜂が行われている場所があり、おそらくうちに来るミツバチもここのコたちではないかと思っている。

(2)コンポストにトライしてみる
ごみの削減・資源としての再活用は、都市の資源循環にとって重要な課題だ。
家庭ごみの約半分は食べ残しや料理の際に出る生ごみが占めている。生ごみを堆肥化できるコンポストを活用すれば大幅にごみの量が減らせり、ごみを出す回数が減ると家庭の袋の消費量も袋代も削減できる。自治体への負担も軽減でき、ごみ処理にかかっている財源を他に必要なテーマに使えるようにもなる。

上記の家庭菜園と組み合わせて堆肥を自宅の緑地に使えば資源の循環ができる。最近は、都市の家庭でも使いやすいようなコンパクトな商品が出ている。自治体が個人のコンポストや生ごみ処理機の購入に補助金を出している場合があるので、購入前に条件を調べてみるといいだろう。

(3)建物の断熱について学ぶ
海外の取り組み事例の中でも見てきた通り、建物の断熱は都市のエネルギー消費削減の鍵をにぎっている。自宅や自社ビルをリノベーションし、エネルギー効率の高い建物にすることは中長期的に見て必要な投資と言えるだろう。そもそも、建物の中で熱はどのように移動するのか、断熱とはどういう仕組みなのかを理解しておくことは、自分の暮らしの快適さを向上させるためにとても役立つ。例えば「グリーンズ」というNPOが開催している断熱に関する講座で、熱の仕組みや個人でもできる断熱の方法を学ぶことができる。

興味があるところで、出来ることから、取り組んで行きたい。

こちらの文章は以下のリンクを参考文献として使用しています。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。

皆様も、良い一日を。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集