「手段は目的ではない」ー2021年が終わる頃、一息ついて思うこと。
年末の、とある昼下がり。
私はずっと自分の頭の中を駆け回る悩みをどうにかクリアにしたいと、尊敬する兄に助けを求めた。
クリエイティブディレクターとして自らの力で歩んできた兄からは、学ぶことがたくさんある。
恵まれた兄妹関係を人生で得られたことはとても大きいと、社会人になってからより一層思う日々である。
正直な意見をぶつけてくれる存在がいると、自分だと目を背けてしまっていた、心の奥に眠る本心に耳を傾けることができる。
人生においてメンターの存在は必要だと何かの本で読んだ記憶があるが、私にとってそれはまさに兄なのである。
あることがきっかけで今の環境を変えたいと思ったとき、与えられた環境や昔の自分がとった選択に責任を負わせてしまっていることが度々あった。
時にそれは必要な逃げ道なのかもしれないが、環境のせいにしてしまっているうちは、いくら環境を変えても、きっとまた同じ繰り返しをしてしまう。
それでは勇気を出してとった選択に、いつまでも自信を持てない。
テーマに書いた"手段は目的ではない"とは、まさにこのこのことを指摘しているのだろう。
言い換えると「手段であって、目的ではない。」
何かを変えたいと環境を変えることはひとつの手段であったとしても、それを目的としてしまうのはちがう。
環境を変えて、どうしたいのか。
目的は、もっと他にあってもいいはずなのだ。
言われてはじめてハッとした。
誰しもが長い人生を振り返った時、
「あの頃にとった選択は間違っていなかった」
「あの頃にとった選択は間違っていた」
などと思う瞬間があるかもしれない。
その時に、どちらを思っていたいか。
私は迷わずとも前者である。
当時はそれが120%いい選択だと思ったことも、数年経てば様々な環境や人に影響され、経験を積んでいけば気が変わることもある。でもそれは、決してマイナスなことではない。
2021年。
今年はまさに、私にとって模索と挑戦の年だった。
環境の変化も自分の心の変化も起き続けた一年。
一言で言えば、めまぐるしかった。
やりたいと思ったことはすべて挑戦し、とにかくやってみた。とにかく、とにかく。
2021年5月、こんなnoteを書いた。
身近な人、久しぶりな人、私のことを知ってくれている人、色んな人がこの長い文章を読み、思い思いにメッセージを送ってくれた。それが何よりも嬉しかった。
思い描く理想と現実のギャップ、
心身ともにボロボロだった期間、
やりたいことを仕事にできた時の嬉しさ、
反響を得た時の喜びとやりがい、、
感じたことがたくさんある。
俯瞰して物事を見るというのは、日々自己分析をして、客観的に物事を見ていないとできないことなのかもしれない。日々の経験と思考の積み重ねなのだろう。
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昔から、家族や友人、パートナーに自分の心の内を話すようにしている。取り留めのない心情を言語化することで、見えてくるものがあるからだ。
そして、私を知ってくれている人は私の意見を汲み取った上でアドバイスをくれる。こんなに恵まれた、温かいやりとりはないと思っている。
私はきっと、人よりも日々起きる出来事や投げかけられる言動に対して繊細。だからこそ気づける部分もあれば、傷つくこともある。
でもそれって、ひとつの強みなのではないか。
相手の気持ちを尊重しながら愛のある言葉をかけてあげられる人になりたい。
信頼を置いている人たちには、時にはっきり意見を言うこともあるけれど、お互い様。そこには必ず愛がある。
"直感は過去の自分への信頼"
とある本で、この言葉を見つけた。
まさにその通りだと腑に落ちた瞬間だった。
これまで行動に移してきた自らの行動は、どこかで必ず自分の背中を押してくれている。
自信を持つきっかけになっている。
「どんな有名人も成功者も、みんな最初は何も知らない素人だった」
尊敬する編集者の方にこの言葉をいただいた時、これからの未来に可能性を感じることができた。
何か行動に移す前に立ち止まってしまうのは、不安やリスクを恐れているから。でも、やってみれば意外とできちゃった、なんてこともある。
一度立ち止まって考えることは時に必要だが、
立ち止まったままでいるのか、一歩踏み出してみるのか。そこに大きな違いがあるのかもしれない。
思い返したくないほど心に傷を負うような経験でさえ、振り返ればそこで鍛え上げられた忍耐力や精神的な強さが、大きく今に生きている。
そんな私が今思うことは、
「日々素敵だと思える人々との出会いがあり、心身ともに豊かに暮らせている今の環境に感謝しよう」ということ。現状維持、それ以上。
2021年は公私ともに、本当に怒涛の一年だったけれど、今とても清々しい気持ちで一年を締めくくろうとしている。
"手段を目的にしてはならない"
この言葉の意味が理解できたとき、然るべきと思う方向へ身を委ねることが怖くなくなる気がした。
YUKARI FUJII
Instagram:@yukaringram