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自ら進んで動く子に育ってほしい時のおすすめ小話

1. 他責思考や人任せにする子ばかりがいた場合…


学級の子どもたちを観察した時にもう少し自ら考えて進んで動いてくれたらいいのに…と思う時ありませんか?

また高学年にもなると委員会活動などで学校全体のために仕事をすることも増えますし、4年生は高学年準備に向けて委員会活動の体験も始まる頃で焦る先生もいるんじゃないでしょうか?

学級の子どもたちが自ら動けていないなと感じた時や、3学期などの次の学年へと意識を高めていく大切な学期の時にしていた話を今日は紹介します。

2. 気付きを与えるおすすめ小話


ある町でのお話です。

その町の町長さんは、自分の町の人たちが、親切で思いやりのある人になってほしいと願っていました。そしてあることを考えました。

町長さんは、夜中にこっそり、町の真ん中の広場に大きな石を運んできました。周りを見渡し、だれにも見られていないことを確かめると、広場のいちばん人通りの多い場所に石を転がしました。そして帰っていきました。

次の日の朝、一人の人が先を急いでいて、うっかりその石にぶつかりそうになりました。
「おっと、危ない!いったいだれだ?こんな場所にこんな大きい石を置いたのは?邪魔じゃないか!」
そう怒りながら行ってしまいました。
その日の昼は、広場で遊ぶ子どもたちがその石にぶつかりそうになりました。
「だれだよ、こんなところにでっかい石おいて!危ないなあ」
そう言うと、子どもたちは石から少し離れた場所で、また遊びはじめました。
夕方は、買い物帰りの女の人が、
「まあ、なんでしょう。この変な石。せっかくの広場なのに、邪魔ね!」
そういうと、足早に帰っていきました。
夜は、酔っ払いが通り、うっかり石にぶつかってしまいました。
「痛いじゃないか!だれだい、こんなところに石を転がして!気をつけろい!」
そういうと、酔っ払いはふらふらと歩いて行ってしいました。

次の日も、その次の日も、いろいろな人がその石のそばを通りました。
しかし、石をどけようとする人は、一人もいませんでした。

そうして一カ月がたちました。
町長さんは町の人々を広場に集めると言いました

「みなさん、この広場には、一カ月前から、この大きな石が置いてありました。みなさんはこの石をどう思いましたか?」
すると、町の人々は口々に言いました。
「邪魔よねえ」
「危うくぶつかるところだったよ」
「俺なんか、ぶつかっちゃたよ」
「まったく、だれが転がしたんだ」
「だれか片付けてくれないか」

一通り話が出たところで、町長さんは言いました。
「みなさん、じつはこの石を置いたのは、わたしです」

町長さんの言葉にみなびっくりしました。

「なんだって!」
「町で一番偉い人が、なんでそんなことをするんだ」
「邪魔じゃないか」
「ほんとうに、何を考えているの?」

町の人たちはみな、ぶーぶー文句を言いました。

町長さんは続けました。
「そうですね。たしかに邪魔な石でした。しかし、それなら、どうしてだれもこの石を片付けなかったのでしょう?だれかがちょっとこの石をどけてくれれば、またもとの使いやすい広場にもどったというのに」

その言葉にみんなはしーんとなってしまいました。

「だれもどけなかったので、いま、わたしがこの石をどけます」
町長さんはその石を動かしました。

すると、その石の下に袋が置いてありました。

その袋の中には、手紙とお金が入っていました。そして手紙にはこのように書いてあったということです。
「石をどけてくれてありがとう。これは、みんなのために進んで石をどける仕事をしてくれた、あなたへのお礼です」

「子どもがじっと耳を傾ける魔法のおはなし」

私はこの話がとても好きです。

子どもたちの中に「はっ」とさせられる気付きがあるからです。

石を見て

  1. 邪魔だなと文句を言う

  2. 危ないよねと心配する

  3. 気付いて石をどける

文句を言うならだれでもできる。心配できることは確かに大切。

でも1番大切なのは行動することで、ここが案外できていないのかもしれないということに学級中が気付きます。

「みんなのために何かができるというのはとても大切なことです。このような場面に出くわしたときに、みんなだったら石を片付けることはできたでしょうか?このお話のようにお金がもらえることはなかなかないかもしれませんが、みんなが自ら進んで仕事をしてくれると喜んでくれる人がたくさんいると思いますよ。」

と話し、さらに続けます。

「町長さんは自分の町の人たちが、親切で思いやりのある人になってほしいと思って、石を置きました。きっと誰かが邪魔で危険な石をどけてくれることを信じていたんですよね。ではこの学級を見渡してみるとどうでしょう?
誰も気づいていない床のゴミに気付きゴミ箱に捨てる〇〇さん。1人になっている友だちを見ると必ず声をかける〇〇さん。決まった場所の掃除が終わっても、時間いっぱいまで汚れた場所を見つけて掃除する〇〇さん。
実は学校の中ではみんなの気付かないところに気付き、そうやって進んで動いている素敵な友だちがたくさんいるんだよね。もうすぐ〇年生になる皆が今よりももっと「気付く力」をのばし「進んで動く力」も身に付けてくれることを先生は願っています。

次の学年に向けて意識を高め、少しでも成長させて次の学年にバトンタッチしていきたいですね🍀

今は誰でも簡単に意見を述べることができる時代です。
匿名でだって言えてしまいます。
いろんな正義があちらこちらに溢れています。

ですが、行動にまで起こせる人はどれくらいいるのでしょうか?

そう考えるとこの話は、大人の世界でもたくさん言えそうです。

だからこそ私は、自分が受け持っている子どもたちだけでもこういう話をして、

「文句を言ったり意見を言ったりするだけじゃなく、その先の行動まであるといいね。先生はみんなのことが大切だから、良いと思ったことはすぐに行動できる人になってほしいな。」

というメッセージを、時を見ていつも伝えるようにしていました。

3. 周りに目を向けてみると…


最近暗いニュースや悲しく残念なニュースも続き、どうしてもそちらにばっかり目がいってしまいますが、視野を広げて世の中に目を向けてみると素晴らしい行動を起こし続けている素敵な人たちが実はたくさんいることにも気付きます。
なのでやっぱり私は画面の中だけでなく、そういう本物の人たちに子どもたちを出会わせたいなと思わずにはいられません。

自戒の念も込めて、私自身も行動できる人でありたいですし、子どもたちにも良いと思うことを進んで行える人であってほしいと願っています。

大きな行事が終わり、子どもたちの気が抜けてしまうのではないかというタイミング。学級の子どもたちが自ら動かず人任せにしているな?と思えるようなタイミング。もう3学期で、次の学年に向けて、今がその時かもしれないと思われるようなタイミングなどで学級の子どもたちに話してみてはいかがですか?

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