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言葉を大切にする心:外来語を日本語にしたすごい人

文章力養成コーチの松嶋です。
私は音声配信メディアのVoicy、standFM、VOOXをよく聴いています。特にVOOXは、教養を深めるのにとても良い媒体です。今日聴いたのは、山口謠司氏の講話。国語教師として、言語にまつわる話はやっぱり興味深いですね。

外来語をそのまま使うべきか、それとも日本語に訳すべきか。効率やグローバル化を考えると、外来語をそのまま使った方が良さそうに思えます。いわば「概念の輸入」です。でも、私はそうではないと考えています。

日本にも同じ概念があるなら、それに合った日本語を与えるべきだと思うのです。ない場合には初めて外来語を輸入する、という順番が自然ではないでしょうか。

例えば「もったいない」という概念は、もともと海外には存在しませんでした。それが「MOTTAINAI」という日本語と共に海外に広まり、今ではその概念も広く知られるようになっています。

また、「カンパニー」と「ソシエテ」という言葉。どちらも似た意味を持つ言葉ですが、微妙に精神的な意味合いが異なるのだそうです。この違いを曖昧にしてしまうと、概念そのものが曖昧になってしまいます。まさに、「はじめに言葉ありき」「言葉の定義ありき」なのだと感じます。

幕末から明治にかけて、多くの外国語が日本に入ってきました。その中で、ただカタカナにして使うのではなく、日本語で何と表現するかを議論しようとした流派がありました。青地林宗という方が率いた「同志會」という組織です。

蘭学の訳書が増えるにつれ日本にない言葉を訳す際、個々人で訳語、造語が出来ることに早くから懸念を抱き、訳語の適正化と統一を目的とした組織「同志會」を提唱し日本の翻訳事業に大きな道筋を指し示した。

wikipediaより

その志の高さと信念には感銘を受けます。将来の日本のために、単純にカタカナ表記にするのではなく、議論を重ねて日本語訳を決める。この真摯な姿勢こそ、言語を大切にする心そのものだと感じます。

「概念があるなら、日本語ではどう表現するだろう?」
そう考えることは、私たちが言葉と真摯に向き合う第一歩だと思います。

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