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自分が寝ている時にも働いている人がいると思える想像力はどこで育まれるか

絵が素敵!
子どもが本を選ぶ時は、そんなインスピレーションで選ぶ子も多いと思う。

この本は、自分達が寝ている夜に、仕事をしてる人たちがいるという話で、全てのページの絵が、夜の街のシーン。そこに描かれているビルやアパートの窓一つ一つに、何かをしてる人が描かれている。
「あ、ここにはこんな人がいる」「ここに猫がいるね」「ここに鳥が飛んでるね」「この窓にはこんなことをしてる人がいる」「パン屋さんには、色々なパンが並んでるね」「24時間営業のスーパーはどうかな」などなど、1ページ1ページ、めちゃくちゃ親子で対話して欲しい。
そしてそんな話ができるお子さんがいるママたちを、羨ましく思うおばさんです(笑)

この本にはもちろん教育的な意味もある。例えば、自分が寝ている間にも働いてる人がいて、その人たちのおかげで自分の生活は成り立っているということを感じ取ってほしいとか。
だけど、実はそんなことは、後からじわじわ来るもの。で、その後からじわじわ来るために、一度実体験が必要。で、やはり夜出歩く機会が少ない子供が実際に体験をする機会は少ないので、そういう子たちの為に、こういう絵本って大事なのかな。
いつも太陽の光の下でしか見たことがないお店が、夜では、こんなに暗いっていうことが、店内から見た窓の外の暗さで伝わって来る。
こういう事って、想像力がつけば思い浮かべられるものではなくて、やっぱり色々な角度からの助けが必要。

例えば24時間営業のスーパーマーケットで買い物してる人がいるシーン。窓の外は、暗いし、その窓の外に、救急車やバスなどが見えて、そしてバスの中には人が乗っている。そういうところを見て、昼とは違う景色をまずインプットされて、実際に、ちょっと夜遅くなっちゃった時なんかに「あ、あの絵本で見たような感じ」とイメージが重なり、そうすると初めて、元々培われて行った想像力も手伝って「自分が寝ている間にも働いてる人がいる」というところにきつくんじゃないかな。

想像力って、いろいろな実体験、本などでの疑似体験を積んで、培われていくものだと思う。突然「夜、あなたが寝ている時に働いている人もいるので感謝しなさい」って言われてもね(笑)
自分の人生だけでの実体験って、どう頑張っても一人分だから、他人の視野が体験できる「読書」ってほんと大事。

そんな理屈は置いておいて、この絵本は本当に絵が素敵なので、大人の人も、ちょっと本屋で立ち読みしてみて欲しい。今の時期だと児童書コーナー入り口に、平積みになっているからどうぞ。

この絵本に関しては、出版社がnoteで記事を書いていました。

読書感想文の話をマガジンでまとめています。


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