読書感想文は怖くない!! 「全国コンクール」も目指せる書き方のコツ大公開
夏休みの宿題の定番、読書感想文。国語が苦手な子どもにとっては、作文用紙を埋めるのも精いっぱい。しかし、ちょっとしたコツさえつかめば、読書感想文は簡単に書けます。コンクールに選ばれるのも夢ではありません。
元小学校教員であり、「青少年読書感想文全国コンクール」で地方審査の経験もある筆者が、読書感想文を書くポイントを紹介します。
1 優秀作品から○○を盗め! あらすじよりも大切なこととは?
まずやってほしいのが、過去の優秀作品を読むこと。「青少年読書感想文全国コンクール」のホームページでは、その年の上位入賞者の作品が紹介されています。それらを読んでいくと、共通している構成があることが分かります。
それは、
・本を読む前の自分
・本を読んで、どんな風に考え方が変わっていったか
・本を読んで変わった自分の考え方
という大きく分けて3つのまとまりで話が進んでいくということです。
読書を通して変わった「ものの見方・考え方」を書くのがポイント。本文中のエピソードと自分自身の体験とを重ね合わせて書くと、説得力が増します。決して、あらすじをだらだら書いてはいけません。
ぜひ一度、優秀作品をお子さんと一緒に読んでみてください。読書感想文のゴールのイメージが湧き、書く意欲にもつながります。
2 選書が命!審査員の心を動かす感想文が書ける本の選び方
読書感想文に書く本を、「課題図書だから」「インターネットでお薦めされていたから」という理由だけで選ぶのはとても危険です。本を選ぶときに一番大切なのは、「子ども自身の体験と重ね合わせることができるか」だからです。
ある年の読書感想文コンクールの課題図書に『奮闘するたすく』(まはら三桃著、講談社)という本がありました。主人公は、5年生の男の子、佑(たすく)。夏休みに認知症のおじいちゃんに付き添ってデイサービスに行くことになり、お年寄りと出会う中で成長していく物語です。この年の課題図書部門は、『奮闘するたすく』を選んだ児童の作品が地域審査会で上位を占めました。
印象的だったのは、自分の祖父母と重ねて書いている児童が多かったこと。「今まで認知症の祖父と話すのは苦手だったけれど、この本を読んで変わった。僕も、佑のように…」という風に、本をきっかけにして自分のものの見方や行動が変わるところに、審査員の心は動かされるのです。
とはいっても、なかなか自分の考え方を変えてくれた本に出会うのは難しいですよね。そこでおすすめなのが、伝記や随筆などの人の生き方が表れている作品。その中でも、子どもが興味をもちやすい人物の本を選ぶと良いでしょう。
スポーツが好きな子どもなら、スポーツ選手の伝記、宇宙に興味がある子なら宇宙飛行士の伝記。子どもの将来の夢につながることだと、自分のことと重ねて書きやすくなります。
低学年だとまだ伝記は難しいので、科学読み物がおすすめです。日常で感じた疑問を、本を通して解決していくところが表れるように書くことがポイント。本で紹介されていることを実際に実験したり観察したりすると、具体的にエピソードを書くことができます。
もちろん、物語を選んでも構いません。その場合には、主人公が自分と似ているか、似たような体験をするものを選ぶと良いでしょう。
3 字数は9割以上が原則!下書きをして確かめよう
「青少年読書感想文全国コンクール」の文字数は、以下の通りです
・低学年(1、2年生)800文字
・中、高学年(3〜6年生)1200文字
これを400字詰め原稿用紙に換算すると、
・低学年 2枚
・中、高学年 3枚
となります。小学生にとっては、かなりの文字数です。しかも、注意をしなくてはならないのが、この文字数の中に題名や氏名は含まれないということです。コンクールで入賞している作品をみると、全て9割以上の文字数。原稿用紙の最後の行まで書いてある作品がほとんどです。
しかし、ちょうど良い文字数で書くのはなかなか難しいものです。そこで、大切なのが「下書き」。文字数が数えやすいように、裏紙ではなく、原稿用紙に書くようにしましょう。段落やかぎかっこの使い方でおきる行のズレも確かめることができます。
パソコンやタブレットを活用するのも1つの手です。原稿用紙の設定ができるソフトもありますし、文字数のカウントも簡単にできます。何より、修正するのが楽なので子どもの負担が減ります。もちろん、清書のときには、ていねいな字で書くよう心がけてください。
※「青少年全国読書感想文コンクール」は、学校内審査→市区町村・地区審査→都道府県審査→中央審査の流れで審査が進みます。地方審査において原稿用紙の使い方に関しては独自の規定を設けている場合があるので、学校からもらう要項をご確認ください。
もう読書感想文は怖くない!
読書感想文を書くときに、知っておくと良いポイントを3つ紹介しました。まずは、コンクールの優秀作品を分析し、読書感想文の構成をつかむこと。次に、自分の生き方や考え方につながる本を選ぶこと。そして最後に、必ず下書きをして、指定文字数の9割以上を目指すこと。
この3つを意識すれば、作文が苦手な子どもでも、読書感想文の宿題は怖くありません。また、読書感想文が書けるようになると、書くことに自信がつくという良さもあります。せっかく時間をかけて取り組む宿題です。これをきっかけに、ぜひ全国コンクールを目指してみてはいかがでしょうか。
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