休職中に元気をもらった詩「なんにもない」谷川俊太郎
休職中だという人
心がなんだか疲れているという人
失敗をして落ち込んでいる人
そんな人におすすめしたい詩がある。
谷川俊太郎さんの「なんにもない」という詩だ。
なんにもない
なんにもない なんにもない
車もなければ家もない
ないないないないないないずくし
なんにもないから楽しいんだ
生きているのが好きなんだ
なんにもない なんにもない
着たきりすずめのすかんぴん
ないないないないないないずくし
なんにもないからこわくないんだ
いつでも旅に出られるんだ
なんにもない なんにもない
見栄もなければ嘘もない
ないないないないないないずくし
なんにもないから空があるんだ
今日という日が始まるんだ
「なんにもない」谷川俊太郎(『空に小鳥がいなくなった日』サンリオ)より引用
「なんにもない」と普通ならマイナスのことを、「なんにもないから楽しいんだ」とプラスに変える谷川俊太郎さんのパワーがすごい。「なんにもない」方がお得じゃないかとさえ思えてくる。
「見栄もなければ嘘もない」
私は、休職を経験したことで、変に周りの目を気にしなくなってきた。
今までずいぶん見栄を張って生きてきたのだと振り返って思う。できない自分に嘘をついて、見栄を張って苦しんでいたのだ。
見栄も嘘もない今は、なんて体が軽いのだろう。
私は先日、退職を決断した。
退職すると、今まで積み上げてきたキャリアは消え、社会的な肩書きがなくなる。もちろん、そのことは不安だ。だけど、この詩と出会って、なんにもない自分だからできることがあるかもしれないと思えた。
「なんにもないからこわくないんだ」
なんにもない自分を楽しめるって最強なんじゃないかな。
※紹介した詩はこちらの本に載っています