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「微アル」はお酒じゃない?コロナ禍の飲食店でアルコール提供自粛を救う大発明に感銘を受けた件


「微アル」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

”アルコールが1%以下の飲料”としてコロナ禍に発売された「微アルコール」の商品、ビール大好きなわたしが飲んでもかなり美味しい。

1.「微アル」は定義上「お酒ではない」という事実


実はこの「微アル」、法律上は「お酒ではない」ことをご存じだろうか?

コロナ禍で生まれたビール風飲料「BEERY(ビアリー)」「微アル」は、法律上はお酒ではなく清涼飲料水だ。

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我が家の微アル缶を見たところ、「炭酸飲料」と言う品名になっている。

酒類とは酒税法で、アルコール(エチルアルコール)分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む)と定義されています。


こちらをいち早く世に出したのがアサヒ飲料。

開発者の話では、世界的な低アルコールブームと、お酒を飲まない世代へのアプローチと言うお話ではあるが、実際のところ、本来の目的はそれでは無い気がする。なんというか「建て前」な印象。


2.「微アル」ビールを飲んだら、従来のノンアルビールとは桁違いにうまかった


一応開発者のお話では、アルコールを飲まない層へのアプローチと言っているが、きっと、わたしのようなビール好きのために開発された商品と信じたい。

その証拠に、この商品は従来のノンアルコールビールと違い、ビール好きのわたしが飲んでも、とてもおいしい。

アサヒの「BEERY ビアリー」しか飲んでないのでそちらの感想になるが、従来のノンアルコールは「ビールっぽい何か」であって、全くビールとは別物なのに対し、ビアリーは、「アルコール度数の低いビール」だ。ちゃんとビール。

その違いは、作るベクトルの違いにあるそうだ。
ノンアルビールは、ビールに近づけるために味を調合して作っている。一方、微アルのビールは、本来のビールからアルコールを抜くという手法で作っているそうだ。

アプローチの角度が違うだけで、こんなに味が変わるものかと驚くほど、「ビアリー」はビールに近い。というか、酔わないビールって感じ。

ぶっちゃけビール好きの私からすると、お酒が好きじゃない人はまず、アルコールだろうがなんだろうがビール味のものは飲まないし、

私のような1日がビールがないと終わらないような人間は、アルコールが0.5%だろうが何だろうが、とにかくビールを口にしたい生き物だ。

だからやはり、全国のビール好きが恋してやまないビールにできるだけ近づけたものを提供できるように苦戦してくれたと感じる。ありがとうアサヒビール。


3.コロナ禍で悪者にされてしまったアルコール


「微アル」飲料が、健康志向で飲まない層を取り込む、というのも、もちろんターゲットではあろうが、「建て前」感が否めない。

コロナ禍で、飲食店の営業自粛が要請され、飲食店に閉店が相次いだ。その後、営業はよくても、アルコール提供の自粛要請が発せられた。

わたし自身も閉店したお店をたくさん見た。飲食店はどこも苦戦を強いられているところばかりだろう。

そして、飲食店経営者に聞いた話だが、お酒を出すお店では、アルコールの提供がいちばん利幅が高いとの事。

というかぶっちゃけ「お酒を頼んでくれないと商売あがったり」状態らしい。

だから、いくら飲食店が食べ物を提供したところで、お酒を頼んでいただかないと十分な利益が出ないということだ。


コロナ禍では、「お酒を飲むとみんな酔っ払って、話が弾んでおしゃべりして飛沫が飛んでコロナがうつる」という理論のもと、アルコール提供するお店は自粛要請された。営業時間も含め、居酒屋やバーは沈没しちゃう勢いで。

未曽有の危機で、あれこれ迷走する施策のなかのひとつであるし、何が正解か分からないが、飲食店は確実にそれでとばっちりを食った。

確かにアルコールを飲むと、長時間ダラダラと飲みがちだし、話も弾む。だが、私たちおばちゃん声からすると、お酒がなくてもコーヒー一杯でおしゃべりが盛り上がるし、ウイルスは時間と場所を選ばない。だからあまりお酒の提供は関係ないような気がするのだが、それが政府や自治体の方針として打ち出されてしまったのだから仕方ない。

「仕方ない」で済むのは私のような飲食業に携わっていない者だから言えることであって、実際お酒を提供するお店の立場から言えば、マジで勘弁。というのが本音だろう。

ビールを作るメーカーの売り上げがどうなったかは私はよく知らないが、夜に営業する店が減り、飲む場所が減った分、家飲みが増えただろう。とは言え、そもそも大勢での集会が自粛ムードの中、いくら家飲みしたところでアルコールの消費量は知れている。

4.苦境の中で「微アル」をひねりだしたメーカーの情熱に感動


「微アル」飲料の開発者のコメントに書かれてない部分をあえて私が想像で言ってしまうのは気が引けるが、それが個人ブログの良さであると思うのであえて「想像で」述べてみようと思う。


ここはわたしの想像の域を出ないが、

先の見えない状況の中、ビールなどアルコール飲料メーカーや飲食業が、なんとかこの苦境を乗り切るため、何か新しい価値観を創造して、新しい価値提供を必死こいて考えないと!と知恵を絞りだして考えたのが、この「微アル」なんじゃないかと思うのだ。


コロナ禍で、息子と予約制の博物館に行ったとき、開いていたレストランに入った。そこで「BEERYビアリー」のポスターを見かけた。「アルコール0.5%」と書いてある。

ビール好きのわたしは、外出先で生ビールを飲むのが何よりも好きなのでビールアンテナが立っていたのだろう。

通常のビールは3~5%のアルコール度数。それに対して、0.5%のアルコールなんて意味あるの?飲む人いるの?そもそもコロナで自粛じゃないっ気?と疑問がいっぱいになった私は、そこの店主に聞いてみた。

「これってアルコール入ってるんですよね?自粛大丈夫なんですか?」と。

するとそこの店主は、小声でそっと話してくれた。

「実は苦肉の策でして。法律上アルコールが1%未満のものは、法律上”お酒”と呼ばないんです。

法律の隙間をついて、うまいこと開発したのがこの商品で、ビールではなく炭酸飲料の部類に入るため、提供可能と言うことで提供させてもらってます。」

とのことだった。

本当にこのコロナ禍で講じた苦肉の策なのだなと感じた。

これを発明して提案した人が、実際にどんなことを考えて作ったのかは私には知る由もない。

だけど、きっとコロナ禍で、例えば自分の勤める飲料メーカーが生き延びる方法や、そのお酒を提供する飲食店が生き残る方法はないか、何とかならないかひねり出してひらめいたのがこの商品なのではないだろうか。

法律の隙間をいとも張りの糸を通すように法律の隙間を縫って、違法ではない状態で新しいアイデアをひねり出す。

そこには執念と愛情と情熱を感じてしまうのだ。


5.与えられた環境の中で、なんとかしようとする力が大事


まさかこんなコロナ禍がやってくるとは、誰も想像しなかったと思う。

だが、そんな環境の変化を嘆いても、何も変わらない。嘆いている間にどんどん置いて行かれる。

その中で、どう生き延びるか、なんとかならないか考える姿、厳しい状況の中、どうにか新しいひらめきはないかと回答をひねり出す執念、こういう姿が大好きだ。

ちなみにここでは、コロナ禍になんとかアルコール類を提供しようとすることに対する是非はあえて論じない。

いくら世の中が、アルコールはおしゃべりが増えて感染するからやめましょうと言ったって、それは政府側の立場の話だ。そうではない、生活がかかっている人の立場からすれば、そんな一方的なことは言ってられないと思うからだ。

だからここではその是非については、脇に置いておく。

ただ私は、この商品を見て、なんとかしなくちゃという情熱を感じるのだ。

6.たぶんこうだったんじゃないか劇場


そして私の想像でしかないが、多分最初に考えたのはアサヒ飲料の人。

2021年6月、突発的にコロナ禍がはじまり、まる1年以上経過した頃。飲食店の時短営業と、酒類の提供自粛が要請されている最中、この微アルを発売したのがアサヒビール。


2021年6月29日発売。


そしてその後、後を追うように、サッポロから「ドラフティー」と言う商品が発売された。アサヒの「BEERY」がアルコール度数0.5%に対し、こちら0.7%。

2021年9月14日発売。

こんなことを言っては失礼かもしれないが、サッポロビールの人は、アサヒの「微アル」を見て

その手があったか!!!!

と驚愕したのではないだろうか。

おそらく大騒ぎになって、即後続品を作れと稼働して、3か月後に発売。みたいな。

せっかくならアルコール度数をもう少し盛っちゃえ、とビールを飲みたい人向けに0.7%と強気。

しかしながら、「先んずれば人を制す」とばかりに、話題になるのはアサヒのビアリー。「微アル」というキャッチフレーズもナイス。

そうはいっても、微アルか普通のビールか、どっちを選ぶかと言われたらやっぱり普通のビールが飲みたいが、

アルコール提供ができないという予想もつかない苦境の中、「微アル」の概念、そしてビアリーを開発したアサヒビールにエールを送りたい。

今日もお読みくださりありがとうございました!



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