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ルネッサンス時代の貴婦人の肖像


ピエロ・デル・ポッライオーロ 「貴婦人の肖像」 1480年頃 ウフィツィ美術館


澄んだ青空を背景に、落ち着いた優しい眼差しで左手を見つめる女性。少し濃いけど、紅潮した頬から生き生きとした感じられる、私の好きな作品の一つです。依頼主や描かれた女性については謎ですが、身につけている衣装や宝石、丁寧に結い上げられた髪型から、高貴な家柄であることが分かります。



赤いベルベットの外衣、金色の縁取りと多色の房飾り、ザクロの模様があしらわれたチュニックの袖、髪や首元を飾る真珠、胸元のブローチなど、豪華絢爛です。


恐らく、ルネッサンスの時期慣習となっていた、結婚の際に描かれた夫婦の肖像画の片方です。


ザクロの模様は豊穣の象徴、髪や首元を飾る真珠は結婚に結びつけられる宝石です。また、腹部にふんわりとかかる外衣は将来の母性を示唆します。


15世紀に流行ったザクロ模様。
宝石はオシャレのためだけでなく、おまじないの役割も兼ねて着けていた。


この作品はボッティチェッリと同じ時期に活躍した芸術家、ピエロ・デル・ポッライオーロに帰属される作品です。



彼は兄のアントニオが布の模様のデザイン、宝石制作も手掛けていたため、この肖像画に見るような詳細な描写ができたのでした。


この作品、私がまだ日本にいた時、上野の西洋美術館に来たことがありました。その時は女性の優しい雰囲気に惹かれただけでしたが、フィレンツェで再開した時、服や宝石の華やかさにも圧倒されました。特に、胸に天使のをかたどったブローチがあることを知った時は衝撃でした。



これは金、エナメル、ルビー、サファイア、真珠で作られています。実物を見てみたいですね。



この肖像画はウフィツィ美術館の展示前半、ボッティチェッリの部屋の手前にあります。



美術館にいらした時の参考になさってみてください。


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