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ボッティチェッリ 「ヴィーナスの誕生」 

もう一つボッティチェッリの有名作品を。


1485年頃 ウフィツィ美術館所蔵。左に西風の神ゼフィロスと妹アウラ。右にキプロス島とそこでヴィーナスを待っている時の女神ホーラもしくは三美神の一人。


神話によると、ヴィーナスは海の泡から生まれたと言われます。きっかけは両親の夫婦喧嘩でした。




彼女の両親である天空の神ウラヌスと大地母神ガイア。2人がティターンという神々を生んだ後、更に一つ目の巨人キュクロープス、百手の巨人ヘカトンケイルが生まれます。




2人を気に入らなかったウラヌスは、地底に閉じ込めてしまいます。


怒り狂ったガイアは息子クロノスに夫の急所を釜で斬らせ、キプロス島の側の海に捨ててしまいます。そこから泡がたち、生まれたのがヴィーナスでした。



しかしながら、この作品は彼女の誕生を描いたものではありません。



人間がまだ原始的な生活を送っていた時、愛情豊かに美しいものにふれて心豊かに過ごしてもらおうと思い立ったゼウスが、愛と美の女神ヴィーナスを人間界に送ったところを表しています。西風の神ゼフィロスと妹アウラが彼女が無事上陸できるよう、風を起こして助けています。



右には目的地のキプロス島と女神を包むべくローブを広げて時の女神ホーラが待っています。



前回の「春」も「ヴィーナス誕生」も誰が何のために依頼したか不明です。ですがメディチ家別荘にあったことと制作年から、一族のメンバーが結婚する記念に描かれたと考えられます。



ルネッサンス時代、ヴィーナスは愛と美の女神であるため、結婚と結びつけられました。特に裸体の女神は古代ローマ時代に考えられていたように、汚れのない純潔の象徴でした。そのため、花嫁に向けたメッセージと考えることができます。


恥じらいで体を髪で隠そうとするのは、貞節を意味する


ボッティチェッリの美しい絵画を結婚祝いとしてもらえたなんて、素敵ですね。


髪など陽の光が当たる所には細い金の線が引いてある。見る角度によってキラキラ輝く。



ウフィツィ美術館にいらっしゃる時の、参考になさってみてください。


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