マリア様が天に迎えられた日
お盆の期間にイタリアにいらして、お休みのお店が多いことに驚かれた方も多いと思います。
特に8月15日は「聖母マリア被昇天の祝日」のため、ヴァチカンのお膝元にあるイタリアでは、この日を中心にしっかり休みます。ミサに行く人はほとんどいませんけど。。
聖母マリア被昇天とは、文字通り彼女が天に召された日です。でも一般の人が天に迎えられるのとは違います。
人間はこの世での生を全うした時、死を迎えます。この際、魂と肉体は別々です。然るべき時が来た時、最後の審判で正しい行いをしてきた人の魂は天に迎えられ、埋葬してあった体と共に復活します。
ですが、教会の教義では、イエスと聖母だけは現世での生活が終わったら肉体ごと天に召し抱えられます。それが「昇天―Assunzione」です。
イエスは神の子であり審判者なので、そのまま天に昇ります。
マリア様は男性との関わりを持たずに神様の力でキリストを身籠り出産したため、穢れ無き存在と見なされてきました。そのために、原罪(人間が生まれながらに持つ穢れ/罪)から免れ昇天できたのです。
彼女が現世で役目を終えかけた時、大天使が彼女が3日後、天に迎えられる事を伝えます。そのお知らせはイエスの弟子たちにすぐに伝えられ、彼女に最後の暇乞いをすべく駆けつけます。
弟子たちに見守られながら、眠りにつく聖母。母を迎えに来たイエスが「アニムラ」と呼ばれるマリア様の魂を抱え、天使と共に彼女の体ごと昇天していきました。
この教義は1950年にようやく教皇庁で認められましたが、5世紀から民間で親しまれており、多くの名作を生み出してきました。
マリア様が昇天する時は、アーモンド型の光りに包まれて天使に付き添われて昇っていく、という図像が定番です。でも時代によって様々。バロック期には丸屋根の内側の形を利用して、天に吸い込まれるように描いた作品もあります。
今日取り上げた一枚もそのスタイルで、フィレンツェで一番私がお気に入りの聖母の昇天です。
フィレンツェにいらっしゃる時の参考になさってみてください。
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