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越前リョーマ考(4)キャラソン解釈編/「R′」〜テニプリはデ○ズニーを超えてその先へ

もしもテニプリに”音楽”がなかったら。

そんな仮定は「ありえない」と断言できるほど、キャラクターソングをはじめとする数々の音楽コンテンツは「テニスの王子様」という作品に、そして私の推し活になくてはならないものになりました。
テニプリは2024年で連載25周年、積み重ねてきたCD総数は500タイトル
500曲じゃなく、シングルアルバム含めて500枚のCDが出たということですけど…
この「前人未到」の名にふさわしい偉業に、神々の残してくれた軌跡に、私は天を仰ぐしかありません。

かたや私は「テニスの王子様」と出会ってまだたったの3年めです。映画「リョーマ!」の公開や新テニW杯編のアニメ化などもあって、この3年で越前リョーマ個人名義の新作楽曲も奇跡かと思うくらいにたくさん発売されましたが、私がリアルタイムで知っているテニプリ、越前リョーマなんて、作品の重ねてきた歴史のほんの一部分に過ぎません。
なので、推しキャラの輪郭を知るために、とりわけ「彼」が原作で描かれてきた以外の心の奥を知るために、過去コンテンツからの履修は欠かせませんでした。前回のキャラ考察でも「キャラソン解釈編」としてリョーマのCDアルバムレビューを書きました(↓)が、この記事で取り上げたアルバムの発売日は2004年です。


『SR』の発売は、20年前。

20年前に発売されたリョーマの2ndアルバムについて2023年に記事を書いていて、今年、2024年に最新4thアルバムについてレビューをしようとしてる…(3rdアルバムですら2012年…干支一周してる)
連載25周年、CD500タイトルという歴史がすごい。途方もない。
令和になって推しキャラの新作CDアルバムを購入し、こうしてリアタイレビューする機会が訪れるとか…テニプリと同じ時代に生きていられたことに、感謝しかありません。

「テニスの王子様」という前人未到の傑作コンテンツに、キャラクターの心を歌った「音楽」が添られる。そしてその音楽が、キャラクターがリアルに実在する一人のミュージシャンであるかのように、「アルバム」という形式でアートワークになっていく。
そんなHAPPYなテニプリワールドをこの世界に生み出して下さった許斐先生、松井P様、CV皆川さん、そしてUZAさんをはじめ楽曲制作にご尽力くださったアーティスト&クリエイターの皆様、本当に本当に、ありがとうございます。

ここに狂気の楽曲レビューを書いていこうと思いますが、全ては
作詞家の皆様が描き出すレトリック、歌だからこそ表現できたキャラクターの思いや、歌だからこそ描ける側面世界に、個人的かつ勝手な想像をめぐらせたものです。
FEEL MEなどで松井Pのブログを追っていれば知り得た裏話もあったのかもしれませんが、そういうブログがあると知ったのもつい最近のこと&ファンの皆様の感想などもほとんど追えてないので、本当に何も知らないまっさらな状態で書いています。

「越前リョーマ」というキャラクターが歌う楽曲について、制作側の意図を知りもしない状態で勝手に深読みしていく解釈、視点の持ち方にご不満のある方も多いかも知れません。異論反論ある方も多数おられるとは思いますが、これも私の推し愛・個人的な考察のひとつの形ということで、記録することをお許しいただけると嬉しいです。

以降、アルバム曲の感想については、

①自分の性癖・趣味趣向
②歌詞解釈を展開できるもの
③リョ桜解釈したいもの

が中心で、全曲の解説ではないことをご了承ください。
バレキスのような企画曲や「テニスアイドル越前リョーマとして期待十分な曲」についてはスルーしており、偏向考察&ただの音楽的趣味語りとして狂った文章を書いています。
また対象の明示されていない一部曲中で、リョーマの歌う「あなた」「君」はだいたいにおいて「竜崎桜乃ちゃん」という前提で話を進めています。なんか違うかもと思う方はどうかマイナス検索の上、そっ閉じてお戻りくださいませ。

越前リョーマ「R′」(初回限定使用盤)

まずこのジャケット画像を見て(もはや誰に向かって書いているのか不明)

アニメイトの特典はA4サイズでした。額縁がいる。


夜の遊園地?!

メリーゴーランド?!

なにこの私の好きを詰めるだけ詰めこんだ解釈一致な背景は。

もうね、見てるだけで泣けるくらい感動するんだけどね????
あのね?!?!リョーマが持ってるのはラケット型ギターですか?!?!
え、これ、テニスアイドルのライブですか…?
私がずっと渇望している、テニソニで見たVRリョーマのライブセット…?

発売前から幻覚を見てる、動揺してLIVEがLINEになってる


では開演です。
(始まる前からこのテンションなのでどんどんおかしく&長くなります。引き返すなら今のうち)

01.R′(Introduction)

初回特別仕様盤のみに収録されている、アルバムタイトル曲であるインスト「R′」。

私はもともと、こういう“CDアルバムならではのこだわり“が感じられるインスト曲や導入部というのがものすごく好きです。
3rdアルバムの『RYOMA』には「TAKE OFF-INSTRUMENTAL-」という曲が最初に収録されていました。映画のオープニングのようなドラマチックさと高揚感あふれるメロディに、空港のデッキでまさに離陸していく飛行機を見送るような滑空音。新テニの「越前リョーマ」そのものを表現したアルバムの構成がすごく素敵。

今回の「R′」はアレンジを変えた三部構成ということだけ知っていて、そして
01 Intorduction(導入)
12 Interlude(幕間)
14 Reprise(再演)
というサブタイトルがつけられていたので、どんな曲なんだろうとずっと楽しみにしていました。

・・・。

18秒が、想定外すぎて、泣いた。

はじまったけど、もうこれで終わっていいくらい。
ここだけで何十回もリピできる。

これはね、あのね
これから演奏を始める楽器奏者にとって、これから試合を始めるテニスプレイヤーにとって、
そう、同じ「PLAYER」にとって、これはまさしく「チューニング」です。

あのね、
テニプリの音楽として、これ以上の音楽はないよ。最高オブ最高。
むしろ音楽という概念を超えて、テニスをする彼らの背景音っていうのはこれだけでいい。全ての始まり。

テニスに、音楽を重ねる。
テニスを、音楽で語る。

それがこういう形で実現されるとか……
構成考えた方、松井さん?天才ですか?

まだ薄暗い開演前のステージの上で
ひとり静かにウォーミングアップをはじめる越前リョーマの背中が見える…

(これ以上書いてしまうと感動がなくなるので言語化の限界を感じる)

02.You got game?

私が今更何も語ることなんてなにもない神曲。
越前リョーマ名義(CV皆川純子さん)のこのバージョンてアルバム初収録なんですね!発売日が2018年11月7日のマキシシングル。無印アニプリのリアタイ世代ではない私にとっては、これは「越前リョーマ」の代表曲という認識でした。無知すぎる。

この曲を、限定盤編成で「R′(Introduction)」の次の歌い出しにもってきた方は神様

「R′(Introduction)」はね、もうそれだけで最高のASMRなのです。テニスのラリー音、打球音ってメンタルを安定させてくれるリラックス効果があるよね!

徐々にリズムを上げていく壁打ちの音に重なるのは、これまた最高のリラックス&集中効果がある、オーケストラの調音。
ストリングス、そしてフルオケの生演奏が大好きなので、もうこの調音だけでわぁぁぁぁぁぁぁああ??と語彙力を完全に無くすほどの期待と予感に満ちた幸せのゾーンに入ってしまった(結局R′の詳細書いた)

そして、最高潮に期待と集中が高まっての第一音、

無伴奏、からの、越前リョーマのブレス。

ここここ、この構成でこの呼吸を聞かせる?
その直後に、あの神がかったリョーマの声で歌が始まるの?
書いてるだけで鳥肌立ったけど!
これ以上の演出がある????

開始20秒で作り出された世界に、完全に引き込まれます。


04.越えたいその壁を

またファーストブレスでファンを殺しにくる曲きた。

これは本当に好き!超絶可愛くて、大好きです!めちゃくちゃ楽しくて、聴くだけで笑顔になれる。映画の挿入歌だったので、まさかソロアルバムに収録されると思って無かったし。

映画「リョーマ!」の挿入歌は全てが原作者・許斐先生の作詞作曲。だからこそ、一切の疑問の余地なく「これこそが越前リョーマ」だと断言できる歌ばかりなんですよね。
映画の中では、リョーマは本当にただの一人のテニス少年で、ずっと憧れて、一生懸命に背中を追いかけてきた父親の、現役バリバリのプレーを見て期待と夢の詰まったキラキラな瞳を輝かせていました。
「テニスって楽しいじゃん!」って、リョーマの隣で、桜乃ちゃんも観客も、みんな一緒に「現役バリバリの親父のプレイ」に夢中になれる夢のような歌です。

個人的な感覚なんですけど、この曲って私の中では完全に「遊園地のBGM」なんですよね。アレンジもだし、特に間奏から転調するあたりのメロディが最高に大好き。
この曲を初めて聞いたときから、夜のDisneyで目をキラッキラさせたリョーマと桜乃ちゃんが、メリーゴーランドに乗ってくるくる回ってるイメージしかなかったから。
なのでこのアルバムに「超えたいその壁を」が収録されたことが本当に嬉しくて、そしてジャケットが「夜の遊園地」だと知って悶絶しました。

アルバムのアートデザインした方と握手したい!ありがとう!

06.あなたに

ストリングスからの、物憂げでスローなイントロ。
一曲目の「R′(Introduction)」がシンフォニックコンサートの始まりを予感させるインストだったので、このコンセプトをどこに繋げるのかなと思ってたのですが、ここで繋がってくるんだ〜!!(拍手)
02〜05のアグレッシブ&アップテンポなリョーマの「代表曲」から一転、この曲が中心に据えられることで、このアルバムの雰囲気が変わります。ライブとかコンサートとかだと、スタンディングで序盤盛り上がってから、一旦座ってしっとりバラードを聞いてね。みたいな。
そしてこのしっとりバラードが2016年3月に発売されたリョーマのシングル曲だったということに、今更ながらひっくり返るくらい驚いています。

初回限定仕様盤の2枚目CD「皆川純子のオン・ザ・レイディオ」で皆川さんもこの曲を思い出の一曲として取り上げてくれていて「バラードって、リョーマの中にある何を表現したらハマるんだろう?」「どんなふうに歌ったらリョーマとして成立するんだろう?」って思いながら大苦戦されていた、とおっしゃっていました。

あれ?でもリョーマのバラードってシングルとしては初だけど、アルバム曲としてはこれ以前もあったよね? バラードの定義とは…?この曲については、作詞作曲されたUZAさんとか松井Pとか、いや先生からなにも解説とかなく歌ってるのかな?
それにしては、マキシシングル版のジャケットデザインもタイトルロゴも、そして歌詞もあからさますぎて、リョーマ→桜乃ちゃんへ向けた愛と感謝のメッセージ以外のなににも聞こえないが…?

逆にこの曲の「あなた」とは「手塚部長」のことだよ!とか、部長でなくても不二先輩とか誰でもいいんだけど、別解釈があればぜひみてみたいと思うよね。
部長だとしても「必ず戻って来い!」も「青学の柱になれ!」も約束…?激励じゃね?と首を傾げてしまうので…

いやタイトルの「あなたに」ももうギリギリすぎてどうなの、というレベルです。これが「アンタに」だったらもう完全アウト、坂道を転げ落ちるように二次創作の世界へ凸してしまいそうだ。

そんなタイトルの意味なんか吹き飛ぶくらいに歌詞は最初っからキレッキレです。

「愛は分かち合うものだよ」と笑った
あなたに出会えて 本当に良かった

二人だけの約束は 
沢山の仲間たちの宝物になった

「あなたに」作詞・作曲:UZA/越前リョーマ(皆川純子)

愛を分かち合う二人だけでなに約束したのー!!

「約束」というタイトルのあの名曲は8曲目に収録されてるけど、皆川さんが作詞された「さよならは いつか会えるための約束」というフレーズは、二人だけの…ではない気がするし(え?もしかして「約束」もそうだった????)

というより「超えたいその壁を」の挿入により、劇リョ世界線もこのアルバムにおいては「越前リョーマ」の一部であることになってる、ということは(※幻覚が見え始めた)
二人だけの約束って言えばあの教会で「竜崎、俺が必ず……」(リンゴーン🔔)しかなくない??????



心を落ち着けてもう一度書くけど、作詞作曲はUZAさんです。
3rdアルバムの『RYOMA』で、“リョーマと桜乃の曖昧な関係を歌った“「Dear My Friend」を、この曲よりもずっと前に作詞作曲していたUZAさんです。
2ndアルバムの『SR』で「ふたり」を作詞作曲し、どうしようもなくなったリョーマの元に、優しい風をふかせていたUZAさんです。
SRを偏向解釈した結果「優しい風」=桜乃ちゃんの比喩ということになっている

穏やかな春の風に吹かれて
永遠という時を感じてた
「ありがとう」
今はじめてあなたに そう告げたいんだ

「あなたに」作詞・作曲:UZA/越前リョーマ(皆川純子)

まみれのジャケットイメージで、桜の花びらを帽子にいっぱいにして嬉しそうに見つめてる越前リョーマくんにとって、「春」とは、「穏やかな風」とは、ともに永遠という時を感じた「あなた」とは???
書くまでもなくない???

散る花こそ愛おしいと
生きて行くことの意味を教えてくれた

穏やかな春の陽射しの中を 永遠という時が流れてく
「ありがとう」
支え合った時間が絆になる

「あなたに」作詞・作曲:UZA/越前リョーマ(皆川純子)

曲中のリョ桜はいったい何歳なのかと思ってましたが、
→皆川さんの解説によると12歳らしいよ!!!まじか。
12歳でこんな哀愁をたたえるくらいに、二人だけの約束を交わして生きていくことの意味を知るほどに深く支え合った時間があり、絆が生まれたの???

は???
結婚するの?????



…2016年3月発売、ということは、楽曲が制作収録されていたのは2015年末くらいでしょうか。原作連載はプレW杯が終わったあたりで、リョーマはアメリカ代表として日本から離れています。ということは、リョーマは合宿退去して一度東京に戻ってから、渡米してる。

合宿退去して東京に戻ったあとです(すぐ渡米→豪州入りしたけど)

新テニおみくじ回で、リョーマと桜乃ちゃんが帰り道で別れる時に告げた
サンキュー、竜崎」は
桜乃ちゃんからの「大丈夫だから」とともに、全てのリョ桜民の心を鷲掴みにした言葉でしたね…(そして多大なる波紋を巻き起こしたのでしょうけど、私は知らない、知らないから書くし、壁打ちに徹する)

世論(?)がどんな逆境の中であっても「これも越前リョーマの一部」として歌詞を書き、音色にのせ、問答無用でリョ桜を概念化して下さった制作スタッフの皆様、UZAさんにはもうどれだけお礼を言っていいかわかりません…

「ありがとう」と「約束」は、このアルバムに共通して込められた、越前リョーマ(CV皆川純子さん)からのメッセージだと思っています。表向きには。
その真意の向かう先は、25年間皆川リョーマを支えてこられたたくさんのファンの皆様にあてての感謝と「また会おう」という約束なのだけど、それはあくまで“テニスアイドルキャラクター:越前リョーマ“としてのファンへのメッセージであって。

本来の(というか原作中の)越前リョーマがこの曲の中で「ありがとう」と「約束」が向かう先は、どこをどう切り取ってみても竜崎桜乃ちゃん以外、見えない……桜吹雪でなにも見えない……

07.ぜんぶ君なんだ

ぜんぶ竜崎のことなんだ。

…そうですよね?

えっと、普通に歌詞読んだら、リョーマと話ししてる「君」=桜乃ちゃんは確定として(※)もう一人は「リョーマの心がちょっぴり弱ってた時に、寄り添ってくれた人」のことですかね。「どっちつかずは悪いことじゃない」って言いそうな人、誰でしょう。あんなに明快に白黒答えを出していくリョーマに「優柔不断なのも悪くないよ」って言いそうな人。弱みも見せられて、励ましてもくれる人。青学の先輩にいる??もっと小さい頃かな?父兄は言いそうにないし…倫子ママ?
まって…!!公園のベンチでリョ桜を微笑ましく見つめながらギター弾き語りしてるUZAさんが見える…!
ていうか正解は人それぞれでいいのです。
リョが帰り道で桜乃ちゃんを励ましてる歌だということに変わりはない。

※この曲中で、なぜ「君」=桜乃ちゃんと結論づけるのか、と思われる方もいるのかもしれません(そんな方がいたらこんなnoteをここまで読んでもいないと思うけど)
では歌詞を見てみましょう。

笑うときも泣いてるときも
重ねた時間が君なんだ
嫌いになるくらいやらなきゃ
本当に好きかはわからない

「ぜんぶ君なんだ」作詞・作曲:UZA/越前リョーマ(皆川純子)

リョーマは、「君」の、笑ってるところも泣いてるところも見てて、まるごと全部受け入れてくれている。そして何かの悩みをリョーマ相手に相談してるっていうことは、テニスについてのことなのかなと解釈してるんだけど、この相手は「嫌いになるほどにも練習してないでしょ」って言われるくらいには、練習量も重ねた時間もまだまだな初心者さん。
かつて自分が励まし寄り添ってもらった人の言葉を借りて、励ましたい、寄り添いたいと思える人。
青学からの帰り道に、公園のブランコに二人で座れるような関係性。
つま先で地面に何かを書くくらい、リョーマの前ではうまく言葉が出てこない人。
同級生…じゃないですかね。

なにこの、短編小説のような美しい歌詞は。


ひとつひとつの情景が、彼らの動作や表情が、目に浮かぶくらいに鮮明で
なのにね、歌詞だからね、
短すぎます(号泣)

もっと、どういう状況でこういうことになって、グランド脇の小さな公園のブランコでなにを話していたのか知りたい!リョーマがなにを考えながら寄り添ってあげてたのか知りたい!(→自給自足した)

08.約束-now and forever-

「06.あなたに」に引き続き、今回のアルバム、『R′』のコンセプトはやっぱりシンフォニックコンサート仕様なんだ!と震えたイントロ。
テニプリを、越前リョーマを、そしてCV皆川純子さんを代表するこの名曲を弦楽アレンジで持ってくる導入部。インストの「R′」が構築していくアルバムの世界観にぴったりです。

元々この曲は、3年半続いた初代アニプリの最後に「リョーマのラストソング」として2005年にリリースされたものでした。なので、この曲でリョーマの“ありがとうの言葉“や“約束“が向かう先は“青学の先輩や仲間たち“。最後だからこその素直になれた、先輩たちへのありがとう。皆川さんだから、“支えてくれたファンのみんな“という意味もあると思います。その事実は今も変わらない。それはそう。
な、はずです…。表向きには…(そう言うしかないともいえる)

2012年の3rdアルバム、『RYOMA』に収録されている「君のそばに」という曲も作詞されている皆川さんは、“「君のそばに」は「約束」のアンサーソング的な意味合いを込めている“と答えておられました。
(※リリース当時、アニカンWebに皆川純子さんの全曲解説インタビューが掲載されていた見たいです。記事自体はすでに削除されているので、当時の記事を読まれたフォロワ様から内容だけ伺っています)
「約束」のアンサーソングが「君のそばに」。
リリース順としても、対比としても3rdアルバムに収録されていてもおかしくないはずなのですが、はいってなかった。
そして、「君のそばに」の歌詞中に繰り返し出てくる“約束“というフレーズ、

ひとりぼっちの夜も 繋がってると信じてる
優しくて 泣き虫な その頬 触れたいんだ

今叶えたい あの約束を
君に伝えるよ ありのままの想い
誰よりも大切に この手で守りたい
何回君のこと 泣かせたんだろう
何回でも言うよ「誰よりも好きなんだ」
ずっと 変わらないからねと 約束しよう

アルバム『RYOMA』収録「君のそばに」作詞:皆川純子・園田健太郎/越前リョーマ(皆川純子)

これも「約束-now and forever-」曲における“約束“と繋がってる、いうこと?

んんー??
でもこの歌詞において「君」=青学の先輩とか、「君」=ファンのみんな、とするのはかなり無理がないですか??? 単数だし…
誰よりも大切で、自分の手で守りたくて、誰よりも大好きで
なのに何回も泣かせてしまってたのは、桜乃ちゃん
ですよね?
夢を叶えるために旅立つリョーマは、また会おうの意味を込めて“さよなら“したけど、再会したあとは“ずっとそばにいるよ“と約束するんだね?

プロポーズしてるの?

ということで、この「君のそばに」をアンサーソングだと言うのなら
「約束-now and forever-」にも桜乃ちゃん要素を感じずにはいられない…
そして「06.あなたに」の中で触れられた「二人だけの約束」って、これのこと?

もちろん、この曲においての主体は青学の先輩たち、同級生の“みんな“なんだけど、この旅立ちの物語の片隅で、どこかで桜乃ちゃんに「永遠」を約束していたのかもしれないな、という淡い期待を抱いたのでした。
だって「原作漫画には描かれていないけれど、キャラクターとしての越前リョーマが見つめている世界の輪郭」が見えるのがキャラソンだから。

11.青

とうとう、これまでなんとなく対象をぼかしていた「あなた」が「アンタ」に吹っ切れました。
しかも、桜乃ちゃん要素が1ミリもない(許されない)テニラビの主題歌として。

この「青」の歌詞のすごいところはですね、
「テニスアイドル少年・越前リョーマのあるべき姿」と「テニスだけ、前へ進むだけじゃない、プライベートな越前リョーマ」を両立させ、なおかつ夢コンテンツにぶち込んできたというところですかね?(皆川さんが「ここにきてこの曲を披露できる、ヒキの強さ」とおっしゃっていたけど、まさに……だし、そして詳しく語れないのわかる気がする)
通常聞くのは一番だけだけど、二番の歌詞を引用します。

振り返らないだけが正しさじゃない
拾うために戻ることも時にはある
あの日の友 風 鼓動 思い出せ

「青」作詞:朝倉 路/越前リョーマ(皆川純子)

後悔なんてしない。後ろを振り返ることもない。
それが“越前リョーマらしい“生き方だとされてきたし、そういうリョーマが好きだという方も多いと思います。
でも、この歌ではそうじゃないんだよ〜!!!(超好き展開)
彼は振り返って、後戻りして、手を差し伸べる。
あの日の「友達」へ、「風」へ、「鼓動」へ。

何度も書くけど、越前リョーマのキャラソンにおいて、「風」というレトリックで表現されるものは竜崎桜乃ちゃんです。いろんな曲で証拠も揃ってきたから断言してもいいよ!
友達の竜崎桜乃ちゃんという優しい風に触れて高まる鼓動のことをなんていうか知ってる?
恋のときめきです!!

強くなればなるほど 弱さと向き合うのさ
限界なら既に過ぎたし  行けるよもっと

「青」作詞:朝倉 路/越前リョーマ(皆川純子)

ワー!!!!! 
解釈一致!!!🤝
この「強くなればなるほど 弱さと向き合う」っていうのは、私の中では越前リョーマのいち側面としてあって当然の感覚だと思ってるんですが、どうもこう…なんか熱心なファンの皆様の感覚では「越前リョーマには弱さなんてない」そうなので、歌の中に弱さを垣間見ているのは自分だけなのかな…って思ったりもしてた。
彼の中に「限界」なんていう言葉はありません。それはそう。
でも彼がいく道は、永遠に上り続ける一続きの階段なのではなくて、きっと、人との出会いによっていくつもに分かれていく「まだ見ぬ世界の可能性」なのだと思う。
だから彼は後戻りすることもきっと厭わない。走り抜けてきた道の途中に咲いている花に手を差し伸べて、「アンタごと」連れてその先へ向かっていってくれ。

終わりなき旅 約束しよう
欲張りなんて今更でしょ
大丈夫 ホラこっち
何ひとつ諦めたくない

「青」作詞:朝倉 路/越前リョーマ(皆川純子)

なんだこれ卒倒するけど!!!!
“約束”&”欲張り”&“大丈夫”で「ホラこっち」 って「アンタごと連れてく」の…?
もうね、これはね
これこそがね、リョ桜の民が求めてる越前リョーマ、ではないですか。
絶対にテニスを諦めない、それこそが「テニスの王子様」としての越前リョーマなんだけど、この曲の中にはテニスも、そして「ホラ」と差し出したその手の先につかむものも、諦めない越前リョーマがいる。
改めてすごいね〜!!!
この歌詞をここにきて歌い、「君」でも「あなた」でもない「アンタ」という二人称で披露することができる、
それはきっとずっと「“匂わせ“程度にしか歌にできない、言葉にできない、してはいけない関係性」を大切に育ててこられた皆川+リョーマにとって、感慨深いことだったんだろうな、って思います。
もう桜乃ちゃんを守るために逃げ隠れする必要なんてない、一緒に連れてっても大丈夫!って言ってくれてる感じの曲。

原作と、アニメと共にそっと育んできた二十数年があって、映画「リョーマ!」で許斐先生が描いた越前リョーマと竜崎桜乃ちゃんがあって、やっとたどりついた境地に拍手を送りたい気持ちです。

12.R′(Interlude)

インストにまでレビューを書くのかというあたりがもう狂気の所業なんですが、インストとはいえ「タイトル曲」なので。
この、テニプリCD500タイトルを記念するアルバム『R′』のタイトル曲。だからアルバムのコンセプト、アルバムが描く世界そのものがこのインストでもあるんですよね。

「幕間(Interlude)」と題されて、この位置に挿入されたインストはまさに「コンサートの幕間」な演出です。
開演を待つ人々のさざめき。
CDアルバムにあえて入れられている「人の声」ってすごい臨場感があって、自分がその曲の世界のなかに入り込めるような感覚が得られて、すごく好き。
その声に重なり、始まりを告げるのは、華やかな管楽器のファンファーレ。

ここまではずっと「越前リョーマ」という一人のキャラクターが見つめる世界、想いを歌ってきたソロコンサートを聞いている気分でした。
テニプリ&リョーマの代表曲で出だしを掴んで走り出す、高揚感に溢れた序盤から、中盤はリョーマの心の内側を柔らかく描いた曲で落ち着いた雰囲気に。そして終盤、新しい越前リョーマの予感を感じる「青」で最高潮へ達します。
普通ならここで終わっても良かったんだろうけれど(通常盤に「R′」がなくて「You got game?」で終わるのもまた良いんだけど)
コンサート仕様にコンセプト設定されたこの初回限定盤で、タイトル曲を冠されたInterludeがここで入ることによって「ここからが本当の本番だよ!」って教えてもらった感じ
つまりなんていうか、ここからのインストを含む3曲は、限定盤を買った人だけの特別ボーナストラックというか、シークレットコンサートなのでは???
だからタイトル曲だけど、Interludeだけど「始まり」の予感に満ちたファンファーレで、このアルバムの本当のメインは13曲めの「Memory Melody Musium」なのだよ〜!!

13.Memory Melody Museum

この曲のためにアルバムジャケットが描かれたんだ、と瞬時に理解してしまえるほどに
最初から最後まで、一音一音が光の粒みたいに弾けていて、宇宙に煌めく星が音階になって降り注いでくるみたいに、キラキラ輝いている。

え?
この曲…?
本当にテニプリのキャラソンで、越前リョーマが歌ってるの??
すごくない????

すごくない????


感動がすごくて語彙力がやばい。

映画「リョーマ!」が3DCGのファンタジーミュージカル映画だったこともあり、許斐先生はデ○ズニーを超えるハッピーメディアワールド(遊園地)を作っていかれたいのかな、って感じてはいたんですが

全然もう、遜色なく超えてる!
アンタどころか、テニプリというコンテンツごと連れて、デ○ズニーを超えてその先へいってる(号泣)
音楽の深みを知らなすぎて他に褒める言葉が見つからない。


音楽がね、まず素晴らしいですよね。
テニプリCDの歴史的記念碑として、爽やかで壮大なスケールを感じさせるシンフォニックな構成の生演奏に、アレンジの打ち込み音源が重ねられることで、キラキラな未来の予感すら感じられて、もう本当に、音楽だけでも感動する。
近未来に生きてるVRリョーマが、星の海を背景に歌い踊ってるのが見えるよ!!!

そしてこの音にのせられた歌詞がまた最高オブ最高なんだ。
全体を通してみれば「テニスの王子様」というコンテンツが、そして越前リョーマが重ねてきた22年の音楽の記憶と歴史、テニプリのすべてに「ありがとう」を捧げる歌詞になっています。「テニプリ」らしいフレーズなんてないはずなのに、ひとつひとつの言葉が思い出の宝箱を開けるみたいに、これまで応援してきたファンの記憶を呼び覚ましていく。

そして随所に散りばめられた要素に、この曲の描く背景にまたリョ桜要素を感じてしまう幻覚が。
だってほら
“音のない星に メロディーが生まれる“
とか
“響きあうメロディー 未来を照らした“
とか、
それは「Peace of Mind〜星の歌を聴きながら」で見たあの光景では…!

そして
“誰かにもらった何気ない言葉に 支えられてる“
って
“風に乗せる言葉 ありがとう“
って
それはあの日のことだよね? ゲーセン行った日だよね?


…なので!

デ○ズニーオンアイスみたいに、ブルーの光と星の煌めきでいっぱいになったリンクの上を、リョーマと桜乃ちゃんが歌いながらアイスショーをしてくれているような

遊園地の夜空を彩るプロジェクションマッピングを眺めながら、リョーマと桜乃ちゃんがメリーゴーランドにのってくるくる回ってるような、

はたまた夏の夜空に大輪の花を降らせる青い花火の下を、リョーマと桜乃ちゃんが手を繋いで二人の未来に向かって駆け出していくような

そんなハッピーと未来と期待に満ち溢れた映像がずっと続いていて、この記事を書いている時点で、既に150回くらいリピートしてます。好きすぎる。

しかしこれをキャラソンと言っていいのか…
キャラクターの歌、テニプリの音楽、感謝のラブソング(幻覚)という枠すら超えて
アーティスト・越前リョーマの作り出す世界の壮大さに目が眩んでしまいそう。


そんなMemory Melody Museum、
通常盤と限定盤でアルバムに収録されている曲順が違うのに
どちらの編成でも「ここしかない」位置なのすごすぎませんか。

「R′」というアルバムのOvertureにもなり、Finaleにもなり、
単体でも永遠にリピートできるほどの交響曲でもあり、
そしてインストR′三曲とこのMemory Melody Museumだけをつなげても物語として成立する。
すごい曲だった。すごすぎて天を仰いでしまう。

あまりに素敵なワクワクに満ちているので、3年間1日も欠かさず聴き続けてきた「Dear Prince〜テニスの王子様たちへ〜(オルゴールイントロ)」&「世界を敵に回しても」の目覚ましアラームが「Memory Melody Museum」に変更されました。
オルゴールのディアプリはあまりに心地よくて二度寝必至なのですが、Memory Melody Museumでリョーマの声が聞こえた途端飛び起きてしまうので、とても良いです。
セカテキの目覚め効果も凄かったけど、朝一番に聞くのには諸々強すぎて聴いていられない(笑)これからは毎日Memory Melody Museumで目覚めます。

14.R′(Reprise)|R′=リョーマプライムだった

ハッピーメディアカーニバルのフィナーレが聞こえる…
鳴り止まない拍手喝采
ああ、名残惜しい…終わらないで…
(そしてR′が始まる前にMemory Melody Museumのリピートをしてしまう)

音楽としてこのアルバムのフィナーレの様相を奏で、そして確かにInterludeのReprise(反復)メロディではあるんだけれど、だからこそ「もう一度!」ってIntroductionに、そしてInterludeに戻りたくなる。

この夢のコンサートを永遠リピートをしてしまいたくなるような、素敵な仕掛けを内包した素敵なインストでした…
まじで『R′』はVRリョーマのコンサートだった

ところで今更、『R′』の「′」って、どういう意味を含んでるんだろうなってずっと考えています。アールダッシュって脳内では読んでるんだけど、ダッシュとは?『R′s』でもない。

IT用語辞典e-Wordsによると

» ′

文字や記号の右上に付け加えたり、時間や角度の「分」の単位を表す記号などとして用いられる、上部に置かれた斜めの短い線「′」のこともダッシュという。

アメリカ英語では「プライム」(prime)と呼ぶのが一般的で、ダッシュはイギリス英語に由来する呼び方とされる。点を2つ並べた「″」は「ツーダッシュ」(double prime)、3つ並べた「‴」は「スリーダッシュ」(triple prime)という。

数学などでは「A′」のように文字に付け加えて、複製や類似、導出などを表すことがある。幾何学で図形や点などを座標変換したものを (x′, y′) のように表したり、微積分で導関数を ƒ′(x) のように表記することがある。

IT用語辞典e-Words

知らんかった!勉強になります!
数学記号で「ダッシュ」と読んでて「何かの複製」「類似点」っていうイメージがあるから、リョーマでありながら、リョーマの進化系、みたいな感じのイメージなのかなって思ってたけど、これが「プライム(Prime)」読みだと全然印象が変わってくる!
正しい読み方知ってる方がいたらぜひ教えてもらいたいです。

もしPrime読みだと「最高の状態」とか「最盛期」「最高の品質(Q.P⁉︎)」みたいな意味が付随してくることになるので、「めちゃくちゃ最高のリョーマ!」っていう印象になります。

ライブを想定したセトリ風なのかな?という、素人の安直な予想を遥かに超えて
キャラソンアルバムとして「まだ誰も通っていない道」を見せてくれたこのCDに、
やむことのないアンコールとスタンディングオペーションを送ります。

LAST|“誰もが歌う 想いを繋げるため“

とりあえず吐き出したいだけの狂気を吐き出し、この時点で引用含めて14000字を数えているこの記事、もし最後まで読んでくださった方がおられたら本当に感謝しかありません。
しかし14000字も書いてて、触れもせずすっ飛ばしてる曲があるのはなにごとか、と自分でも思います。今回取り上げなかった曲に思い入れがないわけじゃないのです。

この段階になって書いちゃうけど、実は最初にこのアルバムの収録曲を知った時に「なんかベスト盤っぽいな」って思っていました。タイアップ曲、主題歌、シーズン企画など、収録曲の多くはどちらかというと「テニプリというコンテンツの宣伝用」に書かれた曲で、アルバム用の新作は一曲しか入ってなかったので。
特にアニメやアプリゲームなどに関わる曲は、越前リョーマというキャラクターのアイドル性を重視して「世間に求められる越前リョーマ」の側面を逸脱しないような世界観で作られていることが多いです。二次元アイドルだからね。
「かっこいい越前」という要素は全てのコンテンツでの大前提、必要不可欠な側面ですし、売上のためだけでなく大切なキャラクターを守るためにも、そのあたりの表現はすごく慎重に配慮しておられるということも理解しています。

ただ、このnoteで展開する「越前リョーマ考察シリーズ」の趣旨が「みんなのアイドル越前リョーマ」について萌え散らかすものではなくて、
「原作では描かれていないけれど、コマの外側でリョーマが見ているかもしれない世界」に、超えてはいけない領域を越えつつ思いを馳せるものなので、必然的にこういう感じの曲セレクト&私見すべてに幻覚が入ってきてしまうのも申し訳ないけれどお許しください。
(そして制作側で普通にその壁を乗り越えてくる感じの先生とUZAさんが本当にすごい)

音のない星に メロディーが生まれる
カタチない想い 伝えたくて
駆け巡るように 音は旅をする
誰もが歌う 想いを繋げるため

「Memory Melody Museum」作詞:高瀬愛虹/越前リョーマ(皆川純子)

Memory Melody Museumが本当に素敵な歌だと思うのは、歌詞に強く共感できるからもであります。

言葉だけじゃ伝えきれない 胸のメッセージ
音に変えて時代超えてゆく

「Memory Melody Museum」作詞:高瀬愛虹/越前リョーマ(皆川純子)

歌だからこそ表現できる想いがある。
歌だからこそ表現できる世界がある。

Disc-2の「皆川純子のオン・ザ・レイディオ」の中で皆川さんがおっしゃっていたことが全てかな。

語るべき物語の中では、語りきれない想いがあって、
誰かを前にしても、素直には言葉にできない想いがあって。

だから人は歌を歌う。
語り尽くせないほどの思いを表現するために
テニプリのそばにはいつも音楽がある。
越前リョーマが歌にのせて届けてくれるメッセージを、想いのかけらを受け取りながら
これからも私なりのやり方で、作品を愛していきたいと思います。

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