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リーダーシップを巡る旅。リーダーシップはどこにあるの?客観主義と主観主義。
リーダーシップ、とはなんでしょうか。私は現在、立教大学大学院のリーダーシップ開発コースの修士2年生です。
大学院の名前にもなっている、「リーダーシップ」。入学前は、誰か特別な人が持っていて、リーダーに向いている人が発揮するもの、という認識を持っていました。ですが、学べば学ぶほど、それは違うということがわかりました。
リーダーシップとは?
ここで、代表的な定義を3つ挙げます。
組織化された集団の活動が目標設定と目標達成に向かって努力するよう影響する過程(Stogdill,1950)
集団目標の達成に向けてなされる集団の諸活動に影響を与える過程(Bass,1990)
リーダーシップとは、他者たちに何が必要なのか、どのようにしてそれを効率的に遂行するのかについて理解と合意を得るために影響を及ぼす過程であり、共有された目的を達成するために個人を動かし、彼らの努力を結集する過程である(Yukl,2013)
これらの定義に共通することは、3つあると服部(2020)は言っています。
①リーダーシップをフォロワーとの相互作用の中で発生する現象としている点。
②リーダーシップは目標達成に向けた活動の中で生起する現象であること。
③リーダーシップは他者への影響過程として定義されるということ。
リーダーシップは、誰か特別な人が持っているものではなく、誰でも持っているもので、かつそれがある人がフォロワーに対して目標達成に向けたポジティブな影響を与えたとき、初めて生起するものです。
リーダーシップは、目標達成に向けた活動においてフォロワーとの相互作用の中で起こる影響力として捉えるのが、2020年現在のリーダーシップ研究の最もオーソドックスな考え方、と言われています。
リーダーシップの所在
リーダーシップがどこにあるのか、というのは私たちがリーダーシップという現象をどう見るかという、方法論的な立場によって微妙に変わってくる、と言われています。
客観主義
客観主義について、服部(2020)はこう述べています。
客観主義の立場をとる人は、経営学や組織行動論が対象とする社会的現象が、誰の目から見ても変わることのない客観的な実在物であり、それはある一定の法則によって支配されているものと考える。研究者の役割は、そうした現象を外から観察し、そこに潜む法則性を明らかにすることにあるわけだ。
基本的には、誰の目から見ても「これはリーダーシップという現象だよね」と言えることであり、その強さ・弱さの程度をちゃんと捉えることができる、ということだと思います。
主観主義
主観主義について、服部(2020)はこう述べています。
主観主義とは、社会的現象を考える際に、組織や集団の内部者の視点を重視する立場であり、この立場に立つ研究者はリーダーシップのような現象を客観的に実在する現象だとは考えない。こうした立場の研究者は、「あの人はリーダーシップがある」ということに関して組織のメンバーがそれぞれ別々の認識を持っているという点、しかもそうした認識が日々の活動の中で刻々と変化していく点に注目する。
つまり、リーダーシップとはこうである!という普遍的なものではなく、メンバーの認識に合わせてダイナミックなものとして捉えることになります。
客観主義と主観主義を図に表したのがこちらになります。
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客観主義の立場をとれば、リーダーシップは両者の「間」に、主観主義的な立場をとればフォロワーの「頭の中」に存在することになります。
修士論文を書いている中でも、「その立場から記していますか?」「どの研究視点で話していますか?」と先生に質問されます。
それほど、社会的な現象に対してどのような立場をとるかによって、変わってくるんですね。
自分が今、どの立場で論じようとしているのか、は研究の世界においては、とても重要です。
次回は、リーダーシップ論の系譜を見ながら、それぞれのリーダーシップの特徴についてまとめていこうと思います。
参考文献: