詩「夕暮れ」

痺れる
ほど
赤く
照らされた
案山子が
お風呂
上がりの
ふやけた
指で
カレンダーを
めくる
そのとき
ようやく
思い出した
あなたの
命日

それでも
私は
透き通った
青空の
ように
薄く
儚い
今にも
消えいり
そうな
表情で
めくるしか
ないのだろうか
あなたの


(読書灯が夜をさまよって)

未来の私は、未来から来たという私
で、私はいつか
その未来へ行くはずだ。その青空の
向こう側の流れ去った部屋に
残る、精神科の
待合室の匂いが残雪を想像させ
 る。
きっと、私は恐れている
のだ、新しい景色を見たいと
希望に怯えていた、もうこの世にいない

自殺した夕暮れを。

いま、
このときだけでも
止まったままの茜色の空
に、涙で埋まる水田に、
また
いつか
あなたを
めくる日が
やってくるのでしょうか。



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