![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138789457/rectangle_large_type_2_769c31b06125e33db013b60280875fb3.jpeg?width=1200)
朝ドラ「虎に翼」の弁護士考察・第4週(戦前の刑事訴訟法)
第4週は、寅子たちがいよいよ明律大学本科に進学し、男子学生との様々なドラマがありましたが、個人的に気になったのは、実父の勾留、家宅捜索シーンです。
NHK連続テレビ小説「虎に翼」を視聴して、弁護士目線で気になったことを、毎週noteにしたためています。
戦前の刑事訴訟法
戦前の刑事訴訟法は、現在のものとは全く異なるものでした。
現在の制度では、起訴・不起訴を決めるのは検察官ですが、戦前には、「予審」という制度がありました。
戦前には、現在でいう起訴・不起訴の判断を、「予審」という手続で、裁判所(予審判事)が判断するケースが多くありました。
被疑者を逮捕(勾引)・勾留したり、家宅捜索をしたりすることも、裁判所(予審判事)の命令によって行われていました。
予審制度の問題
ドラマで詳しい解説はありませんでしたが、予審制度には、冤罪のリスクを高める問題がありました。
現在の刑事訴訟法では、起訴されるまでの捜査には裁判所は(令状を出す以外は)関与せず、起訴された後に、検察官・弁護人(被告人)それぞれの主張を聞いて、公平な立場で判断する仕組みになっています。
一方で、予審制度のあった戦前の刑事訴訟法では、予審の証拠資料がそのまま公判に引き継がれ、公判を担当する裁判官が、予審の判断に引きずられやすい問題がありました。
帝人事件
ドラマ中の事件は、(史実との違いはありますが)おそらく「帝人事件」がモデルになっています。
「帝人事件」は、いまだに真相が謎に包まれており、何者かによる「でっち上げ説」も噂されています。
「帝人事件」が作中でどう描かれるのか、展開が楽しみです。
ドラマの法律監修の細かさ
ドラマの監修の細かさが、家宅捜索シーンに現れていました。
まず、家宅捜索に来たのが、警察官ではなく検察官であった点。戦前の刑事訴訟法では、警察官の権限が今よりも小さく、家宅捜索については、裁判所(予審判事)の命令により、検察官が行っていました。
次に、検察官が発したセリフ、「勾留した!」。ん?「逮捕」ではなく「勾留」という言葉に違和感を抱いた方もいらっしゃったかもしれません。現在は、逮捕・勾留は別の手続ですが、戦前は逮捕・拘禁が1つの勾留手続の中で行われていました。細かい用語の使い方も、よく監修されているなと感心しました。
その他、戦前の令状が再現されていたことも、個人的には感心ポイントでした。
次週は公判がスタートするようですので、どんな展開になるのか、楽しみです。穂高先生のご活躍にも期待です。
事務所サイトで執筆したコラムの紹介
所属する法律事務所のWebサイトで、法律に関するコラムを定期発信しています。ぜひ、こちらもご一読いただければ幸いです。noteでは、事務所サイトでは取り上げづらい個人的見解や、日々の業務とは離れた社会問題への考察を主に発信しています。