数字で作る目標設定
「いやー今日は売れましたのね! オープンからクローズまでお客さん入りっぱなしでしたもんね!」
かつあきが少し疲れながらも、満足気味な表情で語りだした!
「あんだけ混んだ状況でも、今日はテンパらずに上手く回せたから、やっぱり俺才能あるかも!」
「たしかに、かつあきさんは、ほんとうにセンスがあると思いますよ!
わたしなんかと大違い!でも私も今日はお客さんに褒められたから、良しとしよう!」
さとみもかつあき同様満足気味だ!
やっぱり、お客さんが沢山入って、そのお客さんが満足していると、働いている人たちも満足するんだなぁっと思っていたところに、店長が入ってきた!
「おぅ、みんなお疲れ様!皆の頑張りのお陰で、本日は売上目標達成!みんなには感謝感謝だよ!ありがとう!」
「今日いくら売れたんですか?」
「85万円! 目標は80万円だったから、5万円も多く売れたね!」
「やったー、85万円ってすごくないですか! やっぱり目標達成するって嬉しいですね!」
サトミが子供みたいに喜んでいた。
「ところで皆は、なにか目標をもって仕事している?」
「も、、もくひょうですか?」
自分が若干困惑していると、サトミが
「毎日、毎日笑顔で頑張ろうって思って働いています!」
「おぅサトミいいじゃん、てか俺も、今日も気合入れて頑張ろう!って働いてるかな」
強引にさとみに同調するように言った。
「かつあきは?」
「おれも頑張ろうと思って働いてますけど、最近では、以前教えてもらった、洗い場の洗浄機を休ませることなく動かす!とかですかね!」
「みんな、頑張ろうとしてくれているのが分かって嬉しいよ! ただ、あえて3人の中で一番良い目標を上げるとすれば・・・、かつあきの目標かな!?」
「えーーーなんでですか?」
サトミが不満そうな声を出す。
「なんでだかわからない?」
「うーーん、うーーーん、わかりません!」
「例えば、お店の売上目標! 今日であれば80万円の目標に対して、結果85万円でした。
これは、達成、未達成、どっち?」
「達成です。」
「そうだよね! じゃあ、サトミやゆういちの『頑張った』という目標は、今日は達成、未達成、どっち」
「た、たっせいかな? いやもうちょっと頑張れたかもしれないな・・・」
「わたしも達成ちゃ達成ですかね」
「どっちやねん」
かつあきが、関西弁で突っ込んだ
「頑張った!のように、抽象的な目標だと、いざ営業が終わって振り返ろうとするときに、振り返りにくいんだ!
だって、『頑張った』って、人の主観でしょ!
だから人によって評価が異なるんだ!
かつあきからみれば頑張ったかもしれないけど、ゆういちからみたら頑張ってないと評価されるかもしれないし、サトミからみたら、一生懸命動いていたけど、笑顔が少なかったから、結果的には頑張りが足らない!
みたいに、人によって評価が変わってしまう。 だから、目標を立てる時には、詳細な目標を設定するべきなんだ!」
「今回であれば、かつあきの目標のように、洗い場の洗浄機を休ませない!という目標であれば、目標達成の判断は、洗浄機が”休んだ” か “休んでない”か?で判断でき、誰が見ても分かりやすくなるよね! だから振り返りもしやすくなるんだ!」
「なるほど!」
「でもそう考えると、目標設定ってなんだか難しいですね」
「そう難しく考えないでも大丈夫だよ!コツを教えてあげる!」
「まじですか、コツがあるんですか?」
「もちろん!それは、定量的な目標設定をする!」
「定量的? やっぱり難しいじゃないですか?」
「ごめん!ごめん!要は数字を入れるということだよ!」
「数字???」
「今回のお店の売上目標のように、数字は誰がみても同じでしょ!
だから、目標に数字を入れるようにするんだ!」
「数字かぁ」
「例えば、
・お客様から5回『ありがとう』という言葉もらう
・スタッフの中で誰よりも1番早く、『いらっしゃいませ』と声をかける
・ステーキを5分以内に焼けるようにする
といった具合に、目標に数字を入れると、出来たか、出来なかったかの判断ができやすくなり、その後、振り返りをする際の質がグーンと上がるんだ」
「なるほど!」
「毎回、目標を持って仕事をすると、仕事への成長速度が速くなるから、騙されたと思って、個人目標を立てて営業に臨むといいよ!」
「確かに!」
この時に、学んだ「定量的な目標設定」により、私は大きく成長したと今になってわかる。
それほど、定量的な目標設定は重要なのだ。
この時はまだその重要性には気づかず、
「知っている状態」であったが、これを機に、日々目標を考える習慣がスタートしたのであった!
◆学びポイント
定量的な目標設定