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『汝、星のごとく』 の愚かさが愛しい
強くなりたい。と思いながら、強い女になりたくない。と思っていた。
ひとりで立てる強さはほしいけれど、誰も寄せつけない強さはいらない。自由である強さはほしいけれど、鎧を纏うような強さはいらない。
そういえば、私はもはや弱くはない。でも強くなったわけじゃない。傷つくし、ときには甘えてしまうし、投げ出したくなることもある。ただ、そんな自分をふふっと笑いながら、こっちだよと導くことができるようになってきた。気がする。
弱さと強さが同じ軸にある必要はない。ほしいのは憧子さんの愚かさだ。えいっと列車に飛び乗ってしまう愚かさ。
強さを手に入れるよりも、私はこの愚かさを磨きたい。やるべきことはやる、周りの人を大切にする、しっかり生きる。でも。
いざってときは誰に罵られようが切り捨てる、もしくは誰に恨まれようが手に入れる。そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ。
これからどんどん、もちものは増えていく。守らなきゃいけないものも考えなきゃいけないことも増えていく。見失ってしまいそうななにかを見失わないために、すべきときに、すべきところで、えいっと列車に飛び乗れる愚かさを、備えておきたい。
私は知っている。怖いのは一瞬だ。覚悟を決めて飛び乗ってしまえば、もう世界は変わっている。
私は忘れないでいられるだろうか。守るものが増えたとき、それでも愚かさを持ち続けられるだろうか。自己犠牲という守りに入らずにいられるだろうか。
人は変わりつづける。でも、叶うならば忘れたくない。何度でも思い出させなきゃいけない。だって。
誰がなんと言おうと、ぼくたちは自らを生きる権利があるんです。