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食欲の秋の、幕開け〜下仁田風ネギとシャケフレークの簡単キッシュ
この地上で、私は買い出しほど、好きな仕事はない。
とは、名著『檀流クッキング』のまえがき。私が尊敬してやまない著者の故・檀一雄氏の残した名言だが、ご多分にもれず、私も食べ物の買い出しがこの世で一番好きなことのひとつ。
なかでも特に、季節の変わり目は、檀流信奉者的にはうってつけの買い出し天国がやってくる。
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日本でもフランスでも、食材がもっとも豊かになる季節が、秋。
私は限りなくあっさり系のブルベ系なので、おそらく秋系統の色はもっとも似合わないけれど、秋という季節自体は大好きだ。
そんな秋の訪れ。フランスでは、八百屋さんの軒先で形とりどり色とりどりなキノコたちがお目見えし、肉屋さんでは血も滴るグロテスクなジビエたちが整然と並び始める。そして魚屋さんでは、毎日飲みたい大好物の生牡蠣が、通りかかる度に私を誘惑する。
マルシェの牡蠣屋
いきなり寒くなって、季節の変わり目は気分が落ちると言っていたけれど、食材たちと対峙するととたんにパワーが湧いてくる。つくりたい欲、そして食べたい欲がぐるぐる、ぐるぐる。
故郷を離れ移住してきたのが、日本のように四季があり、食材で季節を感じることができる国でよかったなあと、心から思う。
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さて、9月に入り、気持ちはすでに秋モード。
今日は、年中手に入るけれど秋冬に美味しくなる野菜の代表格、poireau(ポワロー)がメイン。日本でいうところの「ネギ」なのだが、これを使って作ったキッシュが簡単かつことのほか美味しかったので、書いてみようと思う。
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フランスのネギは、とにもかくにも、太くてご立派。うちの3.5kgの愛犬との背比べの様子、は以下。
左のネギはだいぶ細い。大体右くらいの太さ。
日本のネギだとどれが近いのかなと思ってネギの品種について調べてみたけれど、このなかでは金沢の加茂ネギか、下仁田ネギの長い版かしら。
そして、我が故郷、信州松本にも、お殿様の食べたねぎがあるらしい。なんとまあ、ご立派なこと!
フランスのポワロー。食べるのは基本的に白い部分から葉先手前まで。葉先はスープのだしをとるときに使ったり。
火を加えると、ねっとりとした食感と、これまたねっとりとした甘みが顔を出す。
くったくたに煮込んでブイヨンを加えてスープにするのもよし。ベシャメルソースと合わせてグラタンにするのもいいな。和に振って、贅沢に鴨南蛮そばなんてどうだろう。もう想像するだけでよだれしかでない。
可能性は無限大に考えられそうだが、最近私の趣味で居酒屋メニューばかりが続き、いい加減Otto氏からクレームがきそうなので、今日は洋風にしよう。
先週また作ってしまい、いい加減食べ切りたい鮭のアラ(2ユーロ)の自家製シャケフレークと牛乳の消費もかねて、キッシュに仕立ててみることにした。
ポワローとシャケフレークの簡単キッシュ
(直径約17cm、高さ4.5cmの深めキッシュ型一台分)
・ネギ:2〜3本。下の写真のように、高さ6分目(2.5cmくらい)の幅に切ったネギ2本で、型にジャスト収まった。でも焼くと縮むので多めに用意しても。
・シャケフレーク :グラム数計れず。表面が覆えるくらい。普通の鮭の切り身や、ツナ缶なんかもよさそう。はたまた肉系にふって、ベーコンとかハムでもまったく問題なしかと思う。
・バター:20gくらい
・白ワインビネガー:小さじ1。バルサミコ酢でもよいと思う。
・卵:3つ
・牛乳:200cc
・塩・胡椒・お好みのハーブ:サーモンによく合うハーブ、Aneth(ディル)の乾燥版があったのでフリフリしてみた。
・市販のパイ生地
0、市販のパイ生地は、クッキングシートを敷いた型に丁寧に敷き詰め、フォークなどで穴をランダムに空け、180度のオーブンで15分ほど空焼きしておく。
1、フライパンにオリーブオイルを熱し、ネギを並べて弱めの中火で片面を焼く。
3分後くらいで一度ひっくり返して、焼き色がうっすらついていたら、蓋をして弱火でじっくり火を通す。トータル12、3分くらい。
だいぶしんなりするので、最後にバターを入れて火を強めにし、白ワインヴィネガー、岩塩、黒胡椒も加えてフライパンを揺らしながらバターをネギたちにからめる。
2、アパレイユ(卵液)を作る。ボウルに卵3個と牛乳200ccを入れて泡立て器でよく混ぜ、塩、胡椒、お好みのハーブをいれる。
3、空焼きし終わったキッシュ生地にネギを敷き詰める。
まんべんなく、シャケフレーク をちりばめる。
アパレイユを流し入れる。ネギが焼けるのを待っている間に、あまった生地は例のごとく編んでおいたので、この三つ編みで周りをかこう。
200度のオーブンで40分ほど焼いたら、完成。
シャケの香りがぷんぷん漂ってきて、食欲をそそる。
外柄に三つ編みの縁をつけたのだけど、途中で落下。こりゃ悲惨なことになるかなと思ったけれど、そのまま進めたら卵液が押し上げてくれていい感じに落ち着いた。ラッキー。
最近健康志向が高まってきたOtto氏、野菜を食べなきゃいかんと言っていたので、フランスの付け合わせ野菜の定番、いんげんを茹でて添える。
パセリはビタミンCの宝庫だ。
味はというと、ネギの甘みとシャケフレークの塩辛さが絶妙。さらにぷりんとした軽めの卵液と相まって、えもいわれぬハーモニー。
ネギは形を残したほうが甘みを感じやすいかしら、と思ったので太めに切ったけれど、これが功を奏した気がする。野菜のもつ自然な甘みは、とにかくやさしい。
ご家庭にあるものでいとも簡単にできるので、ネギがお安い日にでも、ぜひお試しあれ。
秋といえば、かぼちゃ。日本のかぼちゃ食べたいなー
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