北の国から2020〜アンディーブのグラタン
先日、デパートの秋セールで念願のフープロを手に入れた話をしたけれど、そのときたまたま目に入ったストウブのグラタンプレート。
そういえばちょうどいい大きさでそのまま食卓に持っていけるグラタンプレートがなくて、いつか欲しいものだなあと思っていた。
お値段なんと40%オフ、色は白か赤。好みはもちろん白、買っちゃうよねー。
すでに在庫過多な洋服とか化粧品は買わなくなったけど、食材と食器と良理道具はどうしたって。ねえ。
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こちらをおろすのは、やはりグラタンだろうと思っていた。
Otto氏の出身である北の方の郷土料理で「Endive à la flamande」(フランドル風アンディーブ)という一皿がある。義母の得意料理=氏の大好物だ。
見た目こんな感じ。平たくいうと、アンディーブとハムのグラタン。
アンディーブっていうのは日本で買えるチコリのこと。ベルギーに近いフランス北部ではシコン(Chicon)って呼ぶと教えてもらった。
私が日本に住んでいた頃は、スーパーでもちょこちょこと見かけることがあったが、1本200円とか異様に高かったような。。
フランスでは年がら年中手に入る野菜で、秋冬になると勢力を大幅拡大。
見た目、白菜を縮小しまくった感じで、味は独特にほろ苦く、ほろ苦さの裏に甘みも感じられる。
苦味野菜ラブな私にとっては、よく買う野菜のひとつ。
ただ切って生でサラダにしたりもしょっちゅうする。
きっとこの冬もよく登場すると思うのでお見知りおきのほど。
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北発祥だけどフランス全土で食べられているっぽいので、巷にはレシピがあふれている。だいたい、ただアンディーブを茹でてハムで巻いてベシャメルソースをかけるだけのシンプルさ。
ちょっとオリジナリティを加えてみようかと思い、目をつけたのはこの記事でも紹介したシリル・リニャック氏。
シリルのグラタンレシピはこちら↓
ちなみに、上記鶏のバスク風の記事で取り上げたシリルの番組、フランス民放チェーンM6の爆笑系料理番組「Tous en cuisine(みんなでクッキング)」。大好評だったらしく、別に外出禁止ではなかったけどこの秋に復活。こないだまで毎日放映していた。
私は鶏のバスク風以外に一度彼のレシピをほぼ完コピしてみたことがある。シリル的には「日本風」だって言っていたので、ほうフランス人的日本風ってのはどんなもんかね?という単なる好奇心。
コメはインディカ米、サーモンのフライにマンゴーとコリアンダーがのっかる感じで、日本人的には日本っぽさをほぼ感じないレシピではあったのだが、Otto氏はうまいうまいと完食していた。まあこんなもんか。
でも、彼のバスク風煮込みのレシピはなかなかよかったので、ガチフランス料理ならば信用できそうだ。アンディーブの茹で方が独特だったので、こちらを真似てみることにした。
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用意したのは、こちら。アンディーブ8本とハム8本。ベシャメル用にチーズ類とバター、写ってないけど牛乳。あとゆでる用に大鍋とブイヨン2リットルくらい、焼き用にパン粉と飾り用にパセリを用意しておく。
ちなみにシリルは、ベシャメルソースにマロワールという、以前この記事で紹介した死ぬほど臭い北のチーズを加えている。わざわざ買うのもあれなので、エメンタールのほかに入れてみるとしてもカマンベールくらいかなと、一応登場人物として写しておいた(結局エメンタールしか使わなかったけど)
アンディーブは芯の部分をくりぬいておく。
まずはアンディーブの焼き&茹でから。我が家で一番大きなフライパンにバターとオリーブオイルを溶かし、アンディーブを入れてコロコロさせながら炒める。
少し砂糖を加えて、苦味を抑えるのがポイントらしい。
少し色づいてきたら、大鍋に用意しておいたブイヨンスープをお玉で入れて、フライパンの底にへばりついたうまみが多分あるはずなので、それを木べらでこそげとりつつ、
葉がはがれないように慎重にトングで鍋に入れる。まあ、多少剥がれてもあとからハムで巻くので気にしなくてよい。
シリルは最初から全部同じ鍋でやっていたが、この大鍋は茹で専門(by Otto氏)とのことなので、あえて焼きと茹でを別々に行った。
この後15分ゆでる。
茹で上がったら火元から下ろして、ベシャメルをつくろう。鍋にバターを60gいれて、焦がさないように溶かす。
同量の小麦粉(60g)を加えて、根気よく混ぜる。
粉っぽさがなくなったら、牛乳を少しずつ加えて伸ばす。木べらに持ち替えて八の字をひたすら描きまくる。
牛乳はトータル700cc〜800ccくらいだろうか。いい感じにクリーム状になってきたら、エメンタールとナツメグ、塩胡椒をして味を整える。
飛び込んで小一時間つかりたくなる白いぽってりソースの完成。
♪あーあーあああああーあ、さだまさしが聞こえる。ここは雪国か。蛍ぅー
大鍋で茹で上がってくれたアンディーブを一度取り出して汁気をとる。
茹で汁がスープになったりはしないかと思って飲んでみたけど、苦味が強すぎてさすがにこれはきついかな。
ハムでアンディーブを巻き巻きして、
よし、準備は整った。
Otto氏が帰ってきてベシャメルがあーだーこーだうるさいので、ちょっと放っといてくれと、アペロを先始めててもらうことに。
ってことで私も白ワイン飲みながら作ってます。
グラタン皿にベシャメルソースをしきつめる
その上にハムでおめかししたアンディーブを並べる。サイズジャストだった。
上からさらにベシャメルソースをかぶせて表面をならす。
あ、そういえば言い忘れてたけど、アンディーブ茹でている間にフープロで硬くなったバゲットほぼ1本分を粉砕していた。本当最高に便利。買ってよかった。
粉砕したてのパン粉を上からかけて、胡椒もして、オーブンへ。
200度でパン粉に色がつくまで焼いて、焼けたらパセリをちらして、完成。
そのまま食卓にもっていって取り分ける。かなりボリューミーだけど、Otto氏は2つ、私はひとつ。
バゲットと、一応サラダも用意。寒くないけどめちゃくちゃあったまる。
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ベシャメルに異常なこだわりをもつOtto氏の反応、当日はイマイチだったのだけど、翌日、ランチ用にタッパーに2つほど詰め込んだら、帰宅早々、
「まじで美味しくなってたぞ!ベシャメル!」
と興奮気味にお話しになる。
「一晩寝かせればさらにうまくなる」論は、カレーにとどまらずチリコンカルネで実証済みだけど、グラタンも当てはまるのか!という発見ができた。翌日のランチにもってこいではないか。
今年はクリーム系なグラタン、たくさん作ろうっと。
今日はなんかこう、哀愁ただよってるわね