見出し画像

「不登校の理由」設問はこのままでよいのか-令和5年度文部科学省調査-

前回、文部科学省の不登校調査「不登校の理由」という設問の回答方法が変わったことで、学校が実態を報告しやすくなったと書きました。
じゃあこれで良いのかというと、違う。根本的な部分が改善されていないので、もう少し考えてみましょう。

↓公式ページはこちら

不登校の3割は「やる気」がない?

不登校の状況について学校が把握した事実がこちら。「学校生活に対してやる気が出ない」32.2%、「不安・抑うつ」23.1%と突出して高いです。

前回までの調査では、「無気力・不安」と一つの項目にくくられていて、不登校の要因の50%を占めていました。
これを2つに分けたことで、項目ごとの割合は減りましたが、それでも「いじめの被害」1.8%、「教員との関係」8.0%と比較すると圧倒的。

リスクマネジメントができない

令和5年度の不登校調査で、不登校の小中学生は全体の3.7%でした。
これが会社だとして、3.7%の職員が休職あるいは、五月雨さみだれ出勤している状況で「本人にやる気がないから」、「抑うつ状態だから」と完結していては、再発防止などできません。

統計学上、これまで回答の5割を占めていた項目をいきなりなくすと、調査の連続性が失われてしまうという事情もくみ取れますが、適切な対応を目指すならこの項目は不要です。

学校が合わなかった、選ばなかったを選択肢に

また、「積極的な不登校」を想定していないのも気になります。
同じ年の子どもを集めて、学習進度にかかわらず同一内容の座学で学ぶというスタイルがしんどい子もいる。

実際、NPO法人多様な学びプロジェクトが子どもに聞いた「学校に行きずらくなったけきっかけ」の上位に「勉強はわかるけど授業がつまらない」「学校のシステムが合わない」が選ばれてます。

不登校の子どもと保護者実態ニーズ全国調査報告 速報版

「公教育のスタイルが合わない」、「学校外の学びを選択した」という趣旨の設問を増やし、学校への調査と同じタイミングで子どもにも聞く。
そうすることで初めて「子どもが安心して成長できる学びの環境ってなんだろう」と考えることができるでしょう。


不登校をテーマにしたセミナーのお知らせ

今月、北海道2か所でセミナーに登壇します、今回ご紹介した調査結果に触れるほか、不登校当事者としてのお話もしますので、ぜひご参加ください。

不登校について学ぶセミナー
誰一人取り残さない学びの保証を目指して@帯広市&オンライン

日 時 2024年11月23日(土) 13:30~16:00
場 所 星槎国際高等学校帯広学習センター(帯広市西5条南10丁目37番地)
参加費 無料
申込フォーム https://x.gd/KpJoc
参加方法 リアル会場&オンライン配信 

こちらでは、不登校の子どもの保護者の支え方と、不登校の子どもの気持ちなどをお話しします。オンライン配信もあるのでどこからでもご参加ください。


子どもまん中講演会  学び・育ちに困難を抱える
子どもの良さを引き出すヒント@岩見沢市

日 時 2024年11月24日(日) 13:15~16:00
場 所 岩見沢市民会館まなみーる 多目的室(岩見沢市9条西4丁目1)
参加費 無料
申込フォーム https://x.gd/8qFHC
参加方法 リアル会場 

こちらは、設立したての不登校の親の会が主催。
私自身が不登校中にどんなことを感じていたかと、長男が不登校からホームスクールになるまでがお話の中心になる予定です。

関連記事

「不登校」や「ホームスクール」など様々なテーマで連載をしているため、全体をまとめたページを作っています。
↓こちら↓

↓今回の調査はこちらの記事でも触れてます

↓2023年の記事

↓2022年の記事

この記事が「いいな」と感じたら下の♡を押していただけると励みになりますし、他の方に届きやすくなるのでとても嬉しいです。
さらにフォローボタンも押していただければ、新しい記事が更新されるたびにお知らせが届きます。