【日本一周 京都・滋賀編28】 のどかな時間が流れる沖島
・メンバー
明石、尾道
・沖島上陸 筆者:尾道
3日目。予定より早めの起床&出発に成功するも、京都駅までの徒歩に想定以上の時間をくわれてしまい、発車十数秒前のギリギリの乗車になった。
ちなみ、これから向かう沖島へは、電車に次いで、バスとフェリーを乗り継ぐ必要があるため、1本の乗り遅れが大事につながる可能性が大きいのであった。
車内は西日本に多い(気がする)ボックス席が並ぶタイプで、1年前の、青春18きっぷ旅行が思い出される。
バスの発車地点となる近江八幡駅に到着。構内のセブンイレブン(正確にはハート・イン)で簡単に朝食を済ませてバス停に向かうと、そこに留まっていたのはなんと、ヒジョーになじみ深い、白の車体に三原色のラインが入った西部バスだった。
私と明石の2人だけを乗せて出発。30分に及ぶ移動の間に車体のわけを調べてみると、バスを運営する近江鉄道は西武鉄道グループ傘下とのことで、関東で使い古した車両を地方路線に譲るパターンであることが判明した。
そうこうしているうちにフェリー乗り場の堀切港に到着する。出港までまだ時間があったため、明石は滋賀名物「鮒ずし」と、周辺施設のパンフレットを求めて、200mほど先に見える物産店に向かうも、店内は無人だったらしい。
出港が近づくころには、我々のほかにも、車で来た観光客や、大量の日用品をもった地域住民と思しき人々まで、まとまった人数が乗り場に待機していた。
乗船するとまず初めに、船内の券売機で往復分の乗船チケットを購入する。島民用と観光客用でチケットの料金が異なっている。
船内には(観光客に向けた)島の小学生の盗撮防止を呼びかける校長直々の掲示が貼られていた。こういう問題もあるのか。この地特有の事情を知り、はるばる異郷に来ていることを急に意識し始めた。
10分の乗船を経て、沖島漁港に到着。桟橋の入り口には小さな梵鐘が備え付けてあったので、他の観光客に倣って我々も一発ずつ鳴らしておいた。
あたりを見渡すと、朝霧の向こうに近隣の島々が見え、岸には漁船が停泊し、家々は横一列に並んでいた。絵に描いたような漁港の光景に感動を覚えつつ、島をどの順路で見て回るかの検討をつけた。
この島の家々はとても密集している。そのためどこに向かうにしても大抵の場合は、入り組んだ細い路地を進む必要があった。
いかにも観光客らしい風体の我々が島民の日常生活の領域に侵入するので、誰かに見つかって怒られやしないかと不安になった。なるべく音を出さないよう注意しつつ、写真や動画を撮って回った。
島の小学生の様子が気になり、沖島小学校に向かっていくうちに、気づけば校庭に出ていた。全校朝会でもやっているのだろうか、校舎から体育館に続く渡り廊下を歩く生徒の姿が遠巻きに見えた。
我々が観光地として訪れるこの地も、誰かにとっては生活の場であるという、当然の理を了解した。
沖島は自転車社会なのか、どの家の軒先にも自転車が留めてある。後ろに荷台が付いた、サドルが低めの三輪車が大半で、島民の年齢層を反映しているようだった。
また、この島は猫が多いことで有名だ。人々の往来が激しい港付近では見かけることは少ないが、少し奥に行くとあちこちにいる。
どいつも人には慣れきっている様子で、おかげで良いアングルからの写真がたくさん撮れた。なお、可愛さは抜群だったが、野良猫が媒介する菌や病気を思うと、迂闊に撫でまわすことは憚られた。
最後に、御朱印を目当てに奥津嶋神社へ向かった。急な石段を上った先にある鳥居をくぐると、まだまだ先は続くようで、なかば山登りのような道を進んで頂へたどり着く。
家々や、広大な琵琶湖をまとめて一望できるスポットだ。こうして見ると、家どうしは密着と言ってよいほどに集合していることが分かる。隣の家の生活音なんか普通に聞こえるんじゃないかな。
ところで、雄大な琵琶湖を眺めていると、「琵琶湖の水止めたろか」という滋賀県民愛用の切り札的脅し文句が思い出された。
そっか、この旅行中に飲む水や、銭湯のお湯なんかは全部ここが水源なのか。そう考えると伊達じゃないセリフに感じられた。