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【日本一周 京都・滋賀編2】 ファストフード店の惨劇
・メンバー
明石、尾道
・毎度お馴染み朝マック 筆者:明石
京都駅到着のアナウンスで目覚めるという深夜バスにおける最上級の夜を過ごした僕は、無機質な白色灯に目をくらまされながら、安眠グッズをのそのそとリュックサックに収めた。
今回の深夜バスタイムにおける失態を挙げるならば、旅行道具を詰め込んでパンパンに膨れたリュックサックをバスの下っ腹に預け忘れたことだ。
そのせいで足の置き場に困り、寝返りの回数が増えたことは火を見るよりも明らかだったが、夢の世界に居場所を見つけられた点において致命的ではなかったとの結論に甘んじよう。
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時刻は6時20分。見るに耐えない互いの寝ぼけなまこも、目を凝らさなければ見えないほどに辺りは暗い。
最初の目的地である清水寺がすでに開門していることは驚きだが、ひとまずのブレイクタイムとして京都駅構内のマクドナルドにて朝食をとることにした。尾道はセットを、僕はエッグマックマフィンの単品を頼んだ。
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ここまでの流れは東北巡行のときと全くと言っていいほど同じである。ただ、エッグマックマフィンのセットを頼んだ尾道のトレーにはフィレオフィッシュのセットが載せられていた。
そのため、店員に交換を申し出ると、両方のセットに共通していたハッシュポテト諸々をゴミ箱に捨ててから作り直して渡されていた。100歩譲ってフィレオフィッシュは仕方ないにしても、ハッシュポテトに関しては捨てる必要はないだろうと二人で驚き呆れた。
そこから発展して、「ミスドのバイトでは、閉店後に残ったドーナッツをゴミ袋に入れた後に足で踏み潰す作業がある」「スタバでは、期限切れで廃棄する食べ物を持ち帰ったら停職処分になる」など、日本の飲食業界の「会社規則」の上に成り立つ道徳の崩壊を思った。
「もったいない」精神の国として世界に顔向けしながらも、その内側では流通の利便性を優先するあまり食べ物に対する根源的な感謝が損なわれてしまっている。
形骸化した「いただきます」が実体を伴わないぺらぺらの誇りとして唱和される義務教育と現実社会の隔たりに直面した瞬間であった。
ごちそうさまでした。
・食べものは金儲けのための道具? 筆者:尾道
6:20。早朝の京都は痺れる寒さだ。昨夜、池袋にてバス乗り場がなかなか見つからないという小さなトラブルはあったものの、それさえ除けばスムーズに京都にたどり着けた。
乗って、寝て、起きたら、もう京都。不思議な気分だ。
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はじめは清水寺に向かう段取りだが、まずは京都駅構内マクドナルドで活力をチャージする。朝マックはエッグマックマフィンに限ると信奉する私は、そのセットを注文するのだが、手渡された商品はフィレオフィッシュセットであった。速攻で取り換えてもらう。
「あの...これ多分間違っていると思うんですけど...」
「大変申し訳ございません、今すぐお取替えします!」
刹那、店員さんはトレーからフィレオフィッシュとハッシュドポテトを素早く取り上げ、慣れた手つきでダストシュートに放り込んだ。一口もつけていない食べ物が、ゴミとして深淵に飲み込まれていく様子を見て胸が痛んだ。これが飲食店の実情なんだろうか。
時に飲食店では、効率や規則に偏重した結果、食べ物は「食べるためのもの」ではなく「商売道具」として扱われる。一度そう割り切ってしまうと、食べ物への感謝の気持ちはどこへやら。
提供ミスは業務上のエラーとして淡々と処理され、ミスを塗りつぶすがごとく、脅威の速さで別の品物が手渡されるのだ。
今振り返れば、「廃棄するならこれもいただいていいですか?」とか言えれば良かったな。言ってしまえば、向こうも所詮バイト。客が希望するならきっとくれたはずだ。
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腹ごしらえが済むと「これも旅の思い出だから」という理由で、店の前で写真を撮った。
ガラス越しに突き刺さる客の視線が痛かったが、もう一生会うことのない人々に何と思われようが構わない。旅の恥はかき捨てだ。足早にマックを去り、道中でバス一日乗車券を購入した後、バス乗り場へ向かった。