2月の全短歌⑦地球の朝
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水面刺すオールの音に耳をやりこの美しい別れを思う
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快速が通過したのに気付かない人々を背に瞳潤む子
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新しい言葉の海で溺れてる人を助ける浮き輪は丸い
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消息を絶った小鳥がベランダに来ては問うてるしあわせかいと
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そうやってできたカルデラだからもういつでも泣きに来ていいからね
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宇宙とか知らないけれどおっぱいが星空にまで浮かぶ思春期
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南へと向かって吹いてる北風に背中押されて温かさ知る
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冷えている体育館に並ぶ足それぞれ乗り越えてきた朝だ
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ファミレスでやることのない三歳がテーブル荒らす地獄の時間
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予報では月が孤独を食べるので今夜は君に会いに行かない