毎日超短話390「遠吠え」

満月のときは会わないようしよう、と彼が言ったのは、彼がオオカミ男だから。オオカミになると傷付けてしまうかもしれないと。

でも、今日は三日月。

だから会ってる彼は、ほとんど子犬。散歩のふりして会っている。

「三日月がいちばん細くなったときは、どうなっちゃうの？」と聞いてみる。

子犬の彼が答える。

「語尾だけ、遠吠えになっちゃう」

次は三日月のいちばん細い日に会いたいと思っている。

---

一年前の超短話↓