コスト意識と働く意識(その1)
「人」は、企業にとってなくてはならない、大切な財産です。
近年、デジタル技術が発展し、働き方が多様化する中で労働の価値も変化しつつあります。
機械化を推し進めた先で、「人」の仕事はあるのか?と、いう議論もしばしばされてきていますよね。
しかし、世の中には人にしかできない志事が数多くあります。
yuhakuの製品作りもその一つなのです。
経験と感性によって生み出される製品は、機械には再現できない美しさと味わいがあるものです。そのような「人ならではの仕事」は、弊社以外にもたくさん息づいています。
人ならではの仕事の魅力が「価値」となる。大切な「人財」だからこそ、会社には人が必要なのです。とはいえ、会社経営というのは常に損益計算がつきまとうシビアなものでもあるのです。
一人ひとりがコスト意識を持つことで、より人財としての価値が高まり、会社も成長していけるのです。
あまり考えたくない部分でもあるかもしれないですが、大切な話のため、今回はそのお話となります。
1人の社員に対して必要な人件費というのは、お給料だけではありません。 福利厚生、賞与、退職金、通勤交通費、給与計算などの事務処理、有給休暇……。新入社員は研修期間も給与が発生していますし、トレーナーの時間も人件費として計上されます。
一説によると1人の社員にかかる人件費は給与の1.5倍~2倍とも言われていますが、正直実感わきませんよね。
私もそうでしたが、経営者になるとまさにその通りであることを実感します。しかし、本来これは働く人々全員が知っておかなければならない事実なのです。
自分の給与に対してどのくらいの成果を出さなければいけないのか。その認識のある人とない人とでは日々の働き方が大きく異なります。
たとえば、フリーランスの人々は自身の仕事ぶりが生活に直結してくるため、時間単位での成果を常に管理しています。1ヶ月の内にこなせる業務量が月の必要生活費を下回れば、当然、生計が立てられないからです。
これは企業に所属していても重要な考え方で、仕事の成果が定められた給与を下回っていると、会社は存続できません。
また、企業では売上や生産に直結する部署以外にも、総務、人事、企画などの裏方を担う部署があり、オフィス賃料、光熱費、通信費なども必要です。
「自身のための給与」「組織体制のための給与」そして「必要経費」。
単純計算でも、1人あたりお給料の3倍以上の利益を生まなければ会社を支えていくことができないのです。
では、実際にどのように計算すると自分の生み出すべき利益が把握できるのでしょうか。指標は損益分岐点を使用します。そのため、絶対に到達しなければならない数値となりますし、上回れば上回った分、利益は多く生まれます。企業により指標の感覚は異なりますが、今回は主に弊社の場合を例にしていきます。
手作業を中心とする部署(弊社で言うと染色・製作)は生産数に物理的限度があるため、基本給に対して2倍〜4倍の納品量が適正な目標です。
生産工程を一人で担っている場合は計算も簡単ですが、ほとんどは分業制になっているため、自分が請け負っている作業内容の比率から計算していきます。
工賃単価が計算されている場合は、その数値を元に算出します。
こちらを元に月間で計算。この基準を満たしているのか、確認してみて下さい。
※ちなみに弊社では、職人の工賃合計≒福利厚生等含んだ人件費(給与x1.5倍)として計算していますので、この計算には該当しません。
弊社: 製品工賃 x 数量 x 自分の作業内容比率 = 給与x1.5倍 ⇨ 目標生産量
販売員においては、下記の計算式に当てはめてください。
ここから導き出される数字(あなたの生み出している利益)がご自身の給与の3倍~5倍に該当していれば問題ありません。なお、総スタッフ数には社外の方も含み、出勤頻度によって比率を調整します。
*個店経費は店舗賃料、光熱費、通信費、消耗品費、修繕費、広告費、店舗造作費を5年で割った金額とします。
営業やECなどの部署では物理的限度が広がるため、負担比率が異なります。たとえばECの場合は、部署売上 ÷ 所属チーム人数 を「個人売上」とした上で計算します。
(所属チーム人数には社外の方も含まれます。また、従事割合比率によっても異なってきます。)
ここから導き出される数字(あなたの生み出している利益)が給与の5倍~10倍に当てはまっていれば問題ないと言えますが、企業により比率が異なりますため、上司に確認することも必要であると思います。
*部署経費にはサイト維持費、通信費、広告費、撮影費、出荷費用、梱包費、送料などが含まれます。
利益の比重を置く部署は企業によっても異なります。
弊社の場合、生産部署ではより良い製品作りに比重を置き、利益の比重は営業部署、特にECに置いています。
なお、新入社員の場合は一番低い倍数のクリアを第一目標とし、社内基準の平均倍率~最大倍率で昇給の交渉が出来るゾーンであると認識頂くと、定量的な目標が持てるでしょう。
全員で出すべき成果を具体化し、成長し、利益を生み出していくことで、ブランドとして、会社として生き残っていくことができるのです。
社会は今、大きく動いています。
デジタルの発展により効率化が進み「人」の労働価値がシビアに問われる一方で、日本では終身雇用、年功序列といった人事制度の慣行にも変化が起きています。
働き方が多様化する中で、自分の能力を正しく把握し発揮すること、そしてそれを他者に定量的に示すことは、自立した次世代のビジネスパーソンとして、必要なスキルなのです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?