35人学級でも個別の学びを個々の進度で行う方法(3)新聞ーブログを使ったOutput
中学校卒業時点での学力はもちろん学校によっていろいろですが、差があるのは当たり前。では、みんなができるようにするにはどうすればいいのでしょうか。今日は、クラスの平均が英検二級程度の中上位のクラスでの実践についてのお話しです。ただ、題材やペースを変えればどのレベルでも可能です。
最後に、実際のブログを二つ載せたので、是非読んで感想聞かせてくださいね!
ポイントは5つ
授業をデザインする時、気をつけていることはたくさんありますが、大前提としてあるのがこちらです。4技能、とかではなくある意味OS(オペレーションシステム)のようなものです。
・アウトプットが前提であること
・創造的であること
・コラボレーションで進めること
・かと言って一人でもチームでも選べること
・社会の学びとイコールであること
ここからは順を追って説明します。
アウトプットが前提であること
まずは教員の喋る時間をとにかく減らします。
そしてどうすれば生徒がアウトプットしたくなるかを徹底的考えます。
導入が必要かもしれませんし、心動くコンテンツかもしれません。でもアウトプットのスキルなしでできるようにはならないので、Persuasive Essayの基礎から初めて徐々に積み上げ、生徒が自信を持って書いたり話したりできるまで導きます。
創造的であること
以前、生徒がプリントをなくすのを防ぐ方法として、タイトルを白抜きにするというのを聞いたことがあります。色を塗ると捨てにくくなるとか(笑)
友人の和田一将さんは、こんなことを言っています。
ちょっとやりすぎかな、と思うくらいアウトプットの時間を取ります。しかもできるだけ創造的な課題をさせると、生徒は驚くほどの力を発揮します。学びがジブンゴトになると、面白くなって知識理解にも力が入るのです。
コラボレーションで進めること、かと言って…
例えば新聞記事を読むにしても生徒によって時間が異なるでしょう。それならば、大きなホワイトボードを用意して書かせるか、Google Documentなどで共有してまとめさせます。
同じ記事を4人で読んで、それぞれの理解をつなぎ合わせると「ユリーカ!」な瞬間が訪れます。その時を我慢強く先生は待つことです。
かと言って、一人が捗ると生徒が主張するのなら一人ですればよいです。生徒は適材適所を理解するようになると、個人と協同を行き来するようになります。
社会の学びとイコールであること
例えば、あなたが英語を翻訳する時どのようにしますか?私はほぼストレスなく英語を使えますが、Google翻訳を織り交ぜながら訳します。その中でわからないところだけ詳しく読んで解釈する感じ。
今はいい学習アプリもたくさんありますし、もはや老舗の辞書「英辞郎」などは紙の辞書にはない新しい表現が数多く取り上げられています。実際、スマホがあるのに、紙の辞書のみで学ぶ大人はもう化石かもしれません。
文科省も言っていますが、人生100年時代は生涯学習の時代でもあります。学校は、知識を教え込むのではなく、学び方を学ぶところに変化するのです。
学校によっては、「イヤホン禁止」「iPadのカメラアプリ禁止」など謎のルールも多く聞きます。しかし、教員がすべきことは生徒がどうすれば一生学び続けるスキルと知識を与えること。それは文法や単語ではありません。
例えばこの授業のように格安で使えるクラウドアプリを利用して自分で計画を立て、遂行し、周りからフィードバックをもらって振り返り、また次へ進む。そんな力です。
この授業のデザイン
1)New York TImesをチームで一記事選んで読んでくる
2)A2ホワイトボードを使いそれぞれのメモをまとめ、全体像を掴む
3)チームごとに理解を簡単に発表
4)個人でこの記事について意見を述べるブログを書く(引用忘れずに)
5)ブログサイトMediumにアウトプットする(リンクは教育用SNSのEdmodoへ)
6)制限時間10分で3人のブログを読み、感想を書いていく
実際のブログ二本です。
サリーは将来ジャーナリストになるのが夢の生徒でした。最初こそ学力は低かったのですが、書いたりビデオを作ると夢中になり、ブログも一番多くのアウトプットをしました。
リューセイのこのブログは私のFacebookにリンクを貼ると何十もコメントがつきました。そうした意見を外部からもらったのが励みになったと言います。
この二人がまさに、昨日の荒木貴之先生の言う「新たな学習リーダー」です。
さいごに
余談ですが、New York TimesはNIE、つまり新聞教育の元祖です。今でこそ新聞教育は有名ですが、これはNYTが始めたものです。講読料もとても手頃なのですが、サイトにも使えるコンテンツがいろいろあるのでリンクを貼っておきます。
続編です↓
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