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夕月
2023年5月31日 23:51
16歳の頃。ソラトは鍛冶が盛んな街に修行へ、ウキグモも革命を起こしたヴァサラ軍に入隊を志願し、故郷のサルビアの街を離れた。 ヴァサラのように『革命』なんて大それた事は出来なくとも、自分の剣の才が一人でも多くの人を生かすことに繋がるのなら。そう思い、入隊を志願したのだ。 ヴァサラ軍が革命を起こし、かつての国の体制は崩壊した。情報を統制し、国民を洗脳させ、下級民が苦しみ続ける裏で、上級民だけが
2023年5月22日 01:02
「……うん、うめぇ!」 無造作な黒髪、立派に蓄えた顎髭の男、コジローは団子屋で舌鼓を打っていた。任務前の腹ごしらえと称しては、団子を数本平らげたところである。 元はといえば、任務のついでに上官である寅に土産として買うつもりだったのだが、すっかりと自分だけが腹を満たす結果になっていた。 「いっけねぇ、寅さんの分買っておかねぇと」悠長に食べている場合ではない。任務前とはいえ、ずっとくつろ
2023年5月17日 23:28
街でこんな光景を見かけた。「おかーさん! いつもありがとう!」「あら、綺麗なカーネーション。ありがとう」子どもが母親に赤いカーネーションを贈っていた。そう、巷では「母の日」と呼ばれる記念日を迎えていた。 (母の日か……)ヨモギは、ワカバ村で平和に暮らしていたあの日を思い出した。カーネーションを贈るということはなかったが、代わりにその日は母親には一切家事や農作業をさせず、ゆっくりさせ