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勝手に村上春樹 おすすめランキング
村上春樹という作家を皆さんご存知でしょうか?
ノーベル賞をとるのか、とらないのか?というニュースは、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
村上春樹は日本でおそらく唯一の世界文学者です。この先世界のどこかで生まれている子どもたちが、親の本棚を見て、
「パパ、ママ、このほんよんでもいい?」と許可をもらって、もしくは勝手に村上春樹の本を開いちゃって、生涯その子どもの考え方や人生に影響を与えてしまう力を持っています。
そんな世界を代表する作家は文体にクセがあり、
読むのが少し厄介であることで有名です。
今回、おすすめランキング形式で村上春樹の本を紹介していきますが、
3つの視点から星5★★★★★の評価をつけました。
1.社会性
2.難解度
3.クセの強さ(村上春樹特有の文体)
ただし、星が多いからといってランキングが上とは限りません。
あくまで、ざっくりとした作品の自己分析です!
また、今回はベスト3までを載せました。
続きの掲載はどうしようか考え中です!
それでは、村上春樹さんを読んでない人も、
全部読んだよっていう人も、読んで楽しんでいってください。どうぞ〜
1位.1999年 「スプートニクの恋人」
1.社会性 ★
2.難解度 ★★★★
3.クセの強さ ★★★★★
1ページ目の1行目からクセの強さがアクセル全開です。ワンピースのサンジなら感情表現をもっと表に出して、「恋はいつでもハリケーン!!!」とシンプルに打ち出してもらえますが、村上春樹ともなると、非常に厄介なことがわかります。
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。 広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。 それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。そして勢いをひとつまみもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈悲に崩し、インドの森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペルシャの砂漠の砂嵐となってどこかのエキゾチックな城塞都市をまるごとひとつ砂に埋もれさせてしまった。
カンボジア、インド、ペルシャと、もうこの竜巻は止めようがありません。
どこまで行くんだ、恋の竜巻は!!
村上春樹の代表的な中編小説だと思います。
なぜ、中編小説になっているかというと、村上春樹の真骨頂である自意識の揺れや"あちら側"に行く過程があまり書かれておりません。解釈は読者に委ねられています。けれど、村上春樹の読者ならまぁこういう流れだろうと、予想できると思います。
ちなみに、村上春樹の作品は、主人公が海外に行く場合があります。
この作品では、同僚に「四国」に行くと嘘をついて「ギリシャ」に行きます。
人が移動する、旅行するということでの物語を楽しめます。
ストーリーのテンポが非常に早く、作品全体に名言がいくつも出てきます。
ぜひ、お気に入りの名言を探してみてはいかがでしょうか。
2位.1988年 「ダンス・ダンス・ダンス」
1.社会性 ★★★★
2.難解度 ★★★★
3.クセの強さ ★★★★★
鼠シリーズ全4部作の4作目です。
パイレーツ・オブ・カリビアンを想像してみて下さい。みんな大好きパイレーツ!!めっちゃ面白かったですよね!!
1作目.呪われた海賊たち
2作目.デットマンズ・チェスト
3作目.ワールド・エンド
だけど、4作目もあるんですよ。「パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉」
これには、なんとウィル・ターナーも、キーラ・ナイトレイも出てこない!!
そう、鼠シリーズ4作目の「ダンス・ダンス・ダンス」もそういう作品です。
鼠シリーズ1〜3作目には、親友の鼠と主人公の「僕」でストーリーが構成されていましたが、「ダンス・ダンス・ダンス」には、ほとんど鼠が登場しません。
「ダンス・ダンス・ダンス」は、長編小説です。村上春樹の全盛期に書かれたということもあり、文量が多く、村上春樹らしい文体で常に構成されているため、非常に読みにくいと思います。ただ、その理由として、「ノルウェイの森」という今まで書いてこなかった純文学を書き続けていたストレスの鬱憤を晴らすかのように、おりゃーっと1年で書いてしまった本だからです。
主人公「僕」がハワイに旅行に行くなど、自由奔放で読んでいてテンポがいいです。村上春樹が寒すぎるローマで執筆していたため、当時温かいハワイに行きたい願望が強すぎて、ハワイが作品の中に登場してしまったそうです。
そして作品全体的に妙に哲学的です。
読者に簡単には答えが出ないようなことを投げかけてきます。最後まで答えが出ないこともありますが、主人公の「僕」と哲学じみた旅に出てはいかがでしょうか。
羊男の主人公への語りかけ
「踊るんだよ」
「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」
「でも踊るしかないんだよ」
「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」
オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。
3位.1985年 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
1.社会性 ★★★★★
2.難解度 ★★★
3.クセの強さ ★★★
この作品には、社会性に星5★★★★★をつけました。「セカイ系」という物語形式はこの作品から始まりました。
セカイ系とは、アニメ・漫画・ゲーム・ライトノベルなど、日本のサブカルチャー諸分野における物語の類型の一つである。定義が明確に為されないまま、主にインターネットを通じて広がったため、意味するところは諸説あるが社会学、現代文学論、サブカルチャー論などで様々に言及されている。wikipediaより
村上春樹が別ジャンル自体を創設したことにより、サブカルチャー全体に影響を与えました。
サブカルチャー批評の中に常に”村上春樹”の名前が出てきます。
この点が村上春樹を社会が忘れるわけにはいかない理由の一つです。
さて、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は今までなかった二項対立で話が進んでいく物語です。
私↔︎僕
ハードボイルド・ワンダーランド(現実的)↔︎世界の終り(ファンタジー)
二つの世界が並行して進んでいきます。
不思議なことに、「私」は一般人です。
一般人の「私」の頭の中に「世界の終り」の世界が存在しており、
一般人の「私」が「世界の終り」と関係性を持ってしまう話です。
?????確かにそうなると思います。
しかし、この作品は読みやすです。
村上春樹の文体というよりもそのストーリー構成を是非とも楽しんでほしいです。
ちなみに、地下の道を通り抜けるシーンは、非常にスリリングで
少年時代にやり込んだだファンタジーアクションさながらでした。
村上春樹から始まったサブカルチャーの文脈を
私たちはもう無意識のうちに体験済みだと思います。「セカイ系」の父、原点を垣間見るのはいかがでしょうか。
以上が、お勧めランキング1位〜3位でした!
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