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2023年8月 會津の夏2023【湯野上温泉 民宿いなりや】

連勤で身体が粉末状になりそうだったので、安らぎとぬくもりを求めて近場の温泉民宿へ向かいました。

8/16 出発〜福島県下郷町

ぼんやりと昼過ぎに出発。それでもチェックインまで時間の余裕があったので、茅葺き屋根の駅舎が見事な湯野上温泉駅に立ち寄り。恐らく高校生の時分以来

湯野上温泉駅前の小林商店。店内がハチャメチャに混沌としているのが遠くからでも分かりますね。

学生時代は目もくれなかった味のある建築。一見ムーヴメントではその土地の全容など到底把握できないと再確認した

駅舎の南側には足湯スペースがあり、多くの観光客が足湯を愉しんでいました。

今回の宿は湯野上温泉「温泉民宿 いなりや」。自分にとって耳馴染みの良い会津訛りで話す女将さんが迎えてくれた。肩肘張らない自然体の接客が心地良い

チェックインするやいなや、女将さんが内風呂を見せてくれた。

「風呂は貸切だから ゆーっくり入りっせ」
「うちの風呂はうんといいよ すんごく透明で」
「汗スキーッてなってさっぱりすっから」

湯の鮮度と泉質を誇らしげに語る女将さんに、のっけから心掴まれた

こちらの宿の夕餉は出鱈目なヴォリュームで提供される。温泉はもちろんだが、今回は食事も投宿目的のひとつ。

「うちの料理はすごいがんない がんばっから」

女将さんから発せられた一言でグッと気合が入った。

今回通されたのは6畳の「栗の間」。全4部屋の小さな宿だが、この日は全ての部屋が埋まっていた

内湯にはシャワー・カランが2基。実用的なアメニティーが並んでいる

内湯も露天風呂も体感42℃ほどで、温度調整が絶妙な塩梅。女将さんの仰る通り、スキッと爽快な肌離れのよいアル単泉

部屋が少ないからこそ可能な貸切スタイルで、何者にも干渉されない至高の湯浴みを愉しみました。

成分表

囲炉裏の間。夕餉で出てくる岩魚の姿焼きはこちらで調理されるそうです

寒い季節に囲炉裏の灯りを眺めながら静かに吟醸酒が飲みてえ

夕餉までにもう少し腹を空かせる為、浴衣を纏い温泉街を軽く歩き散らす

ビビットな絵柄が目を引く蔵

温泉街の中心通りにはこじんまりとした足湯が有りました

暫し徘徊したところで小雨が降り出したのでとんぼ帰り。夕餉に備え部屋で態勢を整えた

満を持しての夕餉。この為に道中ドラッグストアに立ち寄り胃薬を購入してきた

特大のいなりに度肝を抜かれる。薄めの油揚げの中には米がこれでもかと詰まっていた

刺身の付け合わせの胡瓜を一目見て思ったが、とにかく切り飾りが美しい。煮物も芸術的

下郷の郷土料理「しんごろう」。丸めた米を串刺しにして味噌を塗り焼いたもの

序盤は調子良く食が進む。それぞれの味付けが本当に良い塩梅で、近頃薄味が好みな自分にとっては嬉しい

立体的に盛られた凄まじい物量の天麩羅が着弾。品目を丁寧に説明して頂いたのだが、聞き終わる頃には既に序盤の内容を忘れていた。多分20種類くらいあった

大内宿の蕎麦屋で修行したという旦那の手打ちそば。しっかりと角の立った見た目に違わず噛み応え抜群で素晴らしい。相当満腹になってきたタイミングで配膳されたのだが、スルッと入った

デザートのアイス

ひとつだけ残った舞茸の天ぷらがどうしても腹に入らず終了。
この日の宿泊客の中で最も完食に近い量をたいらげたので、向かいの卓の家族客から健闘を讃えられました。

あまりに満腹になり過ぎて横にすらなれず、蒲団の上に座った状態で苦悶の表情を浮かべながら1時間静止。腹が落ち着いたタイミングでもう片方の浴室に沈没。
一応男湯と女湯に分かれているのだが、空いていれば好きな方に入れます

食に真剣になり過ぎて飲み切らなかった田島のあらばしり。湯上がりに部屋でダラダラしながら少しずつ頂いた

8/17 福島県下郷町〜帰還

起きてすぐ外に出た。宿の横に鎮座するお稲荷さまに朝の挨拶をしましょう。

朝靄がかかって、えも言われぬ雰囲気を醸し出していた

ひんやりとした朝の空気で肺を満たしたのち、朝風呂に沈没した

朝餉のヴォリュームはちょうど適当。健康的な朝は健康的な食事から始まる

特にこの味噌汁がほんとうに美味だった。野菜の甘みが抜群に効いている

幾度となく館内ですれ違っていた旦那さんとチェックアウト時に言葉を交わすことができた。

「来てくれるだけでありがたい」
「この度はありがとうございます どうぞごゆっくり」
「うちを選んでいただいてありがとうございました」

宿に滞在している間、顔を合わせる度に繰り返し感謝の言葉を口にする聖人のような方だった。
あまりに宿泊料金が安価すぎて、日本酒をオーダーして少しでも金を落とそうと思っていた旨を伝えた。

「こっちはその気持ぢだげで嬉しいんだがら」
「また疲れたどきに来なんしょ」

最後まであたたかい女将と旦那に見送られ、いなりやを出立した。

チェックアウト時に頂戴した「しもごう満喫キャンペーン」なるクーポン。湯野上温泉駅売店にて引き換え可能とのことなので、1日ぶりに再訪

1000円分のクーポンは、R121沿いの下郷町物産館にて「会津地鶏 放し飼いの卵」に化けました

帰りがけに西郷村「甲子温泉 旅館大黒屋」にて久方ぶりに立ち寄り入浴。大岩風呂の趣はいつ来ても素晴らしい

R289からわき道に逸れた味のある佇まいの「もり食堂」にて昼餉。太目で多加水気味なもちっとした自分好みの麺。サービスのおにぎりも美味でした

湯野上温泉は日帰り入浴の経験も無く今回が初入浴でしたが、自分の生活圏にこれほど優れた民宿がある幸せを噛み締めた2日間でございました。

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