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『わらの女』を読みました。
『わらの女』
著者:カトリーヌ・アルレー
翻訳:橘明美
内容紹介
34歳独身。家族も身よりもいない女性、ヒルデガルドは翻訳業でほそぼそと生活をしていた。
ある日、新聞の求人広告に、大富豪が良縁を求めているのを発見する。
お金のことを気にしないでいられる生活に憧れる彼女はそれに応募するのだが。。。
時代小説は息が長い。
という話を昔聞いたことがある。
息が長い、とは何年、十何年たっても書店で手に入り安いことで、それがなぜ時代小説なのかというと、今日発売された今現在を舞台にした小説も、何年、十何年たつと古くなってしまう。それは仕方の無いことだが、自体小説は元々古物なので、今更十何年古くなっても影響はないからだ。
今でこそインターネット通販が活発で、Amazonやhontoで簡単に購入できるけれど、ひと昔前は書店に取り寄せてもらわないといけなかった。
しかし息が長いと言ったところで、その作品自体に魅力がなければ息切れしちゃうわけで、それはどんな作品、どんなジャンルも同じ事が言えるだろう。
では、息の切れた作品に良作はないのだろうか?
そうではないだろう。
最近ではコロナ騒ぎでカミュの『ペスト』がベストセラーになったりしたのは特殊は例として、本を読む我々にとってありがたいのが『再版』である。
特に海外の作品だと、『新訳でよみがえる』的なのをよく目にする。
それなりの作品でないと再版されないのは当然だ。
そう考えると再版モノは信用できる。
『ポップ1280』と『深夜プラス1』は再版されていないと出会えていないし、信用度も上がった。
『わらの女』もそうで、「わらの女」の「わら」は「(笑)」や「www」という意味、では当然なく、「藁」のことで、操り人形という意味だ。
この説明は読んでいてすぐにわかることなのでネタバレではないでしょう。
ミステリー、推理小説では目次の後か先、あるいは裏表紙に人物紹介というものがあったりする。
この作品にもそれはあるのだけれど、そこで紹介されているのは6人で、普通なら主要人物紹介なので、そこで紹介されている人物以外も登場するものだ。
この小説の一つの特徴は、その6人以外出てこない、ではなく、その6人以外は名前が出てこないところだろう。
「ちょいと読んでゲームでもすっか。残りは明日でいいや」
で読んでいて、後半にさしかかり、突然始まった会話劇に、めくるページを止められなかった。
そんな日があるから、読書はやめられないのである。
なかなか出来る経験ではないのだ。