支援を補強するアドラー心理学-臨床アドラー心理学入門研修会紹介note-
フロイト、ユングと並び語られることの多いアルフレッド・アドラー。
累計販売500万部大ベストセラー「嫌われる勇気」が話題になったことも、記憶に新しいです。
一方、日本臨床心理学界隈での取り扱われ方はというと、教科書の歴史的分脈の一部分に出ている程度と、メインストリームでは扱われていない印象があります。
今回企画したアドラー心理学研修会講師の小山先生は、大学時代アドラーに魅せられ、以降10年以上アドラーを学び、実践を続けて来られたそうです。その中で気付かれたことを、このようにおっしゃっていました。
各理論をきれいに組むための枠組みとしてのアドラー心理学。
理論と理論をつなげる役割としてのアドラー心理学。
こういったアドラー心理学の特徴は、私たちにどのようなメリットをもたらすでしょうか。
このnoteでは、アドラーの研修会に興味はあるけど、実際どうなんだろう?自分が受けていいのかな?など悩まれている方向けに、どんな学びが得られるのかなどを簡単にご紹介します。
受講検討時に、参考にしていただけると嬉しく思います。
アドラー心理学と現代臨床
世界初の児童相談所開設をはじめとした現場での精力的な活動、そして、多層階級の患者への支援提供実績などから、アドラー心理学は、現代臨床心理学の先駆けとして語られます。
アドラー心理学には意外にも、多様な支援現場/患者に用いられ、効果を発揮し、研ぎ澄まされてきた歴史があります。
「嫌われる勇気」の自己啓発的印象と実情は、結構異なるのですよね。
さらに、アドラー心理学の要素と、今日私たちが活用する理論/技術との関連性が多く指摘されています。
例えば、私たちにも馴染み深い、認知行動療法や対人関係療法、論理療法、人間性心理学、家族療法、ブリーフセラピー等は、アドラー心理学と似通った要素を含んでいることが指摘されます。それもそのはずで、理論の提唱者がアドラーの弟子だったり、アドラー心理学から影響を受けていたり、といったことがあるようです。
実は、私たちの支援/臨床とアドラー心理学には、意外なつながりが色々あるということを、ここではご紹介しておきます。
支援を補強するアドラー心理学
様々な理論/技法の要素を含み、現場に根ざしたアドラー心理学を、私たちが今学ぶメリットはなんなのでしょうか。
ここで、企画時参考にしたWEB記事、鈴木先生×八巻先生×深沢先生によるアドラー心理学についての対談から一部を引用します。
以下は八巻先生の発言です。
小山先生がおっしゃられた「各理論のパズルのピースをきれいに組むための枠組み」と、八巻先生の「アドラー心理学を学ぶことで、思想的側面を補強する」という発言は、近しい要素に触れているように思います。
対人支援の専門家は、効果が裏付けされた理論/技法を材料に意思決定を行います。「なんとなく」ではなく、見立てと方針決めのプロセスを経て、立証された方法/技法を被支援者へ提供します。
しかしその際、迷いや混乱が生じることがあります。なぜなら、支援というのは一枚岩とはいかず、時に、複数の理論の要素を統合し提供する必要があるからです。この作業は、知識が多ければ多いほど混乱しやすくなります。
アドラー心理学の諸要素が、専門家としての意思決定の補強に効果がある、という部分については、調べたり、小山先生とお話しして私が勝手に仮説立てたところではあるのですが、このような内容がお話いただけるようであれば、学び深い時間となりそうだ、と感じたため、今回企画を起こす運びとなりました。
最後に
「アドラー心理学の説明」といったものの、ちょろっと調べた初学者の私が、具体的な理論の説明に触れるのは誤解が生じやすい気がしたため、
ここではく、アドラー心理学と現代臨床の関連性の深さを切り口に、「学んだらこんな良いことがありそう」というところを書いてみました。
以下のようなアドラー心理学の中身ついては、研修会内でしっかりと扱っていただく予定ですので、ご興味のある方はぜひ一緒に学びましょう。
理論など基礎的知識は早々に、実践での経験を踏まえた工夫/テクニックを共有していただき、実際の支援につなげる予定です。