現役配達員的には再配達有料化はう〜ん... 2022年5月6日

自分は今までヤマト運輸に佐川急便、そして現在のAmazonと郵政以外の宅配大手3社で宅配ドライバーをしてきた。

今年に入って、ヤマトからAmazonに移籍したのだが、やっぱりAmazonは置き配がデフォルトなので、ヤマトや佐川の配達と比べれば圧倒的に楽だ。置き配をデフォルトにすることで、1時間当たりの配達件数が増えるし、配達完了率も上がる。(1時間当たりの配達件数が増えても、不在だったりして、配達が完了しないと意味がないので置き配は本当にありがたい)

誰もが早く帰るために配達は1回で終わらせたいというのが本望だろうし、誰も再配達なんてしたくない。しかもどうやら、再配達は環境的にも良くないみたいだ。

再配達のトラックから排出されるCO2の量は年間でおよそ42万トン(2015年度国交省調査)と推計されており、宅配便の再配達は地球環境に対しても負荷を与えています。
出典:国土交通省>宅配便の再配達削減に向けて

気候変動問題が国際的に大きく取り上げられる昨今、やはり大企業であればあるほど、サステナブルな行動が求められる。そして近年、右肩上がりに増えていく荷物に加え、ガソリン代もどんどん高騰している。当然、宅配企業各社は環境にも悪く、コストもかかる再配達問題にどう取り組むべきか?頭を悩ませていることだろう。

そういえばヤマト運輸が27年ぶりに値上げをした2017年以降、定期的に「再配達の有料化」が話題になっている気がする。

確かに再配達を有料化にすると、再配達の抑止に繋がりそうだし、ガソリン代などの金銭的コストも補えるように思う。

ただ現役配達員からしてみれば、間違いなくクレームは増えるだろうと容易に想像できる。

・インターホンを押されていないのに不在票が入っていた
・自分が玄関のドアを開けた時にはもうすでに配達員が立ち去っていた
・再配達でお金をとるなら、在宅確認のために電話までしろ

上記のようなことを言われた際に、果たして言い返せるのだろうか。ただでさえこの国では〝お客様至上主義〟な節があるので、まぁ無理だろう。しかも、仮にお客さんが嘘をついていたとしても、それを証明する術はないので、残念ながら言い分をそのまま飲んで、結局は無償で再配達せざるを得ないというケースは大量に発生すると思う。

再配達の有料化によって、クレームは増えるだろうし、それらの対応やお金のやり取りなど、今よりも間違いなく現場の負担が上がることが予測できる。

また有料化したのにも関わらず、再配達の指定時間帯に遅れてしまった時のカウンターも恐ろしい。一般的に1日で200件くらいは回る。忙しい日はほぼ休憩無しの状態なので、ついつい時間帯指定を見落としてしまうとか、単純に同じ時間帯指定が多すぎて「物理的に無理!」とかいう日も少なくない。

無料のサービスでさえ、指定の時間帯に遅れてしまうと烈火の如くキレられることがあるのに、それが有料になると...想像もしたくない。

そのようなことを考えると、自分は再配達の有料化には反対だ。それよりも再配達をさせないように心がけてくれている良客を大切にする方向で考えたい。一発で受け取ってくれる人はもちろん、置き配でもいい人や直接宅配ボックスでいい人にはポイントがつくとか、良客にインセンティブを与える方向に考えた方が建設的なように思う。

とりあえず、ヤマトも佐川もAmazonみたいにデフォルトで置き配でいいかもしれない。もし盗難とかの恐れを気にするなら、置き配不可を選んでもらえばいいだけなのだから。

ヤマトや佐川的に置き配を推奨できない複雑な事情はあるだろうが、Amazonの配達をすれば、本当に置き配のニーズは高いことが分かる。大多数の人は置き配でいいのだ。むしろインターホンを鳴らされたくないという人も少なくない。

このせっかくAmazonが作り上げた風潮を利用しない手はないと思うし、やはりアメリカの企業はダイナミックに時代を変える力があることを実感させられる。ヤマトや佐川に置き配をデフォルトにするという画期的な発想は思いつかなかっただろうから。

とりあえずヤマトや佐川が置かれている再配達が多いという状態は、環境的にも配達員的にもまったくサステナブルでは無いので、今後どんな行動をとるのか、一宅配事業者として注目していきたい。

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