【ドラッグストア】店長の仕事の裏側。~マネージャーとして~
入社2年目くらいから、「新入社員やアルバイトさん達の教育」をする様になりました。
私が新入社員だった時はというと、相談できる「歳の近い先輩社員」がほとんどおらず、さらに「上司から教育を受ける機会」そのものが少なかったですね…。
パートさんたちに色々と教えて頂いたり、電話で他店舗の社員に質問したりしていました。
そういう事もあって、自身の経験談や失敗談・ベテラン店長から教わった事などを、後輩社員たちに可能な限り伝えています。
ただ、手探りでやっていることも多く、困った時は「本」からヒントを得ています。
今回は、とある「社員教育に関する本」を読んでいた時に考えた事をお伝えします。
【心に引っ掛かった言葉】
本の中で「プレーイング・マネージャーは置くべきではない。」という文章を見つけました。
私にはこの言葉が、何となく心に引っ掛かったのです…。
日本の企業では、現場で「プレイヤー」として優秀だった人材が、現場の仕事も続けつつ「マネージャー」になる事(いわゆるプレーイング・マネージャー)が多いのだそうです。
確かに自分の職場でも、どんなに社歴が浅くても、プレイヤーとして優秀な人から店長になっています。
しかしながら、「プレイヤーとして優秀だからマネージャーとしても優秀」だとは言い切れないのだとか…。
理由は、「プレイヤー」と「マネージャー」では求められる「能力や役割」が異なり、両立する事が難しいからです。
※ドラッグストアでは、主に店長(店長が不在の際は、副店長・副店長以下の正社員・パートリーダー等)がマネージャーに該当します。
実際、「プレイヤー」として店長から指示を受けて与えられた業務をこなすのと、「マネージャー(副店長)」としてアルバイトさん達に指示を出しながら自分の業務をこなすのとでは、確かに「必要な能力」が違うな…とは日頃から感じています。
【現場では実際どうなのか?】
「プレーイング・マネージャーはよろしくない」と言われているものの、実際ドラッグストアの現場では、ほとんどの店長・副店長等の責任者が「プレーイング・マネージャー」です。
…といいますか、慢性的な人手不足に悩まされている為、「プレーイング・マネージャー」でないと現場が回らないのが現状です…。
(「資格を取り、土日祝日も出勤し、長時間ガッツリ働いて稼ぎたい」というパートさんって、けっこう希少価値が高いのでは?)
1日のスケジュールを見てみると、何となく理由が分かるかと思います。
スケジュールの一例を載せますのでご覧ください。(手書きかつ暗い画像でごめんなさい…。)↓
会社によりけりですが、店舗の面積が大きくても、1時間当たり「2~3人」で営業している場合が多いと思います。
仕事が山積みの時は、休憩がほとんど取れないので、「ツーオペ営業」でも結構キツいです…。
(片方が1時間程の食事休憩に入ると、結局ワンオペ営業になってしまうのです。)
特に地方にお住まいの皆さん、「割と大きな店なのに従業員の姿が見当たらないし、誰もレジ応援に来ないな…。」と思ったことはありませんか?
お客様がひっきりなしにご来店される店舗や、業績の良い店舗だと、1時間当たり「3人以上の大所帯」で営業しているのではないかと思います。
いつも人員がそれくらい揃っていると、安心して休憩したり、社員業務や売場の作り替え等ができるんですよね…。
比較する為に「人員に余裕がある場合」のスケジュールの例を載せますのでご覧下さい。↓
究極に人員が薄い場合は、店長・副店長であっても長時間レジに入りますし、1時間前後の「資格者正社員によるワンオペ営業」を行うことも珍しくはありません。
「地方の比較的大きな店舗」であるにも関わらず、営業体制がドラッグストアよりもコンパクトな「コンビニ」の様ですよね。
(一体、いつ売場の作り替えや社員業務をしたら良いんですかね…?笑)
ただ、ワンオペ営業・ツーオペ営業ともに「万引き犯の標的」になりやすいので、あまり望ましくはないですね…。
その様な状態なので、いくら「マネジメント能力」に長けていても、レジでミスを連発したり、掃除や賞味期限チェック等の「基本業務」のやり方が分からないと言っている様な店長では務まらないのです。
【そもそも、なぜ切り詰めているのか…?】
私の体感ですが、現在ドラッグストア業界には、「超・低予算運営」という課題が課されていると思います。
諸々の「経費削減」も行いながら、「常にギリギリ店が回るかどうかの人数」で営業しているのが現状です。
(何だかKAT-TUNの歌みたいですね…。)
業界全体で競争が激化しており、一昔前と比べて利益が取りづらくなってきていることが、経費削減の大きな理由だと私は考えています。
それに、最低賃金の上昇で「人件費」が高騰しているので、業績の悪い店舗には十分に人員を配置できないですよね。
【プレーイング・マネージャーであっても…】
余分な話が長くなってしまいましたね。ごめんなさい…。
ただし、忘れてはならない注意点があります。
従業員が揃っていて時間がある時は、現場の「マネジメント」をしなければなりません。
そこを忘れてしまうと大変な事になります。
過去にあった事例ですが、指示出し・進捗管理・スケジュール立て等ができていない「マネージャーであることを忘れている店長」が現場を取り仕切っていると、あっという間に現場は「崩壊」してしまいます。
ただ空気の様に存在しているだけで「本当に何もしない人」が時々いるのです…。
どれだけ「マネジメント能力に長けた部下やパートさん」がカバーしても、そう簡単には崩壊した現場を立て直す事はできません。
最悪の場合、現場の「人間関係」まで崩壊してしまうのです。
考えてだけで恐ろしいですね…。
結論、大事なのは「バランス」だと思うのです。
人間の能力には限界があり、人それぞれ得意・不得意もあります。
その為、「プレイヤーとしても100点・マネージャーとしても100点」を目指す事は難しいのです。(そもそも両立する事自体、けっこう難しいと私は思います。)
個人的には、「プレイヤーとして60点以上、マネージャーとして60点以上」あれば、店は何とか成り立つのではないかと思います。
あとは部下やパートさんで、足りない部分をカバーし合えば良いのです。
毛利元就の「三本の矢の教え」の話の様に、お互いに助け合って結束する事も大事なのです。
(ついでに言うと、2人体制で営業するよりも、三本の矢の如く「3人体制」で営業した方が負担は軽いんですよね…!)
そう考えると、プレーイング・マネージャーでも悪くはないのかな~と思います。
これが理想的な「ドラッグストアのマネージャー」のカタチだと思います。
それに加えて、「プレイヤーとしてもマネージャーとしてもそこそこ動ける」部下やパートさんを育てる事や、「行動指針や業務のスケジュール」をきちんと伝えておく事も、マネージャー(店長)の重要な役割です。
「店長が不在だと何もできない」という状況を作ってはいけませんから、特に休みに入る前は色々と準備や伝達をして「皆が動きやすい状態」にしておかなければならないのです。
ある意味ここが、マネージャーとしての「腕の見せ所」かもしれませんね。
【まとめ】
●「プレイヤー」と「マネージャー」では求められる「能力や役割」が異なり、両立する事が難しい為、「プレーイング・マネージャーは置くべきではない」と言われている。(実際、両立する事は難しいと思う。)
しかしながら、慢性的な人手不足・人件費高騰・経費削減等の理由によって、店長をはじめとする責任者は「プレーイング・マネージャー」にならざるを得ない状況になっている。
店長であっても、レジ・清掃・期限チェック等の「基本業務」がきちんとできないと、「店が店として成立しない」のが現状。
マネジメント能力が高いだけでは、店長として務まらなくなってきている。
●ワンオペ・ツーオペ営業の際は、「プレイヤー」として「レジや補充等」をこなしながらバリバリ働かなければならない。
ただし、「マネージャー」である事を忘れてはならない。きちんと「マネジメント」ができていないと、現場は崩壊してしまう。
その為、「プレイヤー」と「マネージャー」では求められる「能力や役割」が異なる事をあらかじめ理解し、時と場合に応じて「使い分け」をする必要がある。(上手くバランスを取る事が大事。)
足りない部分は「他の社員やパートさん等の協力」を得て補えば良いので、プレーイング・マネージャーでも悪くないのでは?
●「店長が不在だから何もできない」という状況を作ってはならない。
「プレイヤーとしてもマネージャーとしてもそこそこ動ける」部下やパートさんを育てる事や、「行動指針や業務のスケジュール」をきちんと示しておく事も、マネージャー(特に店長)の重要な役割。
※この記事は、あくまでも個人の見解です。ご理解の程お願い致します。
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