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フィルムカメラの修理と帰還、そして文化

今年もブラックフライデーの時期がやってきた。詳しい内容は綴らないが、今年は『ラストマイル』という映画を見てしまったのもあってなかなか食指が動かない。それに、某密林を覗いてみても欲しいものリストに入っている物はそこまで安くはなかった。クレジットカードだとか家電量販店のポイントを使った方が良さそう(意外とこうしたポイントは使わないものだし)。私ことアラサー会社員の視点でカメラ分野を検索しても、一部のレンズが数パーセント安くなっているとかそんな感じだった。さて、総括には早い気もするが2024年は《出会いと再生》の年と言えそうだ。再び生きる。



ライカ MDa

今年3月頃、某フリマアプリで購入したライカのフィルムカメラ“MDa”。前の持ち主の方までが綺麗に使われていたので、とても綺麗な状態で我が家にやってきた。素人目線だが動作も問題なく、その後の広島や新潟への旅行にも持ち出した。そうして数ヶ月が過ぎた2024年6月19日、私はMDaをメンテナンスへ預けた。東京・浅草に“早田カメラ店”という老舗があり、その店主である早田清さんがM3を修理している映像を見たことが起点となる。実際にお預けしたのは、その早田さんが創業に関わった“ハヤタ・カメララボ”さんだ。修理期間はその時点で約3ヶ月。それでも、私はお願いした。

前述の通り、挙動に問題はなかった。しかし、これから長く使うことを考えて「しっかり健康診断をしてもらおう」という想いだった。もう1つは、失礼ながら「こうした技術が減ってしまうのではないか?」という懸念からだ。完全機械式の古いフィルムカメラは、壊れても大抵は修理可能だろう。だが、修理する人がいなければどうにもならない。MDaが還ってきたのは9月28日のこと。これまではフィルムの巻き上げが重たかったようで、その辺りを含めてオーバーホールしてくださった。最後に、店長の根本さんが「このMDaはボディの状態も良いし、これからも長く使えますよ」と仰った。

納品書に添付された解剖図

オリンパス XA

今年8月頃、某フリマアプリで購入したオリンパスのフィルムカメラ“XA”(デジャブ)。最近、SNS上でこのフリマアプリでのトラブルが話題になっていた。考えてみると、私が今年購入したフィルムカメラはすべてこのアプリで購入(落札?)している。幸運だったと思えば良いのだろうか。ただし、このXAについてはジャンクという前提で販売/購入した。届いた現物のフィルム室を見ると、確かにモルトプレーンが絶えている。それを旅先のホテルで貼り替えたことは、今となっては良い思い出だ。しかしながら、MDaとは違って使っているうちに異変を感じた。絞りが変わらない。

よって、修理へ出すことにした。前述のライカMシステムなど、母数が大きいカメラについてはあっさり修理工房などが検索でヒットする。一方、XAのような古いコンパクトフィルムカメラではそうもいかない。故障箇所にもよるだろうが、電源を使う小さいカメラの修理はややこしいのだろうと思う(ど素人の予想)。そんな中で、XAの修理に関しての記事をアップされていた京都の“1/1 filmcamera service”さんにお願いすることにした。そうして9月末にXAは京都へ旅立ち、11月29日に我が家へ帰還。店主のハヤシさんが私と同世代ということも、なんだか嬉しく思った(勝手なシンパシー)。

モルトも綺麗に貼り替えていただいた

これまで

付録(文化のなか)

この11月、ライカが新しいデジタルカメラ“M11 グロッシーブラック”なるものを発表した。詳細は割愛するが、ボディの一部が真鍮製で黒に塗られている。長く使っている間にこの塗装が剥げることで、風合いが増すというわけだ。私もこの“列”に並んではみたが見込みは不明。また、デジタルカメラ自体が、今後どのぐらい使えるかも不透明だ。今年の夏頃には、デジタルのそうした側面を踏まえてフィルムカメラのほうが良いと考えていた。だが、フィルムカメラにはフィルムとその製造会社、現像およびプリントをする会社、フィルムカメラを直す技術者と場所が必ずなければならない。

少なくてもこの三体、1つでも欠けたら途端に成立しなくなるだろう。それが技術者の高齢化や物価高の影響か、昨今はかなり揺れている感じがする。SNS上でも老舗の《閉業》という文字を見かけることが多くなった。そうした面で今年は前述2台の修理を依頼し、いくつかの場所を知ること(繋がり)が出来て幸運だったと思っている。序文の《出会いと再生》とはこうした意味を含む。大袈裟(ではない)かもしれないが、フィルムカメラを使う誰しもがこの“文化のなか”にいて生かすことも終わらすことも可能だ。私如きではどうにもならないが、この駄文が何かの繋がりになれば幸いである。

“おかえり”

本文と関連はないが、大好きなバンド“ビイドロ”の
『こわれてしまったわたしのきかい』を添えて

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