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会社員、オールドレンズを買う(沈胴式ズミクロン)

ライカMシステムを使い始めて早3ヶ月ほど。これまでは本体を購入する前に何故か手にしたエルマリート28mm(単焦点レンズ)のみで撮ってきた。このレンズに不満はないが、撮り続けていると「違う焦点距離があったらなあ~」と考え出す。これが、この病の始まりであろう。そこで、50mmという定番の焦点距離に初めて手を出すことにした。クリスマスムードが溢れる12月中旬の新宿で、私ことアラサー会社員は古い“ズミクロン”を手にする。


古希ズミクロン f2/50mm

ズミクロンの名前の由来は、という話は割愛させていただく。ライカでは、絞り開放値が2.0のレンズをこう名付けている。購入後に広大なインターネッツ!でシリアル番号を検索したところ、1954年の製造品のようだった。つまり、この情報が正しければ今年で70歳を迎える古希ズミクロンとなる。それが昨年発売したライカM11モノクローム(以下:M11M)に取り付けられてしまうという不思議を感じた。加えて、このレンズには大きな特徴がある。

それは“沈胴式”ということ。一見するとコンパクトだが、写真を撮るにはレンズ部分をグイッと引き出して捻らなければならない。使用しない時は逆の動作をして、レンズ部分を本体に“沈めて”しまうのだ。これがライカのレンズにしては安く(普通に安くない)売られている。しかし、そこには大きなデメリットがある。現在のデジタルカメラに装着すると《センサーなどに沈胴部分が干渉する》という最悪なものだ。私のM11M、故障まっしぐらか。

「ライカ ズミクロン f2/50mm(Mマウント・メートル表記)」

自己責任

ゆえに、こうしたレンズを扱うECサイトでは《デジカメで沈胴させないでね!》的な注意が記載されていたりする。当然ながらライカも推奨しないだろうし、これでカメラ本体が故障しても自己責任だ(大事なのでこの後も記載)。ただ、私が所有しているM11MおよびM11シリーズは電源オフ時にシャッター幕が降りるようになった、と思う。よって、使わないときに沈胴させてもセンサー自体に干渉することはないだろうと勝手に判断している。

また、このレンズを購入したカメラ屋の店員さんが“なかなかの人”であった。曰く「計測したが、センサーにはぶつからない」とのこと。本体のマウントからセンサーまでの距離、レンズ下から出る沈胴部分の長さなどを計測したことがあるらしい。とはいえ、すべては自己責任であることに変わりないが「まぁ、どうにかなるっしょ」という楽観が最終的に背中を押す。現世に50mmのレンズは山のようにあるが、最初はライカ印を試したかった。

「左:古希ズミクロン 右:現行エルマリート(むしろエルマリートのほうが・・?)」

ライク・ア・讃岐うどん

レンズのレビューで“線が細い・太い”という表現が用いられるが、私にはよく分からない。所感は、香川で食べた讃岐うどんのようなコシを感じた(より難解)。特に中心はしっかりと噛みごたえがあって、外側は少し柔らかさがある。オールドレンズあるあるなのか開放していくとぼんやり、絞るとくっきり。エルマリートだと編集をしなくてもハイコントラストっぽいモノクロになりやすい印象だが、古希ズミクロンは薄い膜があるような感じ。

ちなみに、価格の面で私が購入したレンズは並品よりも落ちたグレードだ。その影響っぽい写真も撮れている。M11Mはモノクロしか撮れないため、カラーはソニーのa7IVに変換アダプターを取り付けて撮影した。アダプター分の距離が出来るのでこちらもセンサーに影響はないと思われるが、もちろん自己責任である。なお、撮影はカメラ内蔵のクリエイティブルック(FL)を割り当てて行なった。これがM11M以上に相性が良い気がしている。

「 a7IV with TTArtisan + 古希ズミ 」

本体:ライカM11モノクローム

「グッときた」
「井の頭公園で」
「もふもふした落とし物」
「ベタにベタを重ねて」
「友達とそのボーイ」
「市ヶ谷のリフレクト」
「帰路」

本体:ソニー a7IV

「朝の日課」
「たまに会う仲」
「雨に消える椅子」
「都会の赤」
「年末の賑わい」
「影を追って」
「クリスマスの夜」

50mmのゆくえ

特に「オールドレンズが欲しい!」と思っていたわけではない。並べた理想の結論として古希ズミクロンを迎え入れることになった。あえて先輩に“意見”を言うならば、小さいながら重い。それでも250gほどだが、M11M自体が軽いのでフロントヘビーになりがちだ。写りは私に論じられない。現行のズミクロンと比較しても仕方がないし、中古レンズは個体で差があるはずだ。その辺りが、オールドレンズの面白さや怖さなのかもしれない。

一方、50mmという焦点距離はどうか。第一印象は「うわ狭っ!」である。これまで主に28mmを使ってきた私にとっては違和感があった。1ヶ月ほど使って慣れてきたが、まだ広角レンズの“間合い”になる。今後の使い所としては、ベタに家族や友人と出かける時がメインになるだろう。M11Mでは広角レンズでも後に切り取ってしまえば良いという怠惰さが許されるので、スナップは28mmで良い気はしている。もしや35mmのレン・・(奈落)。

「これを・・・」
「こう!」
「この状態で247g(純正フィルター付き)」

これまで

付録

強い光源を捉えると、光芒とかフレアのレベルではなく羽の形(?)が映り込んでしまう。前述の通り並品以下を購入したので「そういうものか」と思いつつ、ライカストアで意見を伺った。やはり古い球面レンズはこんなものらしいが「(販売店での)内部洗浄後のアッセンブルが甘い可能性もある」という説も。また、沈胴式はゴミが混入しやすいようだ。それらを含めても「そういうものか」で納得している。親も年を取るものだ。

と記しつつも、ある場所にこのレンズを預けようかと考えている。人間ドックやら通院と言ったところか。ただし、ある場所の情報が乏しく本当に預けられるのかは現状のところ分からない。この古希ズミクロンについて進捗があれば、本noteで綴らせていただきたいと思う。とりあえず、1月中旬に国内旅行を予定しているためそこには持っていきたい。今のところ「よし、50mmを片っ端から!」という発作は起きていないので安心だ。

「赤枠内(やや難ありたる由縁?)」
「赤枠内(やや難ありたる由縁?)」

東京の好きな讃岐うどん屋(謎のコーナー)

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