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アラサー会社員、CP+2024へ行く
“エクソシスト”は悪魔自体のことではなく、悪魔に取り憑かれた人からそれを取り除く人(エクソシスムを行う者)の名称である。エクソシストは悪魔祓いの儀式で祈りを捧げていくが、最終的には悪魔に自身の名前を言わせる(取り憑かれた人の口を介して)。これによる効果は無宗教の私ことアラサー会社員には分からないのだが、名前を知られた悪魔は弱って退治しやすくなるようだ。もし現在の私がエクソシスムを受けたら、ある悪魔の名前を口にするだろう。「我が名は、、カメラである!!」と。
そんな悪魔的イベントである“CP+ 2024”へ向かった。会場のパシフィコ横浜に近づくにつれ、お腹が空いたりコーヒーが飲みたくなるなどの奇妙な現象が私を襲う。私を含め多くの人々が入り口に吸い込まれ、会場内は熱気と高揚感で溢れていた。足が勝手に動き出し、最初にたどり着いたのは富士フイルムのブース。無意識で“X100VI”のタッチ&トライの列に並んでいた。先に体験をしている人の口から、(悪魔的な)感嘆の言葉が漏れる。いよいよ自分の番になり、得体の知れない黒い塊が目の前に出現した。
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X100VIとの遭遇
さて、序文のノリもしんどくなってきた。「買うならブラック!」と思っていた私としては好都合。誤解を恐れずに表現するとパッと見では28万円もするとは思えない雰囲気だった。実際に持ってみると確かに軽量で、この時期であればコートのポケットに収まってしまうコンパクトさ。これで動画も撮れるのは凄く良いと感じた。少し踏み込んだカメラを購入したいと友人から相談されたら、X100VIを勧めても良いかも知れない。一方、ライカQ2の代替えとして検討していた私だが、冷静になることが出来た。
素人の私にレビューはできない。詳細は専門誌等を見ていただくとして、単純に私には向いていないカメラだと思った。通されたフォトブースが極彩色の鳥のパネルや花が置いてある場所だったので、写真を撮ってもピンと来なかった部分もある。やはり今後のレビュー待ちというか、ストリートでの作例待ちかなと思う。単焦点レンズ一体型のコンデジは意外と少ない。現行品ではX100シリーズやGRシリーズ(リコー)、そしてQシリーズ(ライカ)などが浮かぶ。その中で“OVF”が使えるのは魅力的かもしれない。
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悪魔を買いたりてシャッターを切る
続いて、足が向かったのはコシナのブース。もちろん、フォクトレンダーの新しいレンズが目当てだ。VMマウントでは、“APO-LANTHAR 50mm F3.5 VM”と“COLOR-SKOPAR 50mm F2.2 VM”の2種類が発売される予定となっている。こちらも実際に試させてもらったが、特に後者のレンズが軽くて写りも好みだった。カタログスペックでは150gで、マットではないがそこまで艶っぽくないブラックが良い感じ。また、F2.2というのも珍しい気がするがボケ味が素敵だった。あとは価格次第だが、、、おっと危ない。
その後は、順番に主要メーカーのブースを見学。その中でもシグマは、本社で保管している写真集のコレクションがカメラやレンズと共に並んでいて印象的だった。その他のメーカーが疎かにしているという訳でもないが、カメラやレンズの良し悪しだけではなくその産物である“写真”を今一度考えてみては?というメッセージを個人的に感じる。こうしたイベントを通してカメラを買ってみようと決心する人もいるだろう。その入り口として素晴らしい展示だった。来年はどんな悪魔的イベントになるかが楽しみだ。
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