教育現場でのChat GPTとの向き合い方|生成AIを逆手に取り新たなる可能性へ
答えが一つではない生成AIは、正解のない社会を象徴。そして、「プロンプト」の手法がパラダイムシフトを起こすSTEAM教育へ。
2024年のノーベル賞は生成AI絡みの受賞が相次ぎ、改めて、我々の社会のいろいろな分野において、ますます生成AIの存在が無視できなくなってきていることを実感させられます。
そのような中、教育学者の土持ゲーリー法一氏(京都情報大学院大学副学長)が生成AIに関する論説を発表しました。
▼Chat GPTの功罪 破壊者か? それとも変革者か?(アルカディア学報・日本私立大学協会)
土持氏と言えば、知る人ぞ知る、戦後日本の高等教育についての政策や歴史における第一人者でいらっしゃいます。リベラルアーツに関するマガジンでも、土持氏の著書をご紹介したことがあります。
土持氏は、昨年来、話題の的となっている生成AIについて、ウィル・ダグラス・ヘブン氏の論文「Chat GPTは破壊者か?それとも変革者か?揺れる教育現場」を引き合いに論を展開。
自身が所属する大学の授業での生成AI活用の経験をもとに、今後教育の現場で生成AIとどう向き合うかについて、興味深いメッセージを出されています。
生成AIが世に出回り始めたころは、こと大学教育における論文作成などでは生成AIが使われることへの警戒感が非常に高まり、その使用に当たっては、学生たちに注意喚起する大学が多く見られました。
しかし、土持氏は、ネガティブなイメージがいまだつきまとう生成AIについて、
と明言し、むしろ生成AIを活用した新しい教育観へのパラダイムシフトを促しているのです。
さらに、
と述べ、とくに、先生が教えることが絶対という「学校神話」が根付く日本において、このままでは、子どもたちが世界で生き残れないと危惧をされています。
💡研究員はこう考える
私がここで、とてもユニークで、興味深い発想と感じたのは、答えが一つではない生成AIを逆手に取った論理展開をされている点です。
こうした現実を生きるために、生成AIを使いこなすのに不可欠な「プロンプト」が役立つというのです。
「プロンプト」とは、生成AIからよりよい答えを導くためには、質問をひたすら投げかけるというプロセス。
そこでの手法は考えてみれば、氏が米国の大学院でよく耳にした「定説を覆す」という目標につながっていく、というのです。
定説を覆す、とは、パラダイムシフトを起こす、ということ。
末尾では、リベラルアーツ教育につながる "STEAM” に話が及び、
と、プロンプトと、パラダイムシフトを起こす力を内包するA=Artとの共通点を披露しています。
氏がその重要性をかねてから主張し続けているリベラルアーツ教育。
「所詮、人間が開発したに過ぎない」生成AIをも取り込み、新たなパラダイムを提示していく可能性を秘めたその逞しさに、改めて驚かされた次第です。
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