読解力クライシス⁈「中学生の読む力低下」全国学力テスト【教育ニュース最前線vol.10】
7月29日に、「令和6年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について」が文科省より公表されました。
国立教育政策研究所のWebサイトにて、結果の概要と詳細な報告書が閲覧できます。
既にマスメディアでも様々に取り上げられていますが、ここでは「令和6年度全国学力・学習状況調査」(以下、全国学力テスト)を通して見えてきた課題に高校生視点からどう向き合うか、にフォーカスしてお話してまいります。
平均正答率
今回の全国学力テストは、令和6年4月18日に全国の小学校6年生と中学校3年生を対象として行われました。
国語と算数・数学の問題が課せられ、平均正答率は以下の通りでした。
単純な比較はできませんが、小学校と中学校間で約10%の開きがあるのは気になるところです。学年が進むにつれ、生徒の学力格差がより大きくなっていると考えられますので、仮に高校生にも同様のテストを課した場合、より平均正答率の低下が見られるかもしれません。
出題の分類・区分ごとの平均正答率も見てみましょう。
小学校では40%台の項目はありませんが、中学校では30%、40%の低い平均正答率となっている区分があり、小学生と中学生のギャップが表れています。
調査結果では、教科ごとの課題とそれに応じた指導方針の提案も書かれています。
国語の課題
「目的に照らし合わせられていない」「目的や話題に応じた内容になっていない」といった課題が散見されます。
問題における問いや前提を掴むことそのものに課題があり、さらに内容をまとめる・要約するといったアウトプットにも課題があるのですね。
算数・数学の課題
小学校・中学校ともに図形や関数の基礎を問う問題はよくできていました。一方で、算数(数学)の基本的なルールを踏まえ場面設定に則して活用することには課題があり、示されたデータを元に比較判断し、数学的な表現を用いて説明することにも課題があります。
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国語・算数(数学)いずれも、「読み取る力」「データの活用」「表現力」について課題があることが分かります。「必要な情報を的確に取り出し」「取り出した情報についての意見を形成し」「相手に的確に伝える」ためにどうするべきか、学校現場や家庭での方策について様々に考えていきたいところです。
💡では、日ごろ高校生と向き合う我々はどうすればいいのか?
これまでの記事でも、いくつかの具体的な指導法をご提案しています。ぜひ以下の記事をご参照ください。
もう一つ付け加えるならば、「子どもたちが多様な文章に触れる必要性」を文科省が謳っていますが、多様な文章の「質と量とフィードバック」についても我々指導者や保護者は念頭に置かなければなりません。
文章の内容はもちろんのこと、文体の偏りはないか、一方的な意見だけ述べられた文章ではないか(その文章への反論を考えることも良いトレーニングではありますが)、論理の破綻がない文章であるか…
さらにいえば、段階的に文章の難易度を上げていくことも意識していきたいところです。
そうして「質」を吟味した文章を、適切な量で(本人がきちんと自分のものとして頭の中に落とし込む時間を確保して)、生徒や子どもに提示し、読んだ内容を生徒や子どもがアウトプットする。アウトプットを受けて、指導者なり保護者なりがフィードバックする機会を必ず設ける。そしてそれを継続し続ける。
指導者保護者にとって時間と労力が必要なことではありますが、我々のnoteやソリューション講座が少しでもそのお役に立てるように、代ゼミでも引き続き取り組んでいきたいと思っています。
高校教員の皆さまからのお悩み相談も、本記事のコメント欄にてお気軽にご相談ください(お悩み回答はランダムです)。
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▼読めない生徒の頭の中とは?/予習シート/アウトプットのルール作り
▼発問や音読の工夫/新聞は最高の教材/ゆっくり読むことの効能
▼線の引き方や対話の工夫/読解力とは?を考えた授業改善を
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vol.11 もお楽しみに📓
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