あのとき行かなくてよかった。

人から誘われたら、ひとまず乗ってみる。フットワーク軽く行動してみると何かしら起こるし、ネタになる。

みたいなこと、よくいわれる。
あながち間違いではない。
嫌いな考え方ではないけど、ときに危険かなとも思う。

あのとき断っといてよかったな。
行かなくて正解だったな。
腰重くしてたからこそ、今がある。

みたいなこともある。

＊＊＊

中一の頃、クラブチームでサッカーをしていた。
中学になりたての頃、見える世界が変わるくらい自分のプレーに成長を感じていた。視野が広がって、相手がよく見える感覚。

サッカーがおもしろかった。
しんどい練習も楽しい。
前向きにボールを蹴っていた。

しかし、その姿が調子に乗ってると捉えられた。

チームメイトから明らかなイジメにあうようになった。

パスが回ってこない。
明らかにハミらされる。
練習中、必要以上に削られる。
ミスすれば人格否定され、罵倒される。
ミスが増える。
自信がなくなる。
ボール蹴るのが面白くない。

7月にはメンタルが折れた。
マリオでいうところのスターのような期間は呆気なく終わった。

＊

そんな中一の夏休み。
朝から練習をして、心身ともにクタクタ。
家に帰ったとき、イジメ筆頭のチームメイトから電話がきた。

「川に飛び込みにいくから一緒に遊ぼう」

鴨川上流の深いところに飛び込みに行くらしい。彼らにとって夏の恒例行事だった。誘ってきたチームメイトも2人のうち1人は、おそらくイジメ側ではない。行ってみたら楽しいのかもしれない。ここで度胸試しに成功すれば、ヒエラルキーも少し上がるかもしれない。

とも思った。

が、なんやろう。
嫌な予感がした。
なんとなくやめといたほうがいいって思った。
直感でしかないけど、行ったら死にそうって思った。

てか、あんなにいじめてきてんのに、ここで誘う？
なんか裏がある。これ危険や、やめとたいた方がええ。

死んでも誰も責任とってくれへん。

てか、落ち着け。
そもそも、オレあんま泳げへんやん。
深いとこに飛び込む。。。
行ったら絶対飛び込まなあかん。。。
あかんあかん。
やめとけやめとけ。
いろんな意味で怖い。

・
・
・

断った。

むっちゃ疲れてるし、今日はしんどい。
誘ってくれてありがとう、と断った。

＊

いまだにこの電話を受けたシーンを覚えてる。
今、書いてても明らかにいい気持ちではない。
胸のどこかの部分が気持ち悪がってる。
ムズムズモゾモゾしてる。

＊

あれ行ってたらどうなってたんやろ？
けどま、やっぱ断っといてよかったと思う。

あの日、実際むっちゃ疲れてたし、あのまま川行って飛び込んだりしたら、、、、、。

ま、今となっては思うw。
こんなこと考えてる時点でメンタル的にアウトやったんやろうなって。

＊

あのとき行かなくてよかった。
まじで行かなくてよかった。

なんていうか。

冒頭に話戻すけど、これもアンテナやと思う。これ行かん方がええ、これ行ったらまずいことなるかもみたいな感覚。そういうセンスみたいなんも養っていかなあかんなぁって思う。

リスクを負うべきかそうでないか。
その価値があるかないかみたいなことも。

断る勇気っていうのかな。
逃げる勇気っていうのかな。

人生、正対しないほうがいい場面、逃げた方がいい場面もあるよね。
って話。

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・こぼれ話　〜逃げてよかった〜

クラブチームの練習は、メンタル的にキツくなったので夏休み途中から行ってない。そのままチームを辞めて、中2からは学校の部活でサッカーを続けることになった。これも今思えば、転機やった。あのとき、逃げてよかった。

こうして文章にしてみて、客観的に見るとだ〜いぶ自意識過剰でだ〜いぶ大袈裟な気がしなくもないw。けど、これ行ったら死ぬかもって思ったのは事実。

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・最後に一曲

逃げるは恥だが役に立つ。
逃げるって、長い目でみたとき戦術の一つでしかない。