【読書ノート】暗黙知の伝承を考える -知識創造企業-
人材育成に携わる立場なので、古典を読む。
経営論の巨匠と言われる野中さんの書籍で、
「知識創造活動に注目した、ナレッジ・マネジメントの枠組み」を提唱している。
ナレッジマネジメントなどの文脈で必ずと言っていいほど出てくるSECIモデルについて解説している。
事例などは古くなってしまっているが読みやすい。
■この本を読むと良い人
①OJTなどの人材育成に携わっている人
②事業開発などの知識を創造する側の人
■この本で学べること
①個人や組織単位で属人的なスキルや知識の転移を促す方法
②人や組織がどういう状態であると創造的な状態になるか
■印象的だったポイント
①暗黙知を共有する(共同化)には、深い共体験が必要
暗黙知とは他人で伝達することが難しい、勘や洞察、直感がこのカテゴリーに含まれる。すでに形式化された知識などは、マニュアルや資料から学習できるが、暗黙知は難しい。
OJTなどでベテランのすぐそばで、思考のプロセスを追体験しながら、知識の奥にある物事の捉え方や価値観と言った。
その世界をどう捉えているかというところまで共感する必要がある。
対話/観察/体験共有/模倣が必要になってくる。
②表出化は、メタファーによって促進される
暗黙知を形式知にするには、メタファーが有効。
メタファーにより、機器にてあるものを別のものを見るように要請することで経験の新しい解釈を作り出す。
現実を体験するための別のものとして見るように要請する。
経験がない人に何かを教えるときにメタファーを使ってみる。
③人間の近くの発達には周期的なブレイクダウンが必要
ブレイクダウンとは、
快適な習慣状態が快適な環境が中断されることを意味する。
ブレイクダウンに直面した時が、根本的な思考や物の見方を見直す機会になる。環境の揺らぎがこのブレイクダウンを起こし、創造的なカオスが発生する。
これは、リクルートの人事制度に大きく影響を与えた心理学的経営においても同様のことが語られている。
異なる組織のメンバーで組織を組閣する。組織横断のPJを立ち上げるなどが当たると考えられる。
一見すると冗長的に見えるPJや組織を組閣することに大きな意味があるのかもしれない。