イジン伝~桃太朗の場合~ⅵ
前回記事【 そこには太陽の一つからまっすぐ光が差し込んでいた。ビルの白い外壁と外壁の間に続く狭い道。煙草や錠剤、アルミ缶が所々に落ちている。
「きたね。噂通り外縁っていうのは管理が行き届いてないみたいだな」
猿野は触れることすら御免こうむるというようにゴミの無いところを選んで歩いた。朗はひたすらに前進を続ける。猿野が離れないように彼の腕を掴んだままだ。自然、猿野は引っ張られる形で落ちていた缶を蹴り飛ばしてしまう。
「いって。朗引っ張り過ぎだよ。でもなんでこの缶こんなに重いん