【ビジネス書解説】『伝わるチカラ 「伝える」の先にある「伝わる」ということ』
こんにちは。
今回は、井上貴博さんの『伝わるチカラ 「伝える」の先にある「伝わる」ということ』について解説していきます。
はじめに
あなたは、「伝わる」ための努力をしていますか?
「伝える」と「伝わる」はちょっと違います。
コミュニケーションは、相手に「伝わる」ことで成立します。
自分では何かを伝えているつもりでも、相手に伝わらなければ、意味がないです。
重要なのは、「伝える」ことではなく、相手に「伝わる」かどうかです。
つまり、必要な努力があるとすれば、「伝える努力」よりも、「伝わるための努力」です。
この本では、著者の井上貴博(いのうえたかひろ)さんがアナウンサーという職を通して培った、52個のテクニックやコツを紹介しています。
この記事では、その中から僕が厳選した9個を解説していきます。
仕事でも、プライベートでも役立つ内容を凝縮しているので、コミュニケーション能力を高めたいと思っている人におすすめの記事です。
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Youtubeでも解説していますので、ぜひこちらもご覧になってください。
具体的なアクションプラン
【1個目】 句点(。)をたくさんつけながら話す。
情報を、端的に伝えるためのポイントは、「丸(句点)をたくさんつけながら話すこと」です。
丸をつけるとは、一文を短くするということです。
LINEなどでメッセージを書くとき、一文を短く区切って丸をつけ、たくさん改行を重ねていくようなイメージです。
ところが、プロでも一文を短くするのは、簡単ではないです。「あれもこれも伝えたい」という思いが先走ったり、話が途切れたときの「間」が怖かったりするからです。
世の中を見渡すと、わかりやすい話をする人は、早め早めに丸をつけて話しています。
バスガイドさんによるガイドなどが典型的です。
「右側に見えますのは東京タワーですが、東京タワーは高さ333メートルで、昭和33年に完成した自立式鉄塔で…」
「右側に見えますのは東京タワーです。 東京タワーの高さは333メートル。 昭和33年に完成した自立式鉄塔です」
やはり、丸をつけると圧倒的に情報が明瞭になります。
丸をたくさんつけるにあたっては、「が」「けど」を減らすのがポイントです。
例えば、「お茶を出していただきましたが、コーヒーがよかったです」という一文。
この場合は、「お茶を出していただきました。でも、コーヒーがよかったです」の2文に分けることができます。
「が」「けど」を使いそうになったら、いったん丸を置いて、文章を区切る。
これを意識するだけで、かなりすっきりした話し方に改善できます。
これから、話をするときは、一文を短くして、ダラダラ話し続けないように気をつけてください。
【2個目】 おばあちゃんに話すようにゆっくり話す。
話し手の心理として、間が空くのは恐怖です。
思うように言葉が出ずに沈黙すること、相手の話に反応できず会話を途切れさせることを怖がる人がほとんどです。
間を怖がる人は、伝えたい気持ちや伝えたい内容があるのに、言葉が出てこない自分に対してイライラします。
そして、言葉が出てこないと気持ちが焦り、ますます言葉が出てこない悪循環に陥ります。
しかし、聞き手の立場からすると、間はそれほど不快なものではありません。
むしろ、間をとってくれたほうがありがたいこともあります。
特に、早口な人の話を聞いたとき、「もっとゆっくりしゃべってくれないかな」「ちょっと待って! 考える時間がほしい」と感じることが多いからです。
重要なのは、「間」です。話し手が間を置くことで、聞き手は、話の内容を咀嚼しながら、次の話に備えることができます。
結果として、内容全体を把握できるようになります。
対面で話している場合、話し手が沈黙している時間に、聞き手は、疑問に思っている内容について、質問を差し挟むこともできます。
ゆっくり、丁寧に間をとりながら話すと、情報はより伝わりやすくなります。
間のとり方は、自分のおじいちゃんやおばあちゃんに話すときのペースが目安です。
おじいちゃんやおばあちゃんに対しては、誰もが聞きやすいように、ゆっくり間をとりながら話しているはず。
その話し方をイメージすると、適度な間をとることができるようになります。
また、話すときの間は、自分が思っている5倍くらい多くとっても大丈夫です。
「5倍」というと、誇張がすぎますが、感覚的にはそのくらい大胆に間をとってもいいということです。
間をとると、聞き手の注目を集め、言いたいことを強調する効果も得られます。
聞き手が自分で余白を埋めることで、思い思いのメッセージを受けとってくれる効果があります。
話すペースは、自分が思う以上にゆっくりでいいです。
「間」を長くとるように意識してください。
【3個目】 伝えたい情報は1つに絞る。
間を置くことと関連して、「話す情報を絞る」というのも大切なポイントです。
セールスの世界では、 立て板に水の話をするセールスパーソンが、いい結果を残すとは限らないです。
人は、多少話し下手でも、聞きたいことを丁寧に教えてくれるセールスパーソンから物を買いたいと思います。
一方、必要としない情報を押しつけられるのは、不愉快に感じることもあります。
「そんなこと別に知りたくないし…」という気分になります。
自分が普段買い物をするときには、情報を押しつけられるのを嫌がるのに、なぜか売り手側になると、ついつい情報を押しつけたくなります。
売り手側は、情報を与えることで、お客さんの心を後押ししたいと考えます。
買ってもらえるか不安なので、ついつい情報を詰め込みたくなります。
しかし、情報を詰め込もうとしても、逆効果になってしまいます。
あれこれ詰め込もうとせず、1つの情報をゆっくり丁寧に伝えるべきです。
5分間で何かを伝える場合、伝わる情報はせいぜい1つです。
会議やプレゼンなどで伝えたいことがたくさんあるとき、一気に伝えようとするのではなく、情報を1つに絞ってください。
情報を絞るときのコツは、一度書き出してみることです。
プレゼンをするなら、事前に内容をひと通り書き出してみます。
一言一句、正確に書き出す必要はありません。
言いたいことを、箇条書きで並べていく程度で十分です。
ひと通り書き出したあとに優先順位をつけ、情報を1つに絞ります。
そして、プレゼン本番では、絞った情報を的確に伝えてください。
ゆっくりでもいいので、一番伝えたいことに絞って伝える。
そうすれば、 伝えたい情報を確実に届けることができます。
ポイントは3つです。
1つ目、伝えたいことを箇条書きで書き出してみる。
2つ目、 書き出したことに優先順位をつけてみる。
3つ目、情報を1つに絞って、その情報を的確に伝える。
あれこれ伝えようとしても逆効果です。
1つを丁寧に伝えてください。
【4個目】 「ものすごく」 「めちゃくちゃ」など過剰な修飾語は省く。
情報を絞るだけでなく、過剰な修飾語もできるだけ省くのが理想です。
「ものすごく綺麗ですね」「めちゃくちゃ美味しいです」など、ついつい言いがちかもしれないです。
しかし、 修飾語が多すぎると、かえって言葉にインパクトがなくなります。
ラーメンに例えると、「全部載せラーメン」を食べ続けていると食傷気味になり、トッピングのありがたみが薄れるのと似ています。
全部載せラーメンに飽きた人が、 シンプルなラーメンを食べると、新鮮な美味しさをあらためて実感しやすいです。
これは、言葉も同じです。みんなが過剰な修飾語を使っているなかで、1人だけシンプルな言葉づかいをすると、かえって伝わりやすくなります。
修飾語を削るにあたっては、まず修飾語の使いすぎに気づくことが肝心です。
同僚に、「今日はめちゃくちゃ暑いね」と言ったあと、自分で気づけば、次こそは回避しようとする意識が働きます。
このように、意識することで、修飾語を減らしていけます。
修飾語を使うなら 「ここぞ」というときに限定してください。
その際、「めちゃくちゃ」「ものすごく」ではなく、「法外な」「とてつもない」「並外れた」など、耳新しい言葉を使うとよりインパクトがあるでしょう。
次の言い換えも参考にしてみてください。
「すべて」は「ことごとく」「ありとあらゆる」「一つ残らず」に言い換えてみてください
「さまざまな」は「バラエティに富む」「広範にわたる」「多種多様な」に言い換えてみてください
「良い」は「完璧な」「望ましい」「理想的な」に言い換えてみてください
「悪い」は「残念な」「有害な」「あくどい」「言語道断」に言い換えてみてください
修飾語を使うのは、「ここぞ」というときに限定してください。
【5個目】 身近なモノと比べてイメージをふくらませる
「情報を比較する」というのも、端的に伝えるうえでは重要な技法です。
「比較する」とは、何かを別のものに置き換えて、 イメージを膨らませる手法です。
比較の代表例として市民権を得ているのが、「東京ドーム○個分の広さです」という表現です。
実際には「東京ドーム10個分」と言われてもよくわからないですが、 そう言うと、なぜかみんな納得してくれます。
さらに、比較するときのコツを挙げるとするなら、対象を1つに限らず、2〜3個提示することです。
身近なもので比較すれば、「ヘー」という共感を呼びますし、よくわからない比較対象を持ってくれば、笑いが生まれます。
比較をすると、端的に伝わるだけでなく、相手の共感やリアクションを引き出すことができます。
1つだけでなく、2つ3つと比べれば、わかった気になります。
具体的な比較対象を示して、相手のリアクションを引き出してください。
【6個目】 「うまく話そう」と思わなくていい。
プレゼンやスピーチなどでは、 「うまく話そう」 「失敗したくない」と思うと緊張感が高まります。
緊張して手に汗をかき、体が固くなり、言葉も声も出にくくなります。
でも、そもそも「うまく話す」とは、一体何でしょう?
予定通りとか、ミスなくこなすとか、そういう次元を超えたところで「伝わる・伝わらない」は決まります。
だから、うまくやりたいというのは、ベクトルが間違っているようにも思えます。
緊張を回避するためには「すべては実験だ」と思うことが有効です。
何事も実験と思えば、肩の力が抜けます。
「実験なんだから、うまくいかなくて当たり前。失敗したらやり直せばいい」という意識でとり組めます。
コミュニケーションも仕事も、すべては実験です。
実験だと思って、何でもやってみることが大切です。
話すときは毎回、実験のつもりでとり組み、肩の力を抜いてください。
【7個目】 自分を主語にして話す。
テレビの放送では、「国民は」「消費者は」「若者は」「私たちの世代は」など、つい主語を大きなくくりにして発言しがちです。
会社の会議でも、「消費者は」「世間では」「若者は」などと、大きな主語を借りて、自分の意見を語ろうとするケースが多いのではないでしょうか?
それは、主語を大きなくくりにすると、逃げ道ができるからです。
「国民はそう考えているんじゃないかと思ったんです」「私の想像が間違っていたのかもしれません」このように、あとから、いくらでも言い訳ができます。
けれども、主語を大きなくくりにして語っていると、当事者意識が薄れてしまいます。
当事者意識のなさが聞き手に伝わり、心のなかで「覚悟がない人」という漠然とした印象を抱かれてしまいます。
リスクのない言葉では、自分の思いは伝わりません。覚悟を持って発する言葉だからこそ、人に伝わるのだと思っています。要は、自分が傷つく覚悟があるのかどうかです。
覚悟を持って、自分の意見を発信するからこそ伝わります。話すときは、他人事にせず、当事者意識を持ってください。
【8個目】 自分の意見をシンプルに言い切ることをためらわない
自分を主語にすることに関連して、曖昧な言い回しを使わないことが重要です。
よく使われる曖昧な言い回しに「〜させていただきます」「〜と思います」があります。
例えば、プレゼンをするとき、次のような挨拶をしばしば耳にするのではないでしょうか?
「これからプレゼンをさせていただきたいと思います。 よろしくお願いします。」本来は「これからプレゼンをします。よろしくお願いします。」でよいのですが、多くの人は、シンプルに言い切ることに躊躇(ちゅうちょ)します。
「減点を減らす」 「ミスしない」 「嫌われない」 という方向を探っていくと、言葉はどんどんマイルドになっていきます。
直接的な表現を避け、角が立たないことを意識するあまり、どうしてもまどろっこしい表現になってしまうのです。
ほかにも、ありがちな定型文には注意が必要です。
「議論が求められます」「これは難しい問題ですね」「これからの動きに注目が集まりそうです」いずれも、もっともらしい言い回しですが、実はほとんど中身のない言葉です。
要するに言いたいことは、「私にはよくわかりません」ということだからです。
どんな職業でも、すぐには結論を出しにくい状況を経験するはずです。
そんなとき、曖昧な言葉でその場をまとめたい気持ちはわりますが、曖昧な言葉に逃げないことが大切です。
曖昧な言葉を使わず、シンプルな言葉だけで伝えてください。 勇気が必要ですが、とても重要なポイントです。
【9個目】 あえて逆の立場から反対意見を考えてみる。
自分の意見を言うことは大事ですが、「自分の意見こそ絶対に正しい」と思い込むのは、ちょっと危険です。
自分自身の意見に対して、少し距離をとって、「本当にそうなのかな?」と客観的な疑いの目を向けてみることが大切です。
また、さまざまな角度から思考できるよう、日頃から頭の訓練をして、習慣化しておくことが重要です。
この習慣は、みんなの意見に流されそうになったときにも、威力を発揮します。
僕たちは、二者択一の二元論で、わかりやすく、白か黒かで決着をつけようとする傾向があります。
世の中、「10対0でAが正しい」ということはないのに、「Bが絶対に悪い」という同調圧力が働きがちでもあります。
そんなときは、いったん立ち止まって「本当にそうなのかな?」と、自問自答してください。
そして、逆の立場から反対意見を考えてみるのです。
すると、物事にはグレーな部分があることに気づき、冷静に判断できるようになります。
みんなの意見に同調するのはラクな選択です。
一方で、「本当にそうなのかな?」と自問自答し、 逆の視点から意見を投げかけるのは勇気の要る行為です。
しかし、あえて反対の視点から意見を提示すれば、建設的な議論を促すことができます。
これからは、「本当にそうなのかな?」と、自問自答するクセをつけてください。
まとめ
それでは、まとめていきましょう。
【1個目】 句点(。)をたくさんつけながら話す。
情報を、端的に伝えるためのポイントは、「丸(句点)をたくさんつけながら話すこと」です。
丸をつけると圧倒的に情報が明瞭になります。
丸をたくさんつけるにあたっては、「が」「けど」を減らすのがポイントです。
これを意識するだけで、かなりすっきりした話し方に改善できます。
これから、話をするときは、一文を短くして、ダラダラ話し続けないように気をつけてください。
【2個目】 おばあちゃんに話すようにゆっくり話す。
聞き手の立場からすると、間はそれほど不快なものではありません。
むしろ、間をとってくれたほうがありがたいこともあります。
話し手が間を置くことで、聞き手は、話の内容を咀嚼しながら、次の話に備えることができます。 結果として、内容全体を把握できるようになります。
話すペースは、自分が思う以上にゆっくりでいいです。
「間」を長くとるように意識してください。
【3個目】 伝えたい情報は1つに絞る。
間を置くことと関連して、「話す情報を絞る」というのも大切なポイントです。
情報を詰め込もうとしても、逆効果になってしまいます。
あれこれ詰め込もうとせず、1つの情報をゆっくり丁寧に伝えるべきです。
そうすれば、 伝えたい情報を確実に届けることができます。
ポイントは3つです。
1つ目、伝えたいことを箇条書きで書き出してみる。
2つ目、 書き出したことに優先順位をつけてみる。
3つ目、情報を1つに絞って、その情報を的確に伝える。
あれこれ伝えようとしても逆効果です。
1つを丁寧に伝えてください。
【4個目】 「ものすごく」 「めちゃくちゃ」など過剰な修飾語は省く。
情報を絞るだけでなく、過剰な修飾語もできるだけ省くのが理想です。
みんなが過剰な修飾語を使っているなかで、1人だけシンプルな言葉づかいをすると、かえって伝わりやすくなるのです。
修飾語を削るにあたっては、まず修飾語の使いすぎに気づくことが肝心です。
修飾語を使うのは、「ここぞ」というときに限定してください。
【5個目】 身近なモノと比べてイメージをふくらませる
「情報を比較する」というのも、端的に伝えるうえでは重要な技法です。
「比較する」とは、何かを別のものに置き換えて、 イメージを膨らませる手法です。
1つだけでなく、2つ3つと比べれば、わかった気になります。
具体的な比較対象を示して、相手のリアクションを引き出してください。
【6個目】 「うまく話そう」と思わなくていい。
予定通りとか、ミスなくこなすとか、そういう次元を超えたところで「伝わる・伝わらない」は決まります。
だから、うまくやりたいというのは、ベクトルが間違っているようにも思えます。
緊張を回避するためには「すべては実験だ」と思うことが有効です。
コミュニケーションも仕事も、すべては実験です。
実験だと思って、何でもやってみることが大切です。
話すときは毎回、実験のつもりでとり組み、肩の力を抜いてください。
【7個目】 自分を主語にして話す。
主語を大きなくくりにして語っていると、当事者意識が薄れてしまいます。
しかし、リスクのない言葉では、自分の思いは伝わらないです。
覚悟を持って発する言葉だからこそ、人に伝わるのだと思っています。
要は、自分が傷つく覚悟があるのかどうかです。
話すときは、他人事にせず、当事者意識を持ってください。
【8個目】 自分の意見をシンプルに言い切ることをためらわない
自分を主語にすることに関連して、曖昧な言い回しを使わないことが重要です。
どんな職業でも、すぐには結論を出しにくい状況を経験するはずです。
そんなとき、曖昧な言葉でその場をまとめたい気持ちはわかるのですが、曖昧な言葉に逃げないことが大切です。
曖昧な言葉を使わず、シンプルな言葉だけで伝えてください。 勇気が必要ですが、とても重要なポイントです。
【9個目】 あえて逆の立場から反対意見を考えてみる。
自分の意見を言うことは大事ですが、「自分の意見こそ絶対に正しい」と思い込むのは、ちょっと危険です。
自分自身の意見に対して、少し距離をとって、「本当にそうなのかな?」と客観的な疑いの目を向けてみてください。
物事にはグレーな部分があることに気づき、冷静に判断できるようになります。
解説は以上です。
この本の著者である井上貴博(いのうえたかひろ)さんは、もともと、アナウンサーになろうとは、1ミリも思っていませんでした。
そこから、努力を積み重ねて、第一線で勝負する「伝わるチカラ」を培ってきました。
まずは1つ、できることから実践してください。次第に、あなたの言葉が「伝わる」ものになっていくはずです。
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