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山行記その12 槍ヶ岳〜八畳の天国〜


両親が横浜の家を引き払って湘南に引っ越したのはもう20年以上前。高台にあるので二階からは、きらきら光る相模湾と江ノ島が遠望できる。
今、僕が暮らしている信州の家からは晴れていれば蒼く聳える北アルプスをのぞみ、常念の左側に槍ヶ岳のほんの穂先が頭をのぞかせている。


自宅から少し離れたところから。
ほんのちょっと槍ヶ岳の穂先が見えています



どっちも恥ずかしくなるくらい遙か遠くの景色だけど、何となく嬉しくもある。その美しさは僕のおかげでもなんでもないのではあるが。


今から百名山を目指そうとも思わないけれど、家から見える峰々にはいつかなんとか登ってやろうと決めている。槍ヶ岳もそのひとつ。あの鋭い穂先に立つことが出来たらどんな気分だろう。家の二階から槍が見えるんだから、槍の穂先からだって自宅の二階が見えるはずだけど、どうだろう。


いつもと同じ、上高地からのスタート


ここまでは楽らく
ここからもう少し進むといよいよきつい登り


まだまだ登り
ひたすら登り


どこから見てもその鋭い三角錐は変わることがない。
それは悲しいまでにひとり天をさしている。
(日本百名山〜深田久弥〜)


槍ヶ岳を見上げる殺生ヒュッテでテント泊
贅沢な夕暮れ時



なかなか天候には恵まれず、すっきりと晴れ予報にはならなかったので、二泊の予定を一泊に縮めて、曇り予報がいい方に外れればと祈りながら歩を進めた。
曇りは曇りでも山の場合、雲の高さによっては見える景色が違ってくる。雲より高く登ってしまえば、この世とは思えないような素晴らしい景色に出会えることだってある。



翌朝
下も上も雲


明るくなってもなお雲の中
雲海にのみこまれそうな殺生ヒュッテ


日が昇るにつれて少しずつ視界が開けてきて


最後の梯子を登りきると、雲の上。
ほんの数人で満員になってしまう狭い山頂。あの鋭い三角錐の頂点は、八畳程の天国だった。
真っ白なガスに包まれて眺望がなくなってしまったかと思えば、一気にガスが取れて息を飲むような景色が広がる。写真に残そうとスマホを構えたときはもう遅く、また白の世界。
残せた写真はほんの僅か。ほとんどは記憶の中の一瞬の風景。


最後の梯子を登ると雲の上に出ました
ほんの八畳程の天国


標高3,180m
日本で五番目に高いところ
穂高方面


西側は雲が取れて遠望できました


東側は雲が遠くまで
自宅方面は見えず。。。


この夏は休みと天候が噛み合わず、なかなか山行に踏み切れませんでしたが、なんとか秋が深まる前に、槍ヶ岳を登頂できました。
ことしは槍穂高にこだわることを目標にしていたので、穂高四座最後の西穂高岳と槍ヶ岳への登山を果たすことができてとても満足な山行になりました。

晴れの日登頂が次の目標になるかなあ。


小屋までおりて振り返る
小槍、大槍、雲の中

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