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山行記その7 常念岳〜人生の街〜


初めてその名を覚えた北アルプスの山は常念岳だった。この街の西側に連なる山脈のうち、ひときわ目立つ三角錐が常念である。

翌日は晴れ予報ですが本日は微妙。
降らないことを祈りつつ山行スタートです

この街に暮らすことになった十代の終わりに、初めて眺めた山並みと初めて覚えた山の名前。今でもその時胸一杯に吸い込んだこの街の空気と合わせて、その白き峰の姿を思い出せる。そしてその山は今だって同じ姿を僕の前に見せてくれる。

この雪渓を渡るのですが薄くなっていて危険。
ポールで突きながら恐る恐る


乗越はガスの中
テント張ってから山頂へ


ガスがかかると雷鳥との遭遇確率上がります


山頂。
たまに陽はさすものの雲の中


蝶ヶ岳方向
松本側は雲の中



大天井岳、燕岳方向
翌日は稜線を辿ってあちらに向かいます


山は見る角度によって姿形を変化させるが、常念はこの街から見るのが最も美しい。日々の通勤でも外出でも晴れてさえいればいつだって、意識せずともこの山の頂点と均整のとれた二辺に視線が向かう。この山もまた長い年月、僕のこの街での営みを見つめてきた。愚かな所業も幸せな一刻も、僕という塑像が盛られ削られ、一人の人間が形作られる様を、否定も肯定もすることなく、ただ。

山頂で待っても晴れなかったけど
テント場まで降りてきたら晴れていい感じ
常念山頂までの道筋がよくわかります


テントの向こうは穂高、大キレット


一日の終わりにようやく槍ヶ岳
明日の晴れを約束してくれる夕日と


その意味において常念に登ることは己を見つめる旅でもある。頂には僕自身が待っている。何を話してくれるだろうか。

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