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―心と身体は神の分霊である;禊祓の真髄― 禊行法の復古確立者 川面凡児

今回取り上げる川面凡児は、明治〜昭和初期に禊行法を復古確立した人物です。現在の禊の作法等は川面が行っていたの作法を基に成されています。禊および祓いは心身を浄めるためのものですが、川面は禊祓をどう解釈していたのでしょうか。

心を癒したい方、心身を清浄に保ちたいという方にとって大変参考になる教えですので、是非お読みください。


引用・参考文献『日本最古の神道』川面凡児口述

川面凡児 述 ほか『日本最古之神道』,稜威会本部,大正1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/943822 (参照 2024-12-02)


では
①人は神である
②神心身一体論
③祓
④禊
の4本立てで進めていきます。

①人は神である

川面は人の始まりを高天原から神として降りてきた者であると考えました。つまり人の始祖は神であり、その子孫である人もまた神となのだと主張します。そのため、神代とは遠い昔のことだけではなく、現代もまた神代なのだと言います。「八百万神」―多くの人々―が集まり生活している世界も神の世界、高天原と言えるのではないでしょうか。

そう、これを読んでいるあなたも神なのです。
なので、天皇のことを「現神」と表現することがありますが、人民も同じく「現神」です。不敬だとか言わないで。

②神心身一体論

そして、人も神なのだから、人の心も身体も神であると説いています。
川面は「霊(ひ)」および「直霊(なおび)」を使って説明しています。川面は、直霊は神の分霊で原子のようにこれ以上小さくできないもの。そしてあらゆる現象の根本だと定義しました。極微稀薄な直霊を数多く吸収統一すると、魂となります。なお、神の直霊は「大直霊」と呼んでいます。

魂は「たましひ」つまり「淳り(溜り)たる霊」の意で、直霊が吸収統一されて溜っている状態だといいます。直霊と魂は「心」と呼ばれます。心は本来直霊から構成されているので善なるものといえるでしょう。
そして魂からさらに発達して輪郭を持血膨張すると荒身魂―身体になります

直霊―心(万物の根本)―原子
↓統一吸収
―心―分子
↓発達、膨張
荒身魂―身体―元素
のような関係です。

よって、心と身体は万物の根本たる直霊が集まり発展したものであるため、形や密度が違うだけで同じものです。

③祓


先に見たように、人は神の分霊たる直霊から形成されています。その本質は善なるものですが、どうしても「垢、穢」が付着し食い込んできてしまいます。その垢、穢を払うために「祓、禊」を行なって心身を清める必要があります。

まずは祓いについて。
川面は、祓いとは「張霊(ハルヒ)」の語義であるとし、

直霊を張り膨張(ふくら)して、その稜威、その力を百千万魂に満ち足らはし、全身に充ち足らす意味

充ち足れば、マガツビ、喰い込み来り居るところの垢と穢が次第に逃げ去り滅し去る

日本最古の神道 川面凡児

と述べています。人を形成している直霊を引き締め膨張させる事によって、垢、穢を剥がれ落とし滅する。それが祓いだといいます。

直霊を「張り膨張」せるためには、神の大直霊の力が必要になります。人の力だけで祓えると思い上がってはいけません。

神の大直霊の張り満ちつつあるのにつれて、我の直霊が鼓動せられつつ膨張(はりふく)るるのである

神より張らせ、神より拂はせ、神より除かせつつある

日本最古の神道 川面凡児

④禊


祓いは直霊を膨らませることによって垢、穢を拂うものでした。

では、禊についてはどのように述べているでしょうか。
川面はミソギのミは霊、ソギは滌(そそぐ)または削ぐ義で、人の直霊に神の大直霊を注ぎ入れて垢、穢を削ぎ落とすのだと説いています。

神の大直霊を人の直霊に滌ぐことで、直霊が更新され霊力が強まり、垢と穢を削り取る。禊とは神との関係を強固にする意義もあるではないでしょうか。

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