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Rebuilding of "Love or Madness"Vol.1
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わたしは、ハタチ。
オトナになった。
早生まれだから、成人式はまだだけど。
今まで両親、特に厳格な父の影でどこか怯えながら生きてきた気がする。
ううん、確実にそう。
実家にいて、自転車で通える距離にあって両親主導で決めたような大学へ通って..
なんだか、世界がせまい。
サークルに入って華やかな時間を過ごしているわけでもないし、
正直大学に入ってすぐ新歓コンパとか?お酒が出てくるなんて思わなかったけど、とてもじゃないけどああいう場になじむこともできなかった。
そんなでも確かに成人したんだから、なにか自分で決めてやってみてもいいよね。
こうやって文字で自分を語ることはできるけど、おしゃべりはてんでできない。
どうして、こうなっちゃったのかな。
小学生のときのことはあんまり覚えてないけど中学生のころにはもう、とっても仲いい友達でもなければ「おはよ」って挨拶することにすら心臓が口から飛び出しそうだった。
一言話しかけるにも躊躇してそこらへんを行ったり来たりして、どう見てもおかしなヤツだよね。
どんどん知らないひとと人間関係つくることに苦手意識が増しちゃって、なんとか普通におしゃべりできる相手なんて家族を含めても10人いるかどうか。
でもねハタチになってガラにもなく殻を破りたいっていうか、自分で思い立って決めたことをしてみたいってね。
ハタチの夏に、アルバイト!
夏休みになるし、短期バイト。
アルバイト情報、海の家とかリゾート地とかいろいろある。
接客するわたし..1ミリも想像できない!
..あっ、結構近所でお中元の仕分け?
お中元だったら、そんなに大きなものとか重いものもないよね。
通いやすいし..行ってみようかな。
..って、結局近いところで地味なお仕事を選ぶわたし。
床はコンクリートで、全体が吹き抜けのようになってて。
窓は何メートルも上、誰も開け閉めできないじゃないって遥か高いところにあるだけだからろくに光も入らない。
お仕事する場所、こんな陰鬱とした空間なのね。
いろんなところのお店から荷物が届かないと、お仕事はない。
合間の時間は、ぼーっと荷物を待ってるだけ。
来たばっかりで細かいことも教わってないから、やることなくてあたりを見渡すぐらいしかないのよね。
ほかのひとたちも手持ち無沙汰で過ごしてるんだけど、でもグループで応募してきたひとたちが多いのかな?
ひそひそお話ししてるのに、時々大きな笑い声が聞こえてくる。
これは、笑い声のタイプが「おばさまたちの井戸端会議」。
あっちは、なんだかヤンチャそうなおにいさんたちだなぁ..。
ひとりで来てるひとって、全然いないっぽい。
これは人見知り発動して、もしかすると最終日まで無言で過ぎていくのかも..。
..ん?
あのひとたちは、何者?
ひとりは長身で、すらっとして制服を着てるけどずいぶんくだけた感じ。
両隣には、茶髪のふたり。
ひとりは小柄で、真ん中のひととはかなり近しい距離感な印象かな。
もうひとりは..時々話を振られて軽く微笑むぐらいで、なんか寡黙っぽくてちょっとミステリアス。
わたしは家でも学校でも、ちょっとやってみたいこととかよりそこにあるルールをずっと優先してた。
だから、ちょっと違うことをしてるひとはそれだけで抵抗感があって自分から距離を置いて。
クラスでも、髪色を違った感じにしてるとかそれだけでそういう「対象」だった。
人間性について知るチャンスをそんな印象だけで自分から手放しちゃうなんて、もったいないよね。
アルバイトしようって決める前に、そんなことも考えてた。
じっくり観察しちゃってる三人組、明らかにわたし的基準だと「別世界」のひとたちなんだけどミョーに気になる..。
醸し出される雰囲気はカッコイイ、オトナ~って感じでだけどやっぱりちょっとコワイかなあ。
でもね、コワイだけじゃなくてなんだかまぶしいような感じもする。
めぐる思考とか、大げさだけど知らない世界に足を踏み入れた勢いがわたしの感覚まで変えてくれたのかな?
つづく
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【【実録】最愛のひとと結ばれる最強ルート【愛と狂気は紙一重】 1.出会いの衝撃】
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