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松尾芭蕉ゆかりの地でお茶をいただきました。

ごきげんよろしゅうございます。
今日は陽気もよく出歩くのにうってつけの日なので、自転車で小旅行に出かけてきました。

草加市の名物、国指定名勝の
「おくのほそ道風景地」
綾瀬川に沿って遊歩道が整備され、立派な松の大木が並ぶ風情ある公園なので、ときどきサイクリングを楽しむお気に入りの場所です。

江戸時代の宿場町の風景を再現してあります。素敵。

散歩した後はお茶をいただきます。
いつも自分で適当にお茶を立てているので、たまには人にお願いしたかった笑

松林の近くにあるお茶室、
「漸草庵 百代の過客」。
日本文学者のドナルド・キーン氏の命名です。

か・な・り、立派なお茶室。
広さの違う部屋が4つ、水屋を2つ備えた数寄屋造りです。
本格的な数寄屋造りに庭園もある茶室で、襖を放てば松林を眺めることができます。

醤油樽を使った茶室もあります。
こういうのもアリ。

茶室ほしい!ほしい!と騒いでいましたが、茶道具も備えた茶室をレンタルできるなら、とりあえずいいかな…。
なんとなく物欲の出口が見つかって気が済みました。

お茶室では午前に表千家、午後は裏千家のお稽古があります。
茶道に興味のある人はお問い合わせください。
毎週土曜日、リーズナブルに茶道を始めることができます。

では、一日一回のお楽しみ。
菓子とお茶。

狭山茶と上生菓子「さわらび」です。
いつもはスーパーで売っている和菓子アソートをお茶請けにしているので、しみじみと美味しい。
ちょっとした贅沢ができることがありがたいです。
お茶はいいですね。

茶室の名前「百代の過客」は、松尾芭蕉の「奥の細道」の書き出し、

月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也

奥の細道

が出典で、やっぱり茶道はネーミングが大事。

余談ですが、
「奥の細道」
は、松尾芭蕉が俳句で名前を残そうと勝負に出た作品で、西行法師没後500回忌の年にぶつけていることからも、

放浪の詩人

というキャラを狙ったんだろうな、と思います。
日本各地にいる門人達を訪ね歩いて、

芭蕉先生来たる!俳句セミナー

を開催しつつ、史跡を訪ね歩いては名句を連発。
しかも旅行記も執筆して、俳人だけでなく名文家としての地位も確立した敏腕ぶりです。
もしかして、電通がプロデュースしたのかと疑いたくなります。
日本各地に松尾芭蕉ゆかりの地が残され、町おこしのネタとして愛されていますし、テレビ局や新聞社も繰り返しコンテンツ化しているのだから、松尾芭蕉ブランド恐るべしです。

「奥の細道」はただの旅行コンテンツではなくて、俳句という新しい表現のスタイルで日本の古典を継承してみせようとする野心的な試みがあると感じます。

行く春や 鳥なき魚の 目は泪

奥の細道。千住宿にて。

元になる和歌は、古今集の名歌、

雪のうちに春はきにけりうぐいすの 
こほれる涙今やとくらむ

古今集 春歌上 二条后

二条后の着想、
「うぐいすのこほれる涙」
は、繰り返し後世の歌人たちに引用され、愛されてきたフレーズ。
それを俳句に取り入れてみせた芭蕉は、ついに俺は西行法師を超えたと確信したかもしれません笑

ところで、松尾芭蕉ゆかりの地として全力で乗っている草加市ですが、実は芭蕉先生は千住宿を出発したあと、一足で春日部まで北上しているらしく、草加はスルーされています。
でも、まあ、「奥の細道」だって、かなり編集して

NHKスペシャル 奥の細道〜放浪の詩人 

のイメージになるように綺麗に仕上げているのだから、フィクションはフィクションのまま楽しめればいいかな、と思います。

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