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Inside of BIJapan

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Webメディア「Business Insider Japan」の記者や編集者のコラム集です。取材裏話から日常の体験などを綴っていきます。
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記事一覧

なぜ人類学者は引っ張りだこなのか?

「不思議なことに、企業の人からの問い合わせが増えてきたんです」 人類学者で、メッシュワークの代表を務める比嘉夏子さんからそう聞いたのはもう3年前のこと。トンガ王国の村に住んでフィールドリサーチをしていた比嘉さんが会社設立に至ったのは、人類学を経営に活かしたいという声が多かったからだそうです。 哲学、人類学をはじめとした人文系の学問は、経営とは遠いところにある——。一般的にはそう思われています。客観性に基づいた分析や再現性を求める経営を科学的アプローチとするなら、人類学は主

私が女子校に入って、最初に驚いたこと

中高は女子校に通っていたことを、以前にもこのコラムの中で書いたことがあります。小学校は地元の公立で、入学式ぎりぎりまで「友達と離れるのが嫌だ」と進学をごねていたらしいのですが、その事実をつい最近まですっかり忘れていたくらい、楽しい6年間を過ごしました。 入学式の日に驚いたのは、男子トイレがほぼないことや、クラス全員が女子だったことではありません。「生徒会長も副会長も、生徒会メンバーは全員が女子」ということでした。 当時小学校では児童会長は男子、女子は副会長か各委員長を務める

確定申告、控除のみ・雑所得ならスマホで済まそう(しかも無料で!)

「確定申告」界のTinder(ティンダー)が、やってくれました。 スキマ会計・確定申告アプリ「タックスナップ」が5日、控除のみ・雑所得の確定申告に対応したんです。しかも、スマホのみで完結できて、利用料金は「無料」ですよ! これ、ついさきほど、私も利用してみましたが、かなり感動的。所要時間わずか1時間ほどで、ふるさと納税と暗号資産収益(雑所得)の申告が完了したんです(※下記は「タックスナップ」で確定申告終了するとシェアできる投稿)。 長年、会社員をやってきた私でも、これま

野中郁次郎先生と「Tech GALA」

先週末、世界に誇る経営学者の訃報を聞きました。野中郁次郎先生です。今週は多くの人が次々と思い出をSNSに綴っていました。 直接お会いしたことはありませんでしたが、名著『知識創造企業』は新卒でコンサルタントとして働き始めたときの必読書の一つ。当時はバブル崩壊から長銀の破綻、かたやアメリカ中心にインターネットバブルが起きていた時代です。 そんな頃に個人の暗黙知が組織の形式知として変換されていくプロセスをモデル化し、日本企業の強さを示したこの本は、改めて振り返ると衝撃的。これは

「預金金利」引き上げラッシュ、本格的に到来。1年定期1.0%も登場

ついに「金利のある世界」が、実感できるようになってきました。 政策金利の追加利上げに伴って、メガバンク3行がこぞって普通預金金利を0.1%から0.2%へ引き上げたのは既報通り。それに追いつけ追い越せと、金融業界が湧いています。 まず、大手地銀6行(横浜、千葉、静岡、常陽、京都、福岡)。こちらは、週明けから足並み揃えて、メガバンクに追従してきました。改定時期も同様に3月初旬です。 ゆさぶりかけるネット銀行 さらにネット銀行は、もっとラジカル。あの手この手で、ゆさぶりをか

美味しそうな書店

本が美味しそうに見える書店——。 青山ブックセンターについて、文芸評論もしている大学の先生がそう形容するのを聞いて、言い得ていると思いました。青山ブックセンター(当時)にいると、つい手が伸びて本をたくさん買ってしまう、という話です。 その表現を聞いたのは20年以上前ですが、最近個性を持った書店が人を集めているのを見ていて、「美味しそうに見える」書店があるというのは本当だなと改めて実感しています。 ブランドの洋服や雑貨と違って、一般に流通している本はどの書店にあっても同じは

追加利上げ、私たちの金利はいつ変わる? 普通預金金利・住宅ローン変動金利の今後

「日銀、追加利上げを決定へ」と、21日(火)に共同通信が報じています。 この報道が正しければ24日(金)には、昨年3月のマイナス金利解除以降、3度目の利上げが実施されるはず。今回は、現行の0.25%程度から0.5%程度になるようですね。 さて、利上げが行われると、短期的に2つの具体的な変化が表れます。1つは銀行の”普通預金金利”、そしてもう1つは住宅ローンの”変動金利”です。 銀行の普通預金金利については、すぐにメガバンク3行のいずれかが、金利改定をリリースするでしょう

渋谷再開発で見えた「裏側の美しさ」

Business Insider Japan編集部がある東京・渋谷。馴染みはあるのに、複雑な街だと思わずにはいられません。それは再開発が長く続いているからです。一つビルが建つと、また新しいビルが建ち始める。 再開発が進む場所の一つ、東急本店のあった辺りを先日、通りかかりました。2年前の2023年1月31日、55年間の営業を終えて建物は取り壊しになり、すっかり更地に。高い建物がぽっかりと消え、広くなった空を見上げて驚きました。まるでモダニズム建築のようなものがその向こうにあっ

小遣い稼ぎに、トランプ銘柄へ投資してみた結果……

ぶっちゃけ、お小遣いを増やしたい! そんな身も蓋もない理由で、へそくり投資の一部をトランプ銘柄へ全振りしてみました。ちなみに、トランプ政権に対しては個人的に、是非もありません。 はてさて、大統領就任式は、1月20日の月曜日(日本時間21日)。どんな値動きをするのやら……。 利用したのは、以前にご紹介した投資アプリ「Bloomo(ブルーモ)」です。米国投資家のゆるいSNSといった趣きで、なかなかいい感じなんですよね。 特に面白いのが、他のユーザーや運営が用意したポートフ

iDeCo拡充か、改悪か……にしても、いつから改正されるの?

結論から言うと、早くて2026年、現実的には2027年からとなりそうです。 令和7年度税制改正大綱が12月20日に公表されて、拡充だ、改悪だと、振れ幅の大きな話題を振りまいたiDeCo(個人型確定拠出年金)。どちらにしても、具体的な実施時期について言及しているニュースソースは、少ないんですよね。 なぜならこれは、まだ「決定事項ではない」から。現段階では、内閣での方針が固められただけの閣議決定、つまり法案なんです。 iDeCoを推進するFP・山崎俊輔さんのYouTubeチ

2025年「あけおめ」「ことよろ」はどのSNSで言おう問題

今回も前回に引き続きSNSの話。Metaの短文投稿サービス「Threads」(スレッズ)が、12月27日から29日までの期間限定で渋谷にそば専門店、その名も「年越しそばをすすれっず by Threads」を開きました。 要は公開イベントで、「お題に沿った投稿をThreadsにすると、そばが無料でもらえる」という趣旨。編集部は渋谷にあるため、自分も立ち寄ってみたのですが、無料とは思えないしっかりとした年越しそばが出てきて、圧倒されました。 取材をしてみると、Threadsと

M-1は「ストーリーテリング」の教科書だ

年末ですね。そろそろ休みということで今日は少し緩い話を。「なんでそれ知らないの?」とよく言われるほど私は芸能情報に疎いのですが、毎年見ているのがM-1グランプリです。 お笑いのプロではないのと、「粗品」がコンビ名だと思っていたくらい(すみません)なので専門的な分析や批評は控えますが、素人ながらM-1を見ていて学びがあると思う点は二つ。「インサイトの発掘力」と「ストーリーテリングの力」です。 これはお笑い芸人だけに求められる力ではありません。プレゼンやピッチ、私たち編集者なら

年末最終週こそチャンス! ふるさと納税デビュー、知っておきたい5つのポイント

やろうやろうと思っても、なかなか食指が動かない「ふるさと納税」。いくら「お得」と言われても、未経験者は「面倒くささ」が勝ってしまいます。 でも、多くの人(主に会社員)にとって、ふるさと納税の“本番”は、その年の「源泉徴収票」を入手してから。つまり、毎年年末の12月25日〜31日こそが勝負時なんです。 残り1週間で、お手軽な「ワンストップ特例制度」と「オンライン申請」を利用して、ふるさと納税デビュー。そのために、抑えておきたい5つのポイントをまとめました。 1.「源泉徴収

mixi2はX(Twitter)に代わる「ネットのオアシス」になるか

MIXIの新しいSNS「mixi2」がリリースされました。招待制を採用していますが、招待数に制限はなく、各SNSで多くの招待リンクが出回っています。 mixi2は、現在運営中のmixiとは別のサービスです。アカウントも独立しており、短文投稿とコミュニティー機能に特化したプラットフォームとなっています。 短文投稿が可能なこと、匿名・実名どちらでも参加できること、絵文字リアクションなど、「日本のインターネットカルチャーらしい」仕様が、特に1980〜1990年代生まれの層から好