辛いこと忘れなくても、まあ、いいのかな
時々何の脈絡もなく嫌な記憶がよみがえってきて、つらい気持ちの反芻をしてしまう。なんなんだろう、嫌なのに。
ドラマ「やまとなでしこ」のずっと心にのこっている、「きっと、あなたの辛いこと全部、忘れられる日が来るから」という台詞。私もこんなこと言って欲しいし、忘れさせてほしい、と思いながらドラマを観ていた。
だけど。
来ますか? https://t.co/pj9cdCoepo
— よーか (@YoukanMm) August 6, 2020
来ません。忘れられる日が全然来ません。
時間とともに、痛みは薄らいでいるとは思う。でもやっぱり辛いこと全部、覚えている。
時々思い出しては、ひとりで苦しんでしまう。ばかみたいである。嫌な過去を振り返る時間なんて無駄でしかないってわかってる。それなのに、ふとした時に突然くるフラッシュバック。「消えろ」と言ってみても消えない記憶。
忘れようと努力したこともあったけど、最近は、まあ、忘れられなくてもいいのかなと思うようになってきた。たぶん、つらいことを忘れられないのは防衛本能なんだと思う。また同じ痛みを受けることがないように、ちゃんと覚えていて、自分の心を守れよっていう心の奥底からのメッセージなんだろう。
忘れないことには意味があるんだと思う。
だからもう忘れようと努力するのはやめた。忘れよう、と思うことでさらに記憶は定着してしまう。そういうものなのだ。都合よく一部だけ記憶を消すことはできない。5日前の朝ごはんは忘れられても、強く脳や心が動かされた件は、動かされた分だけ深く記憶に刻み込まれてしまう。
辛い記憶があるせいで、「あのときよりはまし」って思えるし、また辛いことにならないようにがんばったりがんばらなかったりできる気がする。だから覚えておこう、つらいことも。そう思ってたらいつか自然に記憶からこぼれおちるかもしれない。認知症になるまで忘れないかもしれないけど、それはそれでまあ、いいかな。
「あのときよりはまし」って思える記憶があるのはなかなかいいことだ。今もこの先もなんだって乗り越えていけるような気になれるから。「あのとき」があれば常に相対的に幸せでいられる。
できれば楽しい思い出だけで、ふわふわ生きていきたい。だけど、つらいがあるから楽しいや幸せもあるわけで、つらい記憶もそれはそれでとっておいてもいいんだろう。そう思うことにした。